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*ファルコン(鳶・鷹)
*AJLS学会 2006 「表象文化と旅:過去・現在・未来」報告およびパネルの募集
*青山学院大学 文学部日本文学科主催 国際学術シンポジウム「源氏物語と和歌世界」
*能と狂言
*龍谷大学公開シンポジウム
*延喜式について

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伊井春樹[編]『世界文学としての源氏物語 サイデンステッカー氏に訊く』(笠間書院 2005年10月)
川添房江著『源氏物語時空論』(東京大学出版会 2005年12月)
Mary Elizabeth Berry著, Japan in Print: Information and Nation in the Early Modern Period (2006)

もしオフリストで質問者に直接ご返事頂けるときは、それぞれのメールア ド レスに直接返信して 下さい。その他の返事ならびに質問などはwatson@k.meijigakuin.ac.jpに送って下さ い。英訳します。

また日本語版ダイジェストの会員の皆様が、pmjsで紹介したい御著書、御論文などがございます時は遠慮無くワトソンまで詳細(タイトル、出版社、出版 年、雑誌名など)をお知らせ下さい。編集の方でも時折自主的にpmjs footer(編集ノートのようなもの、普通英語版のメールの下に付いています)で紹介することもあります。footer(フッター)は日本語版でもその うち始めようと思います。

メールの総数: 18
期間:2005年11月24日 - 2006年01月05日
リンクなどは最後にあります。

From: Morgan Pitelka <mpitelka@oxy.edu>
Date: November 24, 2005 5:35:36 GMT+09:00
Subject: [pmjs]  ファルコン(鳶・鷹)

皆様

学問的な質問ではないのですが、2週間ほど前に京都での体験を解き明かしてくれる方がいらっしゃっるのではと思いまして。丸太町から御池に鴨川沿いを歩い ていましたら、3人の若者が昼食を食べていました。3人は鳩に食べかすを与えていました。と、突然大きくて、頑丈な鳥が鳩も若者も目にもとめず食べ物に襲 いかかりました。若者らは軽率にも食べ物を与え続けたのですが、またたくまにもう3匹の鳥が加わりました。通りがかりの年配の男性が若者達に、危険なので 鷹に餌を与えるのをやめるように叱りつけました。事実鷹は一端舞い上がって、今度は怯えている若者達の頭めがけて何度もかすめ富んできました。彼らは急い で逃げ出しました。見上げると近くの木や空中高くもっとたくさんの猛禽類がいるのに気がつきました。とても特徴的な声を甲高く響かせていました。

http://faculty.oxy.edu/mpitelka/taka1.jpg
http://faculty.oxy.edu/mpitelka/taka2.jpg
http://faculty.oxy.edu/mpitelka/taka3.jpg

私はこの事件をネット上に流しましたが、全くもってわくわくしました。祖父Frank Pitelkaはバークレー大学の開拓的鳥類学者で、私も無知ながら鳥には強い興味を持っています。また徳川家康に関する物質文化についての新しい研究に おいては、鷹狩りについての考察を進めていますが、鳥を見分ける知識がありません。

この猛禽類は何だったのでしょうか。ゴミあさりをしたりする類の鳥でないことは、ほぼ確信できます。それにウサギやツグミを追って東山や長野の山中でにい るべき鳥たちが町の真ん中で何をしていたのでしょうか。移住性の鷹が時折町中に住むことは知っていますし、red-tailed hawks(アカオノスリ)がマンハッタンのベランダに巣を作るのはよく知られています。日本で最近増えすぎた都会のカラスの対処をするというニュースは 読んだことがあります。が、京都での、これは私の、鷹とのはじめての出会いです。

Morgan

*****************
Morgan Pitelka
Swan Hall S115
Occidental College
1600 Campus Road
Los Angeles, CA 90041
mailto:mpitelka@oxy.edu
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From: Thomas Howell <thowelljr@earthlink.net>
Date: November 24, 2005 8:10:20 GMT+09:00
Subject: [pmjs]  ファルコン(鳶・鷹)

多分black kite(鳶)でしょう。

以下のページで鳴き声を聞くことができますので、検証できます。
http://www.hawk-conservancy.org/priors/migrans.shtml

