研究活動

共同研究

2016/04-2018/03 企業の社会的責任と市民の社会的関与の研究
      大学と社会をつなぐ体験的な学びの視点から
2016/04-2019/03 都市の目、都市の耳
2015/04-2018/03 雑の研究―グローバル化する世界における多様性
2015/04-2018/03 領有権問題の克服に向けて
2014/04-2017/03中国におけるエネルギー開発と環境保全の課題
2013/04-2016/03アジア・アフリカ地域における資源開発の政治経済学分析―構造調整期の再検討―
2013/04-2015/03インターンシップの運用および学習成果に関する研究
2013/04-2016/03越境する音と国際関係史
2012/04-2015/03核時代における軍縮努力:今日の人道的アプローチと非核地帯化の論理の歴史的展望
2012/04-2015/03流域文化圏形成の研究
2011/04-2014/03『排除する社会規範』を超えたコミュティづくり
2010/04-2013/03弱さの研究
2010/04-2013/03グローバリゼーションと日本における音楽演奏の変容
2009/04-2012/03南北問題の学際的研究
2009/04-2012/03海と山が醸成するアジアの文化
2008/04-2011/03中国における局地経済圏の形成と経済開発区の役割
2007/04-2010/03世界秩序の変容と国家
2006/04-2009/03GNH―豊かさという概念を問い直す
2005/04-2008/03アフリカにおける自然資源の持続的利用と地域開発
2005/04-2008/03中国社会変動における村落と家族
2004/04-2007/03家畜と人間社会
2003/04-2006/03前近代と近代社会におけるジェンダー、身体、セクシュアリティの考察
2002/04-2005/03ボランティア論の構築に向けての国際学的研究
2002/04-2005/03東アジアにおけるポスト植民地化における歴史認識とアイデンティティ形成について
2001/04-2004/03『スモール・イズ・ビューティフル』の再評価
2001/04-2002/03公共事業と漁業権に関する研究
2000/04-2003/03Small Island States Project
1997/04-2000/03「中国における発展の持続可能性」
1997/04-1999/03「冷戦後の核問題」
1997/04-1998/03「宗教と普遍主義」
1996/04-1997/03「ジェンダー文化的境界国家-理論と事例研究」
1994/04-1997/03「国際学の展望」
1994/04-1997/03「間共同体」
1993/04-1995/03“Religion, Politics, and Ethnic Violence in a South Asian Society: SRI LANKA”
1993/04-1996/03“Narrative Space, Narrative Time : Text and Image”
1993/04-1996/03「少数者とエスニシティ」
1991/04-1994/03「21世紀地球社会のパラダイム」
1991/04-1994/03「近代天皇制」
1990/04-1993/03「日本占領下の東南アジア」

 

2016年度

テーマ 企業の社会的責任と市民の社会的関与の研究
     大学と社会をつなぐ体験的な学びの視点から
期間 2016/04~2018/03
代表 齋藤百合子
メンバー 吉井淳、櫻井結花(桃山学院大学)
目的・意義 グローバル時代の製造業や水産業などでは原料調達から生産、そして流通過程におけるサプライチェーンが加速している。こうしたサプライチェーンにおいて人権侵害や環境汚染が発生しないよう、もしくは発生した後の改善など、人権遵守や労働環境の向上、そして環境への配慮などの説明責任と改善が企業に求められている。一方、高等教育機関では国際競争力増強のための「グローバル人材」の養成が求められているが、経済界が求めるスキルを備えた「グローバル人材」の養成だけでなく、労働環境や自然環境に配慮しながら持続的社会を形成していく市民としての意識の醸成=市民教育の養成は軽視されている。学習経験の中で現実に直面しても深く考察できない大学生も増えている。  上記を背景に本研究は3つの目的をもつ。ひとつは、一企業における社会的責任、サプライチェーンのサプライヤーや消費者を含めた企業や産業界の社会的責任について研究すること、2つ目は企業だけでなく、「安価なモノ」を求める消費者としての市民の社会的責任もしくは社会的な関与に関する研究である。3つ目は企業の社会的責任と市民の社会的関与についての関連を考え、課題を発見し、課題を解決する方法を考える教育素材を開発することである。  本研究の意義は2つある。まず、グローバル企業と呼ばれる企業やそのサプライヤー、生産者そして消費者という各ステークホルダーにおける人権・労働問題や環境問題として発生している実態を、現場から学び開発学、経営学、そして国際法という異分野横断型の研究が可能で、国際学、平和学、教育学的な貢献が可能であることである。次に本研究でとりあげる研究事例を課題として提示し、問題解決型(Problem Based Learning)の教育手法を研究することによって、体験型学習(フィールドスタディやインターンシップなど)で活用可能な教材開発が検討されることである。おもに国際的なキャリアを考える若者に有益な教育手法を提供する機会が期待できる。
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テーマ 都市の目、都市の耳
期間 2016/04~2019/03
代表 半澤朝彦
メンバー 平山恵、野口久美子、岩永真治(社会学部)
目的・意義 グローバル化とは「世界の都市化(ネグリ&ハート)」でもある。政治と文化の交錯を読み解くことは、ポストモダンにおける都市文化の創造に必須である。今回、社会学部の岩永教授との連携を行うことにより、これまでの座学的傾向を改め、いわゆる「町づくり」「地域おこし」の活動を通じて実際に地域社会の中に入り込み、音楽や音意識のみならず、デザインや絵画、建築など視覚的要素を研究に取り入れ、さらなる学際的拡がりを目指すとともに、学生や地域の人々を巻き込んだ幅広い知の構築を目指す。
従来も、政治学、国際関係学、音楽社会学や文化人類学等の越境的・学際的な連携を追求してきたが、表象文化論の中でも、聴覚的表象に関する研究の蓄積や理論化は相対的に遅れている。したがって、本研究の意義は、第一に、グローバル化研究や帝国論において(他の社会科学の領域同様に)等閑視されてきた音情報や音楽の政治社会的な意味を深く考察し、より研究が進んでいる視覚的表象に関する知見との統合を図ることである。
第二には、都市化(アーバニゼーション)の問題を焦点に据えることによって、グローバリゼーション研究のさらなる進展を図ることである。文献的な実証性のレベルを超え、従来の文書中心の国際関係学や政治学、歴史学のフロンティアを広げたい。
また、この研究は、「町おこし」「地域おこし」を実践的・理論的に考察することによって、単なる観客動員や啓蒙的イベントにとどまることのない、新しいタイプの地域政策提言につながるほか、明治学院大学の研究・教育・勤務環境の改善に貢献し、広く社会に新しいライフデザインを発信するきっかけとなる可能性がある。
活動報告  

