*兄弟の名前
*新入会員の紹介
*日本的概念としての「業」
* 疾病治療
もしオフリストで質問者に直接ご返事頂けるときは、それぞれのメールア ド レスに直接返信して 下さい。その他の返事ならびに質問などは
watson@k.meijigakuin.ac.jpに送って下さ い。英訳します。また日本語版ダイジェストの会員の皆様が、pmjsで紹介したい御
著書、御論文などがございます時は遠慮無くワトソンまで詳細(タイトル、出版社、出版年、雑誌名など)をお知らせ下さい。
メールの総数: 16
期間:2005年6月5日 - 6月15日
リンクなどは最後にあります。
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From: Denise O'Brien <obriend@temple.edu>
Subject:平安朝における兄弟の名前
Date: June 5, 2005 21:47:41 GMT+09:00
平安中期の兄弟の命名において、漢字ないし音を共有する場合に何か明かなパターンが存在するでしょうか。例えば、藤原兼家の息子は皆「道」(道隆、道綱、
道兼、道長)の字がついています。また為平親王の息子の名前は全て「定」の字で終わっています。けれども同じ漢字を共有するというのは絶対的なルールでは
ないようです。例えば、道隆の息子達は伊周の「周」の字をその名前におて共有していません。名前に使われるこれらの漢字は、母方の身分を示すというような
作用はなさそうです。
Denise O'Brien, Ph.D.
Department of Anthropology
Temple University
Philadelphia, PA 19122, USA
FAX:
215-204-1410
E-Mail: obriend@temple.edu
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From: Matthew Stavros <mstavros@Princeton.EDU>
Subject: 平安朝における兄弟の名前
Date: June 6, 2005 1:05:29 GMT+09:00
このような兄弟名の付け方は、平安中期の時代に限った問題ではありません。14世紀から16世紀にかけての史料には頻繁に見受けられます。権門の息子達の
名前のほうが、同じ文字を共有する傾向があると思われます。実際、史料には名前しか記されていない時、同じ漢字の使われている名前を頼りに『公卿補人』な
どで氏を突き止めることがしばしばあります。
例:
西園寺家は息子達に「公」の字を付けています。足利将軍家は「義」…などなど。
西洋の名前の後に、ザ・サード(the
3rd)とかジュニア(Jr.)と付けるようなものと似ているといつも思います。もっと深い歴史がこれらの命名法に存するなら、ゾクゾクしますけど。
Matthew Stavros
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From: David Pollack <pollack@mail.rochester.edu>
Subject: 平安朝における兄弟の名前
Date: June 6, 2005 4:12:35 GMT+09:00
中国や朝鮮での、「世代の名前」やbanci(「班次」、以下のリンク参照)というのがどのぐらい昔まで遡るのかはわかりませんが、よくある中国化と同じ
なのかもしれません。例えば「菅原」を「菅家」という時の「菅」などですが、疑いなく中国(や朝鮮)の大陸的な呼び方による権威付けです。
David Pollack
http://www.nationmaster.com/encyclopedia/Generation-name
子供の世代の名前には、同じ家族において、産まれた子供の名前の漢字1文字を共有します。(詳しくは上記サイトで御覧下さい)。
普通2文字の名前の場合、最初の漢字を或いは下の漢字のどちらかを共有しますが、その漢字の位置はどの息子も同じ位置にあります。ある家族ではこの位置は
世代から世代で交代し、ある世代は名前の最初の1文字目で同じ漢字を共有しますが、次の世代では名前の2番目の漢字を共有するということがあります。
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From: Karl Friday <kfriday@uga.edu>
Subject: 平安朝における兄弟の名前
Date: June 6, 2005 6:19:14 GMT+09:00
At AM 21:57:28 5 Jun 2005, Denise O'Brien wrote:
平安中期の兄弟の命名において、漢字ないし音を共有する場合に何か明かなパターンが存在するでしょうか。
平安朝の公家において、また平安期以降の武家においても、これは(息子達がその名前で同じ漢字をひとつ共有するのは)一般的なことでした。父親の名前から
一字を取って、もう一字は代々の名前の候補の中から取るという、かなり限られた範囲での組み合わせのバリエーションを、世代から世代へと使い回したようで
す。よって、大半の桓武平氏の子孫は、「盛」「忠」「清」「経」「正」「遠」他数える程の漢字の組み合わせで成り立っています。一方清和源氏のほうは、
「頼」「義」「親」「朝」「経」「家」「仲」「信」など他、幾つかの漢字の組み合わせが延々と続きます。中世の武家でこの二つのどちらか(或いはひでさと
流藤原などの傑出した武家)の子孫だと主張する武士は上のような漢字の組み合わせを踏襲しています。祖先が誰かを意図的に明示するためでもあったのでしょ
う。
Karl Friday
Dept. of History
University of Georgia
706-542-2537
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From: Barbara Nostrand <nostrand@acm.org>
Subject: 兄弟の名前
Date: June 6, 2005 17:19:12 GMT+09:00
こんにちは。
平安中期の兄弟の命名において、漢字ないし音を共有する場合に何か明かなパターンが存在するでしょうか。
「名乗り」には兄弟に付けられる同じ漢字のよく知られている例で、何世代も受け継がれているものがが出てきます。これはかなり一般的な現象なので、これに
ついての専門的用語があります。「通字」がそれだったと思います。天皇の個人名にもこのパターンはあります。基本的には同族関係を表しているものですね。