以下のページもまたいいです。
http://www.amonline.net.au/factsheets/black_kite.htm

私も専門家ではありませんが、私の父も鳥類学者でした。

Tom Howell

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From: Lewis Cook <lcoqc@earthlink.net>
Date: November 24, 2005 9:47:06 GMT+09:00
Subject: [pmjs]  Re: falcons

Dear Morgan,

とても興味深い写真です。

『日本の野鳥』(1982, 日本野鳥の会)の絵と記述とで比べてみますと、鳶、あるいはBlack Kite (Milvus migrans)のようです。日本全土でとても一般的な鳥だと説明されています。[...] 雑食で屍肉も食するとあります。これで鳥の識別ができるかどうかわかりMせんが、この本にある似ている鳥は鷹ですが、北海道以南ではほとんど見掛けられな いそうです。

Best regards,
Lewis Cook
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From: Lawrence Marceau <l.marceau@auckland.ac.nz>
Date: November 24, 2005 10:03:26 GMT+09:00
Subject: [pmjs]  Re: falcons--black kites

 Tom Howell同様、 Morganが撮った鳥の写真は鳶(トンビとも)だとおもいます。 […]

鳶はかなり一般的な鳥で、落ちた米を食す齧歯類が彷徨く水田近辺に多いようです。とはいえ、Morganが言っておりましたような場面をもくげきしたこと はありません。

    Lawrence Marceau
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From: Ronald Toby <rptoby@uiuc.edu>
Date: November 25, 2005 8:42:43 GMT+09:00
Subject: [pmjs]  Re: [birds]

写真と述べられました鳥の行動から推測しますと、 'hawks'や 'falcons'ではなく、鳶が鴨川上空を徘徊しているのだとおもわれます。鳶(kite、またkestrel)はよく港や入り江上空で旋回しいるのが 見受けられます。鳴き声はよく「ピーヒョロロ」と日本語では書かれれます。

Ronald Toby
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From: Elizabeth Oyler <eaoyler@artsci.wustl.edu>
Date: November 29, 2005 4:59:27 GMT+09:00
Subject: [pmjs]  Re: falcons

Morgan,

これは鳶だと思います。鳥を識別するリンクを送ります。
http://www5b.biglobe.ne.jp/~raptor/gallery.htm.

お祖父さんの名声のせいだとはおもいますが、あなたが翼の形状で何でも識別できるとペダンティックな人々は思ってるようです。

Best wishes,
Elizabeth
--
Elizabeth Oyler
Assistant Professor, Japanese
Department of Asian and Near Eastern Languages and Literatures
Campus Box 1111
One Brookings Drive
Washington University
St. Louis, MO 63130
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From: Morgan Pitelka <mpitelka@oxy.edu>
Date: December 4, 2005 1:14:57 GMT+09:00
Subject: [pmjs]  tobi: black kites

皆様。

鴨川河畔で目撃しました猛禽についての博識かつ面白い返信をありがとうございました。ボストンMFAのRachel Saundersは鷹狩りについてもう随分長い間研究していますが、英国のNational Birds of Prey Centre(国立猛禽類センター)の前センター長に問い合わせてくれました。その方の信頼するに足る推測は、皆様の返信を支持するものであったことを記 しておきます。

「まさにその通り、疑いなく鳶(Black Kites)です。全く危険ではありませんが、盗みに長けたパラサイトです。人間の手から食べ物をひったくりますが、身体が大きい割には、足は小さくて人 を傷つけません。飛翔に長じ、足使いが巧妙です。わたしはこの鳥が大好きで、ここでもこの鳥を飛ばします。とても神経質ですので、食べ物だけを掴むとすぐ に飛び去ります。インドでも、アフリカでもそうです。私は日本でピクニックのテーブルから食べ物を奪ったのを見ました。その場に遭遇できるのは名誉です。 写真の鳶( a yellow-billed kite)は鳶(Black Kites)の亜種でアフリカにいます。(写真に写っている) Gareth君 が指先にほんのちょっとの肉を持っています。」


ここで言及されている写真は以下のページに恵サシしておきました。
http://faculty.oxy.edu/mpitelka/kite.jpg


私のもともとの写真は以下のページです。比べて下さい。
http://faculty.oxy.edu/mpitelka/taka1.jpg,
http://faculty.oxy.edu/mpitelka/taka2.jpg,
http://faculty.oxy.edu/mpitelka/taka3.jpg