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2015年度

テーマ 雑の研究―グローバル化する世界における多様性
期間 2015/04~2018/03
代表 大岩圭之助
メンバー 高橋源一郎、中村寛(多摩美術大学)
目的・意義    生物多様性や文化多様性などの文脈で多用される「多様性(diversity)」という現代社会のキーワード(でありながら、同時に、いまだに思考言語の中になじまない概念)について考えるために、この研究では日本古来の「雑」の概念と照らし合わせながら、社会的価値観としての「雑」と、自然における「雑」(例えば、雑木林、雑穀、雑草,雑菌)のインターフェースに光を当てたい。そして、逆に、この概念を梃子として、グローバリゼーション下で進む、社会的、そしてエコロジー的な均質化、“精神のモノカルチャー化”についてのより深い理解と批判を目指す。
   日本語の「雑」は、その意味自体が多様である。①種々のものが入りまじること。混ざっている状態で、均一、純粋でないこと。②主要でないこと。③分類しにくいこと。定義がはっきりしないこと。③有用でないもの。余計なもの。④粗くて、念入りでないこと・・・。これらの意味はどれも、効率や均質性の重視を特徴とする現代の合理主義社会において、負性と否定性を刻印されているものばかりだ。その意味で、「雑の研究」は、やはり大岩と高橋を主要メンバーとして行われた「弱さの研究」(2010~2013)を引き継ぎ、さらに発展させる試みだといえる。「雑」という“弱さ”が秘めている可能性を明らかにすることで、危機深まる現代社会を乗り越えるための道を開きたい。

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テーマ 領有権問題の克服に向けて
期間 2015/04~2018/03
代表 孫占坤
メンバー 高原孝生、波多野英治(ヤングン大学)
目的・意義    「住民」、「政府」に並び、「領土」が近代主権国家を構成する3要素の一つであるだけに、領有権紛争は従来から国家間の武力衝突や戦争を引き起こすことがしばしばあった。1960年代の非植民地化運動以降、資源ナショナリズムや天然資源に対する永久主権の意識の高まりで、海の境界争いを含めた領有権紛争が以前にも増して国際社会の平和を脅かす大きなファクターとなってきた。近年の尖閣諸島や竹島問題に至っては、領有権紛争は資源問題に留まらず、関係各国の愛国心やナショナリズム意識の強化、更に軍備拡張、政治体制の転換のために利用され、東アジア地域の平和を危機に陥れていると言って過言ではない。
   このような状況認識の下、本共同研究は領土・海をめぐる領有権紛争とナショナリズムの関係や、紛争解決における国際法の役割、紛争の悪化・防止における信頼措置の醸成などについて研究し、領有権紛争の克服を基本的な研究目的とする。このような研究は、眼下危機に瀕している日本の平和(主義)の取戻しには勿論、アジア地域、ひいては国際社会における「法の支配」や平和と安全の維持を考える上でも重要な意義を有するものであると理解している。

活動報告  

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2014年度

テーマ 中国におけるエネルギー開発と環境保全の課題
期間 2014/04~2017/03
代表 田暁利
メンバー 熊本一規、袁鋼明(中国社会科学院)
目的・意義
  1. エネルギー需給が中国経済の持続発展を左右する現状の認識  2010年時点で中国はアメリカを抜いて世界最大のエネルギー消費国となった。その原因は中国経済の急成長に起因することは言うに及ばない。2000年から10数年間、世界の石油貿易量の増加分の37.6%が中国の石油輸入量によって占めることとなった。 さらに中国の主要なエネルギーの石炭の輸入量も急増している。2011年には中国の石炭輸入量は1億8240万トンとなり、長年、世界最大の石炭輸入国であった日本の1億7522万トンを上回り、世界最大の石炭輸入国となった。石炭を主要エネルギー源とした結果、中国は二酸化炭素排出大国、環境汚染大国となった。
  2. エネルギー政策転換と問題点の究明 急速な経済発展による活力と待ったなしの深刻な大気汚染を背景に、中国政府はエネルギー政策の転換を余儀なくされた。中国政府は新エネルギー分野を産業戦略面からも重視し、第12次5ヵ年計画(2011~2015)では将来の支柱産業を目指す「戦略的新興産業」として位置付けている。新エネルギー分野の開発・普及は環境面から見れば、もはや不可欠である。  そこで、本研究の目的と意義は中国のエネルギー政策の転換に伴う問題点を指摘し、その改善策を提言することを試みることにある。
活動報告  

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2013年度

テーマ アジア・アフリカ地域における資源開発の政治経済学分析―構造調整期の再検討―
期間 2013/04~2016/03
代表 賴 俊輔、勝俣 誠
メンバー 孫占坤、芳賀 貴子(国際学研究科博士後期課程)
目的・意義 「南」における資源問題は、新興国(例えばBRICs)の需要急増もあり、大きな国際政治経済問題となっている。本研究は、構造調整期のアジアとアフリカを対象として、資源問題の性格と範囲を政治経済学の手法で明らかにすることを目的とする。
  その意義は2つ存在すると思われる。

