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アフォリズムと通念     −日仏独文学をめぐって

開催日 : 2023年5月13日(土)

時間 : 10:10~17:30

会場 : 明治学院大学白金キャンパス1254教室およびオンライン配信(Zoom)

シンポジウム概要 : ※プログラムはこちら

日本で西洋の「アフォリズム」が紹介されたのは、20世紀冒頭、新聞などに掲載された翻訳を通してである。
その原典は、文学的価値があるものよりも、むしろ社会的な意味のある、インパクトの強いものが選ばれた傾向にあったように思われる。というのも、「男女の愛」や「女性」というテーマを扱うものが多かったうえ、純粋なアフォリズムとして書かれたものよりも、有名作家の作品のなかのアフォリズムとして読まれうる箇所の抜粋が目立っていたからである。このように引用をアフォリズムとして使うことを、フランス人言語学者ドミニック・マングノーは「格言化」(aphorisation)と呼び研究した (Dominique Maingueneau, Phrases sans textes, 1992)。こうした格言化を経て、明治時代の終わりには「格言」、「箴言」、または「アフォリズム」というジャンルが形成され、芥川龍之介や萩原朔太郎によって日本語の独自なアフォリズムが誕生したのである。 

 19世紀のフランスでは、「pensées」(思想)というジャンルが盛んであった。こうした「思想」はアフォリズムに属するする形式を取ってはいり、独創的な発想によるものである。しかしながら当時は模範的な「作り物」として批判を受けるものも少なくなかった。
1886年、作家のジュール・ルメートルは、同時代の作家を論じたLes Contemporains (現代人)という随筆集のなかで、「モラリストは型を残した。あらゆる言葉をその型に入れると思想になるため、その型から無限に思想を作ることができるのだ」と指摘している。 

 本研究会の目的は、18世紀から20世紀にかけての、格言化から生まれたアフォリズムであれ独創的なアフォリズムであれ、その形式がどのようなレトリック的な効果を有していたのかを検討することである。アフォリズムという形式はまた、新聞・雑誌との関係においても検証されるべきだろう。先行研究では、断章形式 (fragment)を含めて、広い意味でのアフォリズムの文学性や哲学性が注目されてきた。そうしたなか本研究会は、アフォリズムの持つ、文学史を横断する名言集などを参考文献とし、「文学」として認識されにくい側面についてあえて検討してゆく。
特に、アフォリズムが通念や決まり文句とどのような関係を持ちうるのか、規範をどのように作り強化するのかを見てゆきたい。さらに、出版状況やアフォリズムにつけられた言説がどのようにアフォリズムの受容に影響を与えたのかを問うこともできるだろう。


aphorisme

参加申し込み方法 : 下記のGoogleフォームより事前申込制
https://forms.gle/9niJLJgTYEbAamEZ9   

※5月10日(水)までにお申し込み要。(参加無料)
Zoomリンクは開催日前日までにメールにてお知らせいたします。

お問い合わせ先 : 「*」記号を「@」に変換してください。
明治学院大学フランス文学科
france*ltr.meijigakuin.ac.jp

言語文化研究所
gengo2*ltr.meijigakuin.ac.jp