多くの会員のかたが京都や日本の各地、特に水際で同じような経験をなさったようです。

Best,

Morgan

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Morgan Pitelka
Swan Hall S115
Occidental College
1600 Campus Road
Los Angeles, CA 90041

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From: Robert Khan <rk16@soas.ac.uk>
Date: December 13, 2005 9:49:15 GMT+09:00
Subject: [pmjs]  Re: tobi: black kites


猛禽類についての最近のやりとりから、皆様に以下のすばらしい説話について注意を惹いておきたいと思います。『今昔物語』第巻二十五の「鷹の夢」[語第八 「源頼親朝臣、令罸清原]があります。

動物に対する仏教的扱いという面からしても、またリアリズムの展開という面からしてもテキストとして最適の物語です。己の職業への専心、夢の理解、悟りの 境地、そして、家族の情愛などが極めて見事に描かれています。また12世紀ごろの鷹匠の備品や技術の豊富な知識も鮮やかに叙述されています。古典の授業で 何年も何度も講義していますが、いまだに深く心を打たれます。

Robert Khan
University of London, SOAS
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From: Michelle I Li <mioli@stanford.edu>
Date: December 13, 2005 17:30:35 GMT+09:00
Subject: [pmjs]  Re: tobi: black kites

私も又Robert が書いていました話しに心動かされました。猛禽類についてのやり取りが続く間ずっと説話にあらわれる鷹のことを考えておりましたが、言及するのをためらっ ておりました。

大外記中原師元が筆録した聞書、藤原忠実の中外抄には、どうして鷹狩りをやめたのかという理由のひとつとしてこの話か、あるいは似た話が載っています。女 房から聞いたとしています。これは平安時代の、口承から説話へとの具体的な証左のひとつでありますから、歴史的な重要性もあるわけです。他には天狗は鳶で あったというのもあります。

Sincerely,
Michelle Li
-----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------From: eiji sekine <esekine@purdue.edu>
Date: December 22, 2005 13:19:19 GMT+09:00
Subject: [pmjs]  AJLS 2006 Call for Papers

AJLS2006 
「表象文化と旅:過去・現在・未来」
2006年7月1〜2日 城西国際大学東京紀尾井町キャンパス
大会議長 水田宗子、大会運営委員長 三木紀人

CALL FOR PAPERS
2006年度AJLS学会では、日本文学を中心とする表象文化における旅と、その変容
に関する報告およびパネルを募集する。
旅は、本拠地からの移動と滞在を広くさす語である。したがって、旅とその表象
は、その主体の意思の強弱や娯楽性の濃淡によって、さまざまな様相を呈してい
る。加えて、現代では、科学技術の発達により、旅自体が外には宇宙、内には体
内へ、また、現在・未来へと、空間的・時間的に大きく拡大しつつある。これら
旅の変容は、日本の表象文化においてどのようにとらえられてきたのか、改めて
考える機会としたい。
神話世界からみられる「貴種流離」の概念は、社会的・政治的背景に基づく移動
者たちの表現に受け継がれている場合が多い。一方、信仰に根ざした物詣や、歌
枕や名所旧跡を訪ねる旅は、信仰や文芸といった目的と同時に旅そのものを楽し
む精神を形成していった。また、明治期には、探勝的景観を求めて、人々は旅に
出かけ、新たな「風景」を発見した。
後者は、日本の観光の基礎ともなったが、ここで文学はいわば旅の動機づけの役
目を担う一方で、絵、写真、テレビ番組、映画などのメディアとともに、風景の
集団的表象を量産し、そして更なる旅を生産した。そして、近現代において旅行
は、大衆産業として発達し、今も社会の要請に伴って、環境と自然、癒しなどの
要素を取り入れ、変化しつづけている。いまや観光は国策(観光立国)ともなっ
ているが、そこで文学と旅の関係性がどう利用され、変化するのかも注意され
る。また、旅行会社とメディア産業の結び付きにより、旅先で読む文学が配信さ
れるしくみまで誕生し、読むという行為に変化を与えている例もあり、もはや文
学も旅も経済行為にしっかりとからめとられているといえよう。
この度募集する報告の主題は、以下のものを含むものとする。