  1. 構造調整期(1980-90年代)の政治経済学からの地域研究を踏まえたアジア・アフリカの事例研究は未だ 充分になされていない。
  2. 「資源争奪」を 領土ナショナリズムの限界と踏まえて、そもそもグローバル化する経済において資源の占有はどんな意味を持つのかを国際学の手法でも問い直してみる。
活動報告  

テーマ インターンシップの運用および学習成果に関する研究
期間 2013/04~2015/03
代表 吉井 淳
メンバー 斎藤 百合子、櫻井 結花(立教大学)
目的・意義 <研究目的>
本研究の目的は、以下3点である。
 
  1. 国内および外国の大学が、国外にインターンシップを派遣するプログラムにおける運用状況を把握し、より安全に、またプログラムの質を高めるための先行実践事例を検討する。
  2. 大学教育における学外および国外に学生を派遣する体験型学習および教育プログラムに関して、学習成果を検討する。とくにグローバル人材Global Human Resourcesが求められている昨今、国際インターンシッププログラムがグローバル人材育成にどのように貢献できるのかを探る。
  3. 1と2の考察および分析により、本国際学部のインターンシッププログラムの教育の質の向上と新たなプログラム開発の可能性の探求、および運用面での安全管理に寄与する。
    <研究の意義>
    本研究は、体験的学習としての理論研究だけでなく、理論に基づいたプログラム設計とプログラムを実践していく際の運用事例の比較という実践的な研究である。とくに、国際学部で実践されているインターンシッププログラムの質を向上させ、安全管理に配慮した運用に関して検討することで、持続可能でよりよいプログラム開発に寄与できる。
    また、本研究チームは、学内の国際交流や学生の国際的な派遣事業に携わる吉井淳教授と、本学の経済学部で国際経営に関する海外研修プログラムを開発・実践してきた櫻井結花国際学部付属研究所研究員および国際学部インターンシップ担当の齋藤百合子で構成しており、それぞれがこれまでの知見を活かすことが可能である。また萌芽的ではあるが本研究成果は本学部および学内のプログラムに寄与できる。
活動報告 『研究所年報』第18号 最終報告書

テーマ 越境する音と国際関係史
期間 2013/04~2016/03
代表 半澤 朝彦
メンバー 森 あおい、平山 恵、細田 晴子(日本大学)
目的・意義 本研究は、グローバル化によって変容する日本の音楽や音意識を扱ったこれまでの共同研究を発展させたものである。それなりの研究蓄積がある日本音楽史と異なり、グローバルな音楽や音の政治的相互関係の全体像は非常に曖昧なままである。当然、本研究でも全世界をカヴァーすることは不可能なため、ヨーロッパと日本のほか、アメリカ(ラテンアメリカを含む)とアラブ世界に着目し、音楽(作品)だけでなく、いわゆる環境音の越境の実相を探る。音に着目して、これら地域の歴史的な相互関係の考察と比較研究を行うのが目的である。
   本研究の意義は、第一に、グローバル化研究や帝国論においても(他の社会科学の領域同様に)等閑視されてきた音情報や音楽の政治社会的な意味を深く考察するという点にある。とりわけ「音楽ジャンル」を超えた総体的考察は、研究史上非常に大きな意義がある。いわゆる「音楽学」は、ほとんど「クラシック音楽」の研究に終始しており、「ポピュラー音楽研究」やカルチュラル・スタディーズとは統一的な像を結んでいない。一方で後者は、歴史的視点や実証性に欠ける傾向がある。本研究には、そうした問題点をできる限り克服・是正しようとする目的がある。
   第二には、音楽の実践や環境音の実際を考察の対象に積極的に含めることで、文献的な実証性のレベルを超え、音や音楽の越境的性格のより核心に迫ることができる点が挙げられる。文化を「情報」として捉えれば、越境するのは音だけではないが、音が与える影響の実相を踏まえることで、文字情報や視覚情報とは異なる、音や音楽に固有の特徴を明確化できる。
   さらに、実践的内容・考察を多く含む本研究は、明治学院大学の研究・教育・勤務環境の改善に貢献し、広く社会に新しいライフデザインを発信するきっかけとなる可能性がある。
活動報告  

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2012年度

テーマ 核時代における軍縮努力:今日の人道的アプローチと非核地帯化の論理の歴史的展望
期間 2012/04~2015/03
代表 高原 孝生
メンバー 勝俣 誠、孫 占坤、浪岡 新太郎、秋月 望、李 俊揆(北韓大学院研究員、ポスト・ドクトラル・フェロー)、 Benoit Pelopidas(Postdoctoral Fellow, Center for International Security and Cooperation, Stanford  University;スタンフォード大学国際安全保障協力研究センター研究員、ポスト・ドクトラル・フェロー)
目的・意義 今日の核廃絶への動きを、どのような歴史的文脈に位置づけるべきか。現在、オバマ政権の米国がまがりなりにも「核兵器のない世界」に向かうことにコミットしており、昨年のNPT再検討会議の最終文書では、初めて核兵器禁止条約(NWC)への言及がなされた。核軍縮NGOは軒並み、核兵器の非人道性を前面に出してNWCを目標に掲げるようになり、他方、従来からの目標である非核兵器地帯の拡大も、とりわけ北東アジアについて言及されるようになった。こうした今日の核軍縮アプローチの妥当性を、冷戦期のそれを振り返ることでとらえ直す。核不拡散条約でも明文で言及されている「全面完全軍縮」に特に焦点をあて、核軍縮と通常兵器軍縮との連関を考えることを、一つの着眼点とする。
こうした歴史研究と理論研究の重ね合わせは、あまり前例がなく、核兵器の非正統化をテーマとした研究の先駆者である米国モントレー研究所との交流は、原爆投下国である米国と被爆国日本との核廃絶論の対話としての意味もあるものと考える。
活動報告 『研究所年報』第19号 最終報告書

