パリで暮らした三週間
私はこの夏、本学の協定校パリ・カトリック学院の留学プログラムに参加した。
滞在期間中、午前中の授業を終えると、午後はフリーに過ごすことができる。せっかくのパリだ、じっとしていてはもったいない!時間が許す限り、私は街中を歩き回った。街を歩いていると、たくさんの人、もの、景色、アートに出会う。リュクサンブール公園ではテーブルがチェス盤になっている一角で昼間からムッシューたちがチェスを楽しみ、メトロの中では小さな楽団が思い思いの曲を奏で、モンマルトルの道ではどこからかアコーディオンの音色が聞こえてくる。Rue du chat qui pêche「釣りをする猫通り」という通りには猫と釣り竿の可愛らしい壁画を発見したこともあった。また、親切で人懐こい人々には何度か助けられ、私たちの中には道端で出会った見ず知らずのおじさんにフランス語の発音指導を受けた人もいた。
そんなちょっと可笑しな出来事や素敵な風景まで、歩けば歩くほど次々に現れるパリの街は、こどもが大切にしまっているオモチャ箱のようだった。新しいものから古いものまで。些細なものから街のシンボルまで。じっくりとパリの街を見ることができたのも観光客ではなく住人として三週間過ごせたからのように思う。
さて、留学先のパリ・カトリック学院はサンジェルマン界隈にあり、立地・アクセスともに最適な場所である。指導してくれる先生も親切・丁寧で分からないところは皆がわかるまで説明してくれる。学校内の授業だけではなく、時には街へ飛び出して歴史や建物や人物についてフランス語で説明してくれるので楽しみながら学ぶことができた。「ヴェルサイユに行きたい」と話しかけると、「じゃあ今度クラスの皆で行ってみよう」と言ってくれ、先生と生徒の距離が近かったのもよかった。
想像しているのと実際に行くのでは大違いで、甘美なイメージだったフランスのビターな部分もたくさん見たように思う。また、先生と会話する中で自分の勉強不足に悔しい思いもした。そんな苦い経験も含めて、パリで生活するという貴重な体験ができたこの短期留学は学生生活で忘れられないものとなった。
3年 品竹