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From: Peter Shapinsky <pshapins@umich.edu>
Subject: 兄弟の名前
Date: June 6, 2005 22:12:40 GMT+09:00
Deniseさま
家系図には時折ある家系で使われる漢字の意味について説明してあるものがあります。ある家系にとって特別な漢字の使用には象徴的な重要な意味がありまし
た。例えば、戦国時代、伊予の河野家の「予章記」という家系図によると、河野家は「通」の字を名前に付ける伝統がありましたが、これは、ある夜、河野家の
娘が氏神と結ばれたという事実を記念しているものであり、この密通として記録されている事実は河野家の血筋は絶えることがないという保証なのです。また、
これらの名前に使われる漢字は領主から侍に与えられた栄誉の目印ということもあります。
Peter Shapinsky
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From: William Bodiford <bodiford@ucla.edu>
Subject:兄弟の名前
Date: June 7, 2005 12:24:21 GMT+09:00
RE: "Generational Names"
以下のリンクをお教え下さったDavid Pollackに御礼を申し上げます。
<http://www.nationmaster.com/encyclopedia/Generation-name>
仏教的文脈では、「系字」或いは「通字」と呼ばれます。この二つの用語は同じものを指してはいないかもしれません。系字は何世代にもわたる同系統の一員で
あることを示すためか、ないしは(同じ世代によって同じ字が使われる時)祖先を同じくする
ことを示す為、同じ家系の中で使われます。同じ系字が、同じ家系のなかで、もし一人以上の人物に使われると、それが共用の字となります。玉村竹二は日本の
五山の禅僧の系図を出版しました。ある場合は、禅僧の名前によってのみ系統の所属がわかるということです。
日本での宗教界を離れた社会におけるこの命名の現象についての研究を出版なさる方がいらっしゃいましたら、ぜひ知りたく存じます。
William M. Bodiford (bodiford@ucla.edu)
Dept. of Asian Languages and Cultures
University of California (UCLA)
Los Angeles CA 90095--9515
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From: Bernhard Scheid <bernhard.scheid@oeaw.ac.at>
Subject: 兄弟の名前
Date: June 7, 2005 18:48:18 GMT+09:00
公家において最も一貫性のある例は、卜部氏の名にある「兼」の字です。卜部氏の長者とその兄弟の大半にわたって、卜部兼延(10世紀)から卜部兼雄
(1705−1787)に至まで断絶無くこの字が使われています。
ある卜部家史料はこれは卜部の神祇職に関係していると示唆していますが、家職を継がなかった人間も「兼」の字が名前に使われています。例えば、卜部兼好
(吉田兼好)がそうです。
舞、蹴鞠などの専門職を持つ下級公家の場合、受け継がれていく漢字は一文字なのですが、権門の場合は Karl
Fridayが説明したように、数多くの漢字を“所持”しているわけです。
とはいえ、今書きましたことは私の個人的観察に基づいているだけですので、この問題についてはもっといろいろと知りたいと思っております。
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From: Bernhard Scheid <bernhard.scheid@oeaw.ac.at>
Subject: 兄弟の名前
Date: June 7, 2005 19:13:08 GMT+09:00
William、David Pollackさん。
お二人が引いてくれてリンクはWikipedia
(ウィキペディアen.wikipedia.org)[編集:インターネット上の大百科事典ページのこと。http:
//ja.wikipedia.org/wiki/ウィキペディア]からのクローンページだということにお気づきではなかったのですね。[略]とはいえ、
オリジナルのページのアドレスをあげるのが良いわけです。
ただオリジナルのページはとても人気が高いので、かなり遅いのですが…。
Best regards
Bernhard Scheid
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From: Richard Bowring <rb101@cam.ac.uk>
Subject: 兄弟の名前
Date: June 8, 2005 0:56:22 GMT+09:00
興味深い情報が沢山送られてきておりますが、質問の核心はまだ触れられていないのではないかと思われます。どうして息子達の中で一人、二人この名前のパ
ターンに当てはまらない子供がいるのでしょうか。私も母方の関係に拠るのかと思いましが、そうでもなさそうです。
Richard Bowring
Cambridge
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From: Barbara Nostrand <nostrand@acm.org>
Subject: 兄弟の名前
Date: June 8, 2005 5:06:43 GMT+09:00
当然ながら、生涯を通して幾度か名前が変わるという日本の慣習によってこの問題は複雑なものであります。家系図を見てみると、何世代にもわたって使われた
通字が他の字に取ってかわられるのに気が付きます。これは分家の発生などと関係しているのかも知れませんが、この現象について詳細な研究をした人はいない
ようです。年号が変わるのと同じような理由で通字も変化するのかもしれません。よりよい運命を求めて…。
Barbara Nostrand
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From: Michael Watson <watson@k.meijigakuin.ac.jp>
Subject: 新入会員紹介