テーマ 流域文化圏形成の研究
期間 2012/04~2015/03
代表 竹尾 茂樹、大木 昌
メンバー 森本 泉、齋藤 百合子、戸谷 浩、猪瀬 浩平(明治学院大学教養教育センター)、 和気 一成(早稲田大学)
目的・意義 私たちは,ある地域の文化を,漠然としたものではあるが,ある程度識別可能な境界をもった文化圏(例えば「関西文化圏」のように)として了解している。ある文化圏が形成される要因には気候や地理的条件などの自然環境と,その地域が経験した歴史的な経緯とがある。現実には,自然環境と歴史的経緯とが複雑に組み合わされて文化圏が形成されてきた。文化圏研究では,現在目にする文化圏がどのような特色をもっているかを明確にし,他の文化圏と比較することは一般的であるが,これまで,個々の文化圏がどのように形成されてきたのかについては,資料的制約もあって,あまり研究されてこなかった。
本研究の目的は,地域的な文化圏形成の一つのタイプとして流域文化圏の形成を想定し,これを歴史的に検証することである。ここで「流域文化圏」とは,広義の河川ルート(河川沿いの道,河川の舟運,陸路および海路と河川の舟運との接合)を媒介とした人・物・文化の交流が醸成する文化圏のことである。文化圏の形成史はしばしば前近代に遡り,前近代社会の交通において河川ルートは重要な役割を果たしていた。今日の日本ではメディアと交通機関の発達により情報・文化の均一化が進行し,他方で,地域文化は相対的に薄められつつある。しかし,後者が全て消失してしまったわけではない。各地域には,方言,食べ物,祭りなど「基層文化」ともいうべき風俗習慣がある。「基層文化」の形成過程を厳密に解明することは非常に困難ではあるが,河川ルートを媒介とした文化の伝播と形成という視点を採用することにより,この問題の一端が明らかになるのではないかと考える。舟運の歴史,道の歴史そのものについては多くの研究はあるが,それらを流域文化圏形成という問題意識と結びつけた研究は,私見の限りきわめて少ない。この意味でも本研究は意義があると考える。なお,本研究では日本を主たる対象とするが,比較のため海外の事例もいくつか検討する。
活動報告 『研究所年報』第18号 最終報告書

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2011年度

テーマ 「排除する社会規範」を超えたコミュティづくり
期間 2011/04~2014/03
代表 浪岡 新太郎
メンバー 平山 恵、勝俣 誠、GILL, Tom、 HAMMOUCHE Abdelhafid(リール大学)、 中島 康予(中央大学法学部)、 カジマ・マルケス(セアラ州立大学)
目的・意義 国際社会でも、一地域社会でも、大学という限定された社会でも、そこに生きる人々が「心地よい」と感じるコミュニティに暮らすことが理想である。しかし、実際は何か社会的力が働いて、ある規範が作り上げられ、その圧力に引っ張られて生きている観がある。その力に抗おうとしても、いつのまにか長いものにまかれて、あきらめの境地になっていることはないか。特に社会規範が作り出す「排除」は人間世界が社会のゆがみの中で人為的に作り出した厄介なものである。日本では「いじめ」という現象の中でさまざまなコミュニティに現れている。子どもたちのいじめで問題視されている学校社会だけでなく、大人が作る会社社会や豊富な経験を持っている退職者社会においてさえ「排除」の問題が顕在化してきている。
本研究では、それぞれのコミュニティの中で排除されて「心地悪い」生活を余儀な除されている人々の実態を明らかにし、その要因を分析する。ひいては「排除する社会規範」にどのように対処していけば「心地良い」社会をつくりあげていけるのか検証する。
この研究は家族、学校、隣組といった小さなコミュニティにおける社会規範が地域社会、国家、国際社会という大きなコミュニティの社会規範に影響することを仮説としている。さまざまな事例を取り上げることによって、どのようなサイズのコミュニティにも共通する人間社会の「排除する社会規範」を考察したい。この研究が現実社会のネガティブな規範の改善に貢献できれば幸いである。
活動報告 『研究所年報』第17号 最終報告書

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2010年度

テーマ 「弱さの研究」
期間 2010/04~2013/03
代表 大岩 圭之介
メンバー 高橋 源一郎、向谷地 生良(北海道医療大学教授)
目的・意義 「弱さ」の必要性について
社会的弱者と呼ばれる存在がある。たとえば、「精神障害者」、「身体障害者」、介護を要する老人、難病にかかっている人、等々である。あるいは、財産や身寄りのない老人、寡婦、母子家庭の親子も、多くは、その範疇に入るかもしれない。自立して生きることができない、という点なら、子どもはすべてそうであるし、「老い」てゆく人びともすべて「弱者」にカウントされうるだろう。さまざまな「差別」に悩む人びと、国籍の問題で悩まなければならない人びと、移民や海外からの出稼ぎ、といった、社会の構造によって作りだされた「弱者」も存在する。それら、あらゆる「弱者」に共通するのは、社会が、その「弱者」という存在を、厄介なものであると考えていることだ。そして、社会は、彼ら「弱者」を、早急にそこから脱するべき状態、保護されるべき哀れな存在であると見なすのである。いや、社会の本音は、「弱者」を目障りであって、できるならば、消えてしまいたいか、そうでなければ、隠蔽するべきだと考えるのである。
だが、ほんとうに、そうだろうか。「弱者」は、社会にとって、不必要な、害毒なのだろうか。彼らの「弱さ」は、実は、この社会にとって、なくてはならないものなのではないだろうか(かつて、老人たちは、豊かな「智慧」の持ち主として、所属する共同体から敬愛されていた。それは、決して遠い過去の話ではない。
効率的な社会、均質な社会、「弱さ」を排除し、「強さ」と「競争」を至上原理とする社会は、本質的な脆さを抱えている。精密な機械には、実際には必要のない「可動部分」、いわゆる「遊び」がある。「遊び」の部分があるからこそ、機械は、突発的な、予想もしえない変化に対処しうるのだ。社会的「弱者」、彼らの持つ「弱さ」の中に、効率至上主義ではない新しい社会の「原理」の可能性を探ってみたい。
活動報告 『研究所年報』第16号 最終報告書

