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様々な背景を持った人との出会いを求めて

2024.03.13

ボランティアを始めるきっかけはひとそれぞれだと思いますが、私がボランティア活動に取り組んだ理由のひとつに、様々な背景を持ったひとと出会いたいというものがありました。自分が今いるコミュニティを離れ、立場に関係なくたくさんの方と対話することで、自分の価値観もアップデートしていきたいと思ったのです。そんな私の想いを活かせる場が、1 Day for Others(以下、1Day)という1日社会貢献プログラムでした。

野老 夏未 社会学部 社会学科 4年 趣味は音楽。トランペットをはじめとする楽器もいくつか経験。今ではボーカルとして様々なジャンルの曲を歌っていて、音楽に囲まれた生活を送っている。おすすめは1970~80年代の邦楽・洋楽! 明学の好きなところは、様々な場面でDo for Othersが感じられるところ。

支えられたことへの恩返しがしたい

私の中には、困難や苦悩を抱えていた時期に、そばにいてくれた家族や友人、学校の先生などの姿が常にあります。私と同じように支えを必要としている人の力になりたい。そんな思いから、大学生になったら絶対にボランティアをする!と心に決めていました。 “Do for Others”を教育理念に掲げ、ボランティア活動が盛んな明学への入学は、その気持ちをさらに後押しするものでした。しかし、入学したのはコロナ禍の真っ只中。すぐにボランティア活動をすることはままなりませんでした。3年生になり、行動制限が緩和されたタイミングで、1 Dayの存在を知り応募をしました。

こだわりを持たないことで出会えた社会課題

約1年で、「国際交流」「多文化共生」「環境保全」「こども」「まちづくり」「障がい」「文化振興」とジャンルの異なる7つのプログラムに参加し活動をしました。

特に印象的だったプログラムは、横浜市戸塚区のさくらプラザ(文化・芸術拠点施設)が受入先となった「春の芸術祭2024ホールイベント」でのサポートです。演奏団体の誘導や舞台上の転換、影アナウンスなど、舞台裏のお手伝いをしました。出演者のなかには私と同世代の障がいのある男性がおり、舞台袖で緊張されている様子をみて「絶対うまくいきますよ!」と励ましの声をかけて送り出したところ、素晴らしい演奏を披露され、演奏後は満面の笑みで「ありがとう!」と握手してくださったことが印象的でした。年齢や立場など背景の異なる様々な方が、音楽だけでなく、手芸や絵画など様々な表現方法で個性や強みを発揮されている様子を目の当たりにし、純粋にワクワクし心動かされる1日となりました。

もうひとつは、「かながわボランティアフェスタ」に出展するミントの会(イランの障がい者を支援)のブースサポートです。ミントの会は、事故によりご自身も車いすで生活されているイラン出身のパシャイさんが代表を務め、障がいのある当事者のご家族、行政などと一緒に障がい者の自立支援をする団体で、1Dayでは団体の活動紹介などを行いました。このイベントには、ほかにも様々な分野のボランタリー団体が参加しており、発展途上国の教育支援、不登校の子どもの居場所づくり、骨髄バンクの普及促進など、活動に携わり困難に立ち向かってきた方々の経験に触れる貴重な機会となりました。もし、関心のある分野に絞り参加するプログラムを決めていたら、決して出会うことができなかった世界がそこにはありました。

当事者の未来に想いを馳せる

一方、ボランティアの現場だけでなく、大学での授業や参加していた「内なる国際化プロジェクト」でも、障がい者・高齢者福祉、多文化共生など、立場や文化、宗教、民族といった従来の枠組みを超えた多様な価値観を学んできました。マイノリティは立場が弱く、できることが少ないと思われがちですが、よかれと思ってあれこれサポートすると、当事者が自分で立ち上がるという自信やエネルギーを奪ってしまうこともあるという話は特に印象に残っています。

「ただ支える」だけでなく、当事者の未来にとって本当に大切なものを問い直すという授業での学びは、1Dayの現場でも非常に重要な考え方であったと感じています。また、ボランティア活動を行うようになってからは、悩みを抱えて困っている友人、道に迷い立ち止まっているお年寄りなど、ふとした瞬間に周囲の人がどのような状況にあるかを察知しアクションを起こす癖がつきました。もちろんうまくいかないこともありますが、そこで終わらせずそのちょっとしたモヤモヤを大切に持ち帰り、どうしたらよかったのか考えてみる。その思考が大事で、新しい気づきにつながることもわかりました。

将来のビジョンを与えてくれたボランティア活動

卒業後は、医療・福祉・災害復興などに携わる団体職員として働く予定です。もともとは、音楽・メディア関係の仕事をしたいと考えていましたが、ボランティア活動や大学の授業を通して、あらゆる人々に直接貢献できる仕事がしたいと思うようになり、関心が大きく変わりました。現在の進路にたどり着くきっかけとなった様々なご縁や学びに感謝しています。社会に出ても、人とのつながりを楽しみ、学び続けたいです。

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