Date: June 7, 2005 19:38:38 GMT+09:00
河添 房江 Kawazoe Fusae <jag01004@nifty.com>
東京学芸大学 教育学部 教授
研究テーマ
源氏物語を中心とした平安文学 平安文学と文化学の研究 平安文学における性差の研
究
主要著書
『源氏物語表現史ー喩と王権の位相ー』
翰林書房、1998
『性と文化の源氏物語ー書く女の誕生ー』
筑摩書房 1998
源氏研究 1〜10、
三田村雅子・河添房江・松井健児 共編
翰林書房 1996〜2005
ホームページ
http://homepage1.nifty.com/fusae/index.htm
著書など
http://ferney.u-gakugei.ac.jp/open/ugylist.pl?sid=1000016568
Angus Lockyer <al21@soas.ac.uk>
所属 SOAS(ロンドン大学東洋アフリカ研究所) 歴史学部 講師
研究分野 19,20世紀日本歴史
Sean Somers <sean_somers2002@yahoo.ie>
所属 コロンビア大学 博士課程a
研究分野 明治時代の小説家、歌論、書道
変更など
Tamah Nakamura <tamah@gol.com>
所属 筑紫女学園大学(福岡、太宰府) 英文学科教授
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From: Gail Chin <gail.chin@sasktel.net>
Subject:日本的における「業」
Date: June 8, 2005 4:11:27 GMT+09:00
皆様
中世初期における仏教の「業」に関するおもしろい論文などをご存じでしょうか。日本語でもかまいません。
中村恭子の『日本霊異記』の英訳と解説、それからWilliam
LaFleurの論文などは把握しています。特に文学と歴史に関連する新しい論文を探しています。
Humbly yours,
Gail Chin
Dept. of Visual Arts
University of Regina
Regina, SK
Canada, S4S 0A2
fax: 306-585-5526
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Subject: :日本的における「業」
Date: June 10, 2005 6:24:21 GMT+09:00
From: Andrew Goble
<platypus@darkwing.uoregon.edu>
Gailさん
疾病の説明としての「業」について、特にハンセン病の病因を中心に、現在、僧侶によって書かれた14世紀初期の医学の資料を読みながら考察を行っておりま
す。ある薬師は、もともと考えられていたように、「業」は説明としては不十分であるということに少しずつ気が付いてきたというような部分があります。
「業」概念のパラダイム変換というわけです。
どうして僧侶である著者はこれほどまでに「業」に縛られているのでしょうか、またどうして現代の研究者は他の見方を、或いは画一的ではない広い未解決の議
論などを排除してしまうのでしょうか。
Andrew Goble
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From: Michelle Li <mioli@stanford.edu>
Subject: 疾病治療
Date: June 11, 2005 1:45:54 GMT+09:00
Chin様
『病草子:A Critical Reevaluation of Its Importance toJapanese Secular
Painting in the Twelfth
Century』(博士論文、John Tadao著、ミシガン大学1944年)がお役に立つかも知れません。
その第三章「The Yamai no Soshi and the Rokudo
Theory」あたりです。もしこの博論が出版されていたら、どうぞご訂正をおねがいいたします。
Goble先生
平安時代、病の手当をする僧侶と訓練を受けた医師との関係というのはどのようなものであったのかしばしば疑問に思っていました。このことについて、御論の
なかで扱われていらっしゃいますか。説話を研究している関係上この問題には興味があります。ただ医学の歴史そのもにも興味があるのですが。御論を拝読する
のを楽しみにしております。
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Subject: 研究発表者の募集
Date: June 15, 2005 11:39:06 GMT+09:00
From: Susan Furukawa < sfurukaw@indiana.edu>
9月23日〜25日にかけてミシガン州立大学において開催されるthe Midwest Conference on Asian
Affairsの大会での発表者を募集しております。現在予定されているパネルは、いかに『とりかへばや』、『在り明けの別れ』や『夜の寝覚』という平安
後期の物語がジェンダー転換を行っており、それが既存のジェンダーの役割に問題をつきつけているかということなどに焦点が当てられています。平安後期物語
のジェンダー論について研究なさっている方をパネルのメンバーとして探しています。申し込み締め切りは6月30日です。
ご興味のある方は私に直接ご連絡をお願い致します。
sfurukaw@indiana.edu.
Sincerely,
Susan Furukawa
Indiana University
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Watsonより
新規会員の河添房江氏より『源氏研究」第10号についてのお知らせをいただいています。『源氏研究』はこの第10号をもって最終号となります。以下のサイ
トで英文また日本語の目次を御覧になることができます。
http://www.kanrin.co.jp/genjiken.htm
英語の原文は以下のページにあります。
http://www.meijigakuin.ac.jp/~pmjs/logs/2005/2005.02q.html
http://www.meijigakuin.ac.jp/~pmjs/logs/2005/2005.03q.html
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