テーマ グローバリゼーションと日本における音楽演奏の変容
期間 2010/04~2013/03
代表 半澤 朝彦
メンバー 大木 昌、岩村 英之、有澤 知乃(東京外国語大学)
目的・意義 「グローバル化と音楽」という研究視角は、現在、西洋音楽中心の伝統的な音楽学のみならず、おそらくそれ以上に、いわゆる「民族音楽学」、社会学、文化人類学の分野において、大いに注目を集めているテーマである。コーディネータの専門である、歴史学、国際関係学においても、日本の西洋音楽受容史についての最近の研究の進捗状況、「ソフト・パワー」への注目を考えると、「グローバル化と音楽」という観点から新しい学際研究を行うに十分な研究史的素地が存在する。
本研究は、「グローバル化と音楽」という大枠を意識しつつ、次の二つの目的(焦点)を持つ。(1)日本における音楽演奏とグローバル化の関係を多面的に考察する。(2)歴史的、社会的な背景を考察する中で、「演奏」「享受」の具体的な行為に立ち入り、従来は技術的、演奏家だけの専門的知見と考えられている領域で文化の交流、混交、グローバル化による意識変容の影響などを探る。
これにより、本研究は次のような学際的かつ社会的な意義を持つことが期待される。(1)グローバリゼ―ション研究において、従来研究が手薄であった側面を明らかにし、グローバル化研究全体の発展に寄与する。とりわけ、世界史的文脈の中で現代日本の音楽環境の特質を明らかにする。(2)日本の音楽演奏の実践、音楽の楽しみ方に関して、新たな知見に基づいた提言を行うとともに、演奏と鑑賞行動の向上に貢献する。(3)日本や、日本の中の各地域のアイデンティティを生かした新しい「グローカリゼーション」のあり方を提言する。(4)音楽の分野からのアプローチが比較的手薄であった明治学院大学の研究・教育環境を改善し、就学、教育、勤務環境を文化的に豊かにすることに貢献し、また広く社会にも新しいライフデザインを発信する。
活動報告  

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2009年度

テーマ 南北問題の学際的研究
期間 2009/04~2012/03
代表 勝俣 誠
メンバー 大木 昌、涌井 秀行、高原 孝生、竹内 啓、井上 泰夫(名古屋市立大学)、中野 佳祐(英国国際政治学会、会員)
目的・意義 国際学部は国際学によって成り立っている。この領域はいまだ輪郭があいまいであるが、各所員の専門分野とすり合わせ、時代の思想、実践に切り込むことが、IISMの使命と考えている。
本研究は20年以上にわたるコーディネーター(勝俣)の南北問題構成のつきつける現代世界の諸課題と現代の社会・人文科学理論から再検することを狙いとしている。
第一の意義は、現代金融危機に代表されるグローバル化現象下における国際政治経済秩序の聞きを各専門分野から解読し、その課題と国際学の中に位置づけるという学問的営為により本学部の研究レベルの維持・拡充である。
第二は、南北問題を始めとする地球的課題に関する学部、大学院授業の内容向上の意義である。
活動報告 『研究所年報』第15号 最終報告書

テーマ 海と山が醸成するアジアの文化
――島嶼地帯および内陸山岳地帯の少数民族に見られる文化復興とアイデンティティ形成の研究
期間 2009/04~2012/03
代表 竹尾 茂樹
メンバー 大木 昌、大岩 圭之助、孫 占坤、森本 泉、石垣 金星(郷土史家・伝統芸能継承者)
目的・意義 沖縄県八重山地方ならびに台湾東部の原住民のコミュニティは、ともに黒潮に抱かれた島嶼地域で首都圏や台湾西部の開発地域から遠隔であり、また伝統的な共同体に根ざしたユニークな文化伝統を維持してきた。しかし昨今の東アジアの劇的な社会の変化のもとで閉じた社会を保つことはできず、世代交替にともない社会変動を経験しつつある。同様にベトナム北部の山岳少数民族や、ネパール共和国、中国チベット自治区といった内陸地域においても、急激な社会の組み替えが進行している。高度資本主義と国民国家の枠組みの中でこうした小規模で外部からの経済的・政治的な力に対して脆弱な社会が、その固有性を維持することはどのように可能か。先住民の自決権とアイデンティティが世界的な潮流になろうとしている中で、長らく培われてきた伝統的な祭祀や芸能、生業の技術などの精神・物質文化を現代の生活と状況にどうして合わせようとして、それぞれが独特の文化の醸成を行っている試みを検証する。
活動報告 『研究所年報』第15号 最終報告書
『研究所年報』第15号「近代化と『山の文化』の変容-マタギ文化の歴史的検討を通して-」