表現主体と表現形式
・ 視点の所在、読み手の存在
・ ジェンダーと旅
・ 語り、吟遊
・ 道行文
・ 和歌・連歌・俳諧と旅
インナートリップとしての旅
・ 信仰の旅(物詣、巡礼、修行、勧進)を記すこと
・ 成長小説としての旅文学、旅の文学における自己発見
・ 虚構としての漂泊文学
・ ユートピア・ファンタジィ・童話
移動と越境・異文化理解・異文化接触
・ 神々の旅(貴種流離、まれびと)や政治的漂流(地方赴任、左遷、亡命)な
どを中心に
・ 現在と過去、都会と田舎、故郷と外国、日常性と非日常性
・ 異文化へのまなざし—享受、順応、拒絶
・ 優位者、観察者としてのまなざし−植民地視察、出稼ぎ・入植者の記録
・ 異文化接触の反転としての自文化発見、自己相対化
・ 修学旅行、留学、研修におけるカルチャーショック
現代文化と旅
・ メディアおよび発達と旅文学
・ ツーリズムの変化(観光、癒し、環境)
・ 高齢化社会の旅と文学

上記のカテゴリーを参照しつつ、新しい研究領域・研究方法の開拓、もしくは有
益な資料の発掘など、研究の発展に寄与する論文と発表を、多数ご応募お寄せい
ただけるよう期待している。
締め切りは、2006年3月1日、要旨は250字以内。郵送先:102−0094千代
田区紀尾井町3−26城西国際大学(紀尾井町キャンパス)。問い合わせは、下
記のメールアドレス、またはファックスで受け付けます。E-mail:
ajls2006@jiu.ac.jp; Fax: 03-6238-1299. 大会運営委員(川野有佳、岡田美也
子、樂殿武)に御連絡下さい。

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From: Barbara Nostrand <nostrand@acm.org>
Date: January 5, 2006 22:42:37 GMT+09:00
Subject: [pmjs]  Engishiki Question


イイノ リョウイチ氏による『延喜式』にあらわれる醤油製法に触れている論文を読んでおりますが、『延喜式』のどのあたりに出てくるのかについては触れら れていません。どなたかどの辺に出てくるかおわかりの方はいらっしゃいますでしょうか。『雍州府志』には最初の醤油生産についての記述があると当該論文に あります。当該書はどこにはいっているでしょうか。おわかりの方がいたらお教え下さい。

                                            Barbara Nostrand

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From: Lawrence Marceau <l.marceau@auckland.ac.nz>
Date: January 6, 2006 4:37:03 GMT+09:00
Subject: [pmjs]  Re: Engishiki Question

Hi, Barbara,

皇學館大学のウェッブサイトに『延喜式』の手軽なインデックスがあります。

http://www.kogakkan-u.ac.jp/engishiki/

このサイトで「醤」の語で検索しましたところ、8例ほどヒットしました。どれが醤油生産についてのものなのかまではみませんでしたが、見つけるのは容易か と思われます。


『雍州府志』に関しましてですが、これは古代の書物ではなく京都の日報というようなもので、黒川道裕によって17世紀末に編集されたものです。影印があり ます(新修京都叢書、臨川書店、1994)。

    I hope this helps.

    Lawrence Marceau


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伊井春樹[編]『世界文学としての源氏物語 サイデンステッカー氏に訊く』(笠間書院 2005年10月)
http://webcat.nii.ac.jp/cgi-bin/shsproc?id=BA74334050
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4305703114/

川添房江著『源氏物語時空論』(東京大学出版会 2005年12月)
http://webcat.nii.ac.jp/cgi-bin/shsproc?id=BA74806003
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4130860348/

The University of California Press  is pleased to announce the publication of:
Japan in Print: Information and Nation in the Early Modern Period
by Mary Elizabeth Berry is Professor of History at the University of California, Berkeley. She is the author of _The Culture of Civil War in Kyoto_ (California, 1994) and _Hideyoshi_ (1982).
http://go.ucpress.edu/Berry
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/0520237668/


英語の原文は以下のページにあります。
http://www.meijigakuin.ac.jp/~pmjs/logs/2005/2005.03q.html
http://www.meijigakuin.ac.jp/~pmjs/logs/2005/2005.04q.html
http://www.meijigakuin.ac.jp/~pmjs/logs/2006/2006.01q.html

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