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2008年度

テーマ 中国における局地経済圏の形成と経済開発区の役割
――天津浜海新区(経済区)の開発と華北・西北地域の産業構造再編――
期間 2008/04~2011/03
代表 司馬 純詩
メンバー 田 暁利、白 雪潔(南開大学経済社会発展研究院産業経済研究所 所長)
目的・意義 研究の主目的は以下の二つである:
1.新区は後発型開発特区として、規模と多様性において優位性を持つ浜海新区の開発過程における(A)投資と開発対象の優先順位、(B)蓄積資本の増大に伴う資本・技術の呼び込み効果、の研究。
2.新区の形成に伴う中国西北部と華北地域の経済発展の調査研究。
3.新区は中国東北部と西北部、首都と華北の拠点窓口として貿易と外国投資に伴う物的・人的・資本的資源の流通回路の結束点であり、新区を経由する資源・製品の流通量と方向性の調査による奥地経済の開発・発展法則の研究。
上記目的に対応した天津浜海開発区は以下の特徴を持つ;
1.新区は東側黄海(湾)を隔てて国内は東北の入り口大連、東南の山東半島、外国は韓国・日本に海路を 開いている。
2.国内の東北三省、西北部、北京周縁、上海周縁への鉄道および陸路が整頓されている。
3.新区の規模は港湾を含む海岸線153キロメートル、総面積2270平方キロメートル(東京都の面積2187平方キロメートルを上回る)。
4.新区は3つの行政区(塘沽区、漢沽区、大港区城区地域)、3つの功能区(天津港、開発区、保税区)、既存の地場産業・商業区(海河下流冶金工業区、東麗区無暇街、津南区葛沽鎮)成り立つ。
5.人口140万(05年現在)。
研究の意義は中国型ハード及びソフト・インフラにおける普遍的経済開発の法則研究である。
活動報告  

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2007年度

テーマ 世界秩序の変容と国家
――「万国公法」の受容と中華システム――
期間 2007/04~2010/03
代表 秋月 望
メンバー 孫 占坤、石田 徹(早稲田大学政経学部助手)
目的・意義 中華システムとその外縁で「近代」をむかえたそれぞれの国においては、従前の世界観・世界秩序の変容を迫られた。問題になったのは、新たに持ち込まれた国際法(万国公法)秩序の「受容/拒絶」の問題だけではなく、従前の秩序(華夷秩序)をどのように評価し、どのように対処―継続なのか放棄なのか―するのかという問題でもあった。近代へのプロセスにおける世界秩序(世界観)の変容については、中国や朝鮮、そして日本における「万国公法の受容」というテーマですでに先行研究がある。このプロジェクトでは、先行研究を継承すると同時に、対象の領域をさら広げて、チベットや中国の西域(新彊ウィグル)についても考察を試みたい。チベットを中国「固有」の領土と主張し、チベットの分離独立運動を中国の「主権」、「領土保全」を破壊するものと非難する中国政府と、中国によるチベット支配を「外国による侵略」と非難して「民族自決」を主張する亡命チベット政府、両者は真っ向から対立していながらも双方の主張の核心、「主権」、「領土保全」と「民族自決」はいずれも国際法的発想である。そこには、中華世界の東縁部分で起きた在来の華夷的世界観の延長と断絶が強く影を落としていると考えられる。可能であれば、同様の文脈から、日本が傀儡国家として作り上げた「満州帝国」の国家論理も取り上げて検討したい。
これは、単に「過去における出来事」の研究ではなく、今日において自己や他者の「近代」を如何に評価し、現代社会における国際関係に投影しようとしているかに関わるテーマである。「華夷システムへの固執=後進性」という論理を掲げて「近代化」を無条件礼賛し、近代日本の侵略・戦争を正当化しようとする動きが頭を擡げてきている今日、我々がどのような近代化プロセスを経て今日に至っているのかという再検討が不可避となっている。
活動報告 『研究所年報』第13号 最終報告書

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2006年度

テーマ GNH――豊かさという概念を問い直す
期間 2006/04~2009/03
代表 大岩 圭之介
メンバー 大木 昌、平山 恵、小田 義起(大学院国際学研究科修士課程1年)
目的・意義 本研究の目的は、現在世界を席巻している経済成長至上主義のイデオロギーを支えている「豊かさ」や「幸福」観を相対化し、そのほとんど宗教的とも言える呪縛を解くことにある。シューマッハがビルマ仏教社会との出会いを通して仏教経済学を構想したように、また、カール・ポランニーが非市場社会の研究を通して経済人類学をつくりだしたように、豊かさ概念の相対化のため、主にアジアのふたつの仏教国であるミャンマーとブータンをレファランスとしてとりあげたい。この研究は、経済のグローバル化や、新自由主義的イデオロギーへの批判の一翼を担うことをめざし、そのために、すでに始まっている幸福主義(エウデモニズム)的、快楽主義(エピキュリアニズム)的アプローチをとる。(クライヴ・ハミルトン『経済成長神話からの脱却』、辻信一『スロー快楽主義宣言!』を参照)
活動報告 『研究所年報』第12号 最終報告書

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2005年度

テーマ アフリカにおける自然資源の持続的利用と地域開発
――生業アプローチを中心として――
期間 2005/04~2008/03
代表 勝俣 誠
メンバー 古市 剛史、Mamacon NDiAYE(ENDA-GRAF SAHEL)
目的・意義 アフリカにおける自然資源は急激な人口増、生活向上への願望、グローバル化の市場拡大傾向などにより破壊ないし悪化の一途をたどっている。その状況下では単に貴重な動植物が失われるだけでなく、自然資源の枯渇や砂漠化などの危機を通じて地域住民自身の生活・生業が脅かされている。かかる状況を克服するためには効率的な自然資源の持続的利用のプログラムを策定・運用することと通じ、新しい地域発展のあり方を検討・提案していくことが不可欠である。この手法は、国際学を貫く複数学問分野アプローチを十分に駆使して、環境教育および参加型開発的発展に関する知見を深めるに際し、ユニークかつ実効性のあるものを考えられる。
活動報告 『研究所年報』第11号 最終報告書

テーマ 中国社会変動における村落と家族
――大躍進から文革期の人口激動
期間 2005/04~2008/03
代表 涌井 秀行
メンバー 竹内 啓、孫 占坤
目的・意義 毛沢東の「大躍進」は,理想郷を建設するための前代未聞の実験であった。期待したはずの「私心のない兄弟のような」ソ連の援助は,帝国主義者の侵略顔負けの厳しい代償要求を伴うものであった。中国農民自らが,すなわち毛沢東自身が他人(国)の手を借りることなく理想郷・「共産主義社会」をつくり上げるようと決心した。毛沢東は,人民公社によって,地上初の共産主義の楽園を実現できると確信したのである。だが現実には,もっとも豊かな穀倉地帯でも,何百万人もの農民が餓死し,生き延びた人々も骸骨のようにやせ細っていたのである。推計3000万人の餓死者。いかに6億の人口を擁する当時の中国のとっても,その被害は惨憺たるものであったろう。いや中国ばかりではなく,人類にとっても「負の遺産」といえるだろう。
これに対する社会科学の方法論にもとづいた本格的な研究は,現在までほとんどないと思われる。その最大の理由は,中国政府が正確な人口統計データを公表しなかったことにあるが,近年これに関連するデータ (中華人民共和国人口統計資料彙編:1949-1985) が公表され,入手が可能となった。これによって,中国の省・市・郷・鎮の長期的なスパンの人口動態の把握も可能となり,人口変動の解析が可能となってきている。こうした,社会科学的アプローチによって,中国の人口変動とその社会に与えた影響の解明は,意味があるものと考えられる。「スターリンの粛清」と「毛沢東の『大躍進』」。いずれも20世紀社会主義が犯した「誤り」ではあるが,本研究によってこのいまだ未解明の「毛沢東の『大躍進』」とその帰結を解明することは,人類史にとって,大きな意義を持つものと思われる。
活動報告 『研究所年報』第11号 最終報告書

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2004年度

テーマ 家畜と人間社会
期間 2004/04~2007/03
代表 竹中 千春
メンバー 戸谷 浩、森本 泉、竹尾 茂樹、橋本 肇
目的・意義 地域研究と学際研究を基軸にした国際学の新たな展開として、それぞれ政治学・歴史学・地理学という3つの異なる学問領域を専攻する三人の研究者が、かなり異なる特徴を持ちながらも関連性もある3つの地域ないしは国・社会を事例として取り上げ、共通テーマ「家畜と人間社会」を切り口に、従来とは異なる切り口の分析を試みようとするものである。
研究上の意義を以下にあげたい。
1)新しく学部に加わったメンバーとともに、国際学のあり方を考えながら共同研究を行い、国際学自体の内容を検討していくこと。
2)「地域研究」として、すでに区切られている「東欧」とか「南アジア」という「地域」に拘束されずに、広大なイスラム圏と隣接する地域としての歴史を持ったハンガリーやインドという「地域」の位置づけや、家畜を重要な社会的資源とする農村性をもった「地域」としての3つの社会という位置づけによる比較を試みる。それによって、「地域研究」自体の再定義にも挑戦することになると思う。
3)先住民問題や環境問題など、今日の新しい課題は、あまりにも西欧近代的な人間中心主義の偏りに発しているとも言える。政治学・歴史学・地理学も、やはりそうした学問体系の一つである。改めてこの人間中心主義を批判する視座として、動物という思いがけない観点を挿入して、学問のあり方自体を問い直す契機を探してみたい。
活動報告 『研究所年報』第10号 最終報告書

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2003年度

テーマ 前近代と近代社会におけるジェンダー、身体、セクシュアリティの考察
期間 2003/04~2006/03
代表 合場 敬子
メンバー ワトソン・マイケル、Elizabeth Oyler(ワシントン大学アジア・近東言語学部)、Rajyashree Pandey(ラ・トローブ大学アジア研究学部)
目的・意義 前近代日本の文化と歴史におけるジェンダーとセクシュアリティのテーマは、広範な領域の専門家によって、最近非常に探求されてきた。ジェンダー役割を定義における言語、衣装、行動の役割は、歴史と文学の研究者の微妙な分析から恩恵を受けており、生物学的セックスとジェンダーの間の区別は、「とりかへばや物語」のような作品において研究されている。平安時代の日本では、女性作家が傑出していたので、この時代は、ジェンダーに関する最近の研究の大多数(例えば、 Field 1987, Sarra 1999)が焦点を当てている。江戸時代の日本も、平安時代の次に研究者の関心を引いている。特に「男性と男性の間のセクシュアリティ」(Pflugfelder 1999)のテーマに関してである。本研究では、先行研究で十分関心が払われてこなかった時代やテーマを検討する。時代は、鎌倉、室町時代であり、テーマは、「男らしさ」の表現(および自己表現)である。
近代社会においては、1960年代のフェミニズム運動を通じて、フェミニストたちはジェンダー概念を生み出し、その概念を使って、生物学的に決定されたのではなく、社会的に構築された男女の差異を説明してきた。一方、多くのフェミニストたちは、セックスを、「自然な」男女間の生物学的な差異として定義し続け、その基礎の上に、社会的・文化的性としてのジェンダーを定義したため、セックス自体が「自然」であるという認識を逆に強めることになってしまった。90年代に入り、このジェンダーとセックスを区別することに対する疑問が、主に身体を考察する研究を通じて提示されてきた。すなわち、身体、とりわけ男女間の身体的相違は、セックスの領域にあるとされ、不変のカテゴリーと見なされていたからである。幾つかの先行研究は、異性愛、セックス・カテゴリー、性化された身体の間の強い関係を示唆している。近代社会の研究では、この関係を実証的に考察することによって、ジェンダー概念の精緻化に寄与することが目的である。
この研究では、前近代社会と近代社会のジェンダー、身体、セクシュアリティの相互関係をそれぞれ考察し、相互に比較することを目的としている。身体とジェンダーに関する社会学的研究は、英語圏で近年急増しているが、日本ではわずかである。さらに実証的方法で探求している研究は殆ど存在しない。この点で、本研究は先駆的な意義を日本の社会学、文学研究において持つと言うことができる。
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2002年度

テーマ ボランティア論の構築に向けての国際学的研究
期間 2002/04~2005/03
代表 森本 栄二
メンバー 孫 占坤、条川 光樹(本学名誉教授)
目的・意義 ボランティアが関わる活動領域は無限と言っていい程、広範囲にわたっている。それだけに、その体験談は実に多様だ。しかし、その割には、この多様さを包括するような「ボランティアとは何か」「ボランティア活動とは何か」といういわば原点的な問いかけは意外と少ない。
「精神なきボランティア」「理想なきボランティア活動」と言われないうちに、この原点をよりよく見据えられるようにするため、(1)ボランティア活動及びボランティアが関わる活動の意味や役割について、多角的、国際的な視野から研究すること。(2)ボランティア活動を支える精神、理念を考慮することは、体験談中心のボランティア論から、論理性のある研究課題(対象)としての「ボランティア論」を構築できる可能性が見えてくる。
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テーマ 東アジアにおける歴史認識とアイデンティティ構築
期間 2002/04~2005/03
代表 竹尾 茂樹
メンバー 高原 孝生、竹中 千春、松島 浄(明治学院大学社会学部)、屋嘉比 収(琉球大学)
目的・意義 戦後社会をナショナルな区分によってつくられた均質空間であるという見方の有効性と限界については昨今さまざまな形で検証が行われている。それは一方で国際政治のアクターとして国民国家のみを想定しないで、地域とか市民社会などの役割を視野に入れるものである。他方では経済や文化の領域においても進行するグローバリゼーションの圧倒的な影響下で、各々の社会がことなる結びつき方をしはじめているという認識によっている。その際に第2次世界大戦以前に世界の編成のあり方としてあった「帝国」や「植民地」といった枠組みがじつは過去の遺制ではなくて、あらたな編成のもとに今日の社会関係を構成しているという議論がなされるようになった。また各々の社会においてはナショナリティーやジェンダー、レイス、クラスといった複数のカテゴリーが互いに錯綜しながら関連しあっているのが今日的な状況である。わらわれはこうした複合的な社会状況を当面「ポストコロニアル状況」とよぶ。そしてこうした社会状況の分析にあたって<歴史的な記憶>の問題と<アイデンティティ>構築の関連に着目した。その理由は、社会の構成メンバーがもつ「集合的記憶」の形成が、上に述べたような社会関係の編成、さらには個々人のアイデンティティ形成に重要な意味をもっていると考えるからである。そのことは近年の歴史教科書の記述をめぐる日本内外の議論や運動に端的に表れている。歴史的な記憶の生成と構築の過程はさまざまであるが、東アジアの社会のなかで進行しているいくつかのケースを、国際政治・平和学・比較文化論・社会学等の知見と方法をもって分析することをこのプロジェクトの目的とする。こうした共同作業を通じて、今日の社会編成についての動態的アプローチが可能になるであろう。
活動報告 『研究所年報』第8号 最終報告書

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2001年度

テーマ “スモール・イズ・ビューティフル”の再評価
――「持続可能な地域づくり」の現在――
期間 2001/04~2003/03
代表 大岩 圭之介
メンバー 涌井 秀行、竹内 啓、竹尾 茂樹、新原 道信(横浜市立大学商学部)
目的・意義 持続可能(Sustainable)な発展、開発、地域づくりということが、なが年言われてきたし、また様様な場所で実践されてもきた。「経済と環境」の両立という、この理論と実践は、しかし近年のグローバリゼーションとグローバリズムの流れの中で、どのように継続され、あるいは変容してきたのか。本研究では60年代から70年代に現れた「スモール・イズ・ビューティフル」という画期的な環境・経済・政治・技術・文化論に一度立ち帰り、それに照らし合わせるようにして、現状を考察しようと思う。そしてグローバリズムとそれに伴う環境破壊、モノカルチュラリゼーションを批判しそれに対抗する環境=文化論をつくる手がかりとしたい。
活動報告 『研究所年報』第7号 最終報告書

テーマ 公共事業と漁業権に関する研究
期間 2001/04~2003/03
代表 熊本 一規
メンバー
目的・意義 共同漁業権は特殊な権利である。それは漁協に免許されるもの漁協自身は共同漁業を営まず、組合員のうち関係地区に住む者のみが共同漁業を営める。そのことに示されるように、共同漁業権は江戸時代の海の入会に由来する入会権的権利である。したがってそれは財産権である。
ところが、多くの公共事業では、共同漁業権が入会権的権利であることが明らかにされず、権利者からの同意取得や権利者への補償が曖昧なまま、事業が進められるのが常である。
本研究では、現実の公共事業における、共同漁業権に関する同意取得や補償の実態を調べるとともに(1)共同漁業権とはいかなる権利か(2)共同漁業権を侵害する際にはいかなる手続きが必要かを明らかにすることを目的とする。
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2000年度

テーマ Small Island States Project
期間 2000/04~2002/03
代表 SEWARD Robert
メンバー SEWARD Robert、SHINOHARA Hatsue、HIRASHIMA Shigemochi、TAKENAKA Chiharu、YOSHII Jun
活動報告 『研究所年報』第6号 最終報告書

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