エマイユの世界

2014年4月28日

在校生のみなさん、こんにちは。2002年度生の飯田と申します。
現在、フランス中部のリモージュという街でエマイユを使ったアクセサリーを作っています。
エマイユとは七宝焼きのことですが、リモージュは « capitale des arts du feu »と言われるほど、
陶器、ガラス細工、エマイユ(émail)で知られている町です。
特にリモージュ焼きは聞いたことがある方もいるかもしれません。

私がエマイユに出会ったのは留学中のことでした。
エマイユ、エマイユって何だか良くわからないけれど七宝焼きなんてお年寄りがつける工芸品…だろう。くらいに思っていたのですが、 そこで私が出会った七宝焼きはカラフルなデザインのアクセサリーや小物ばかり、最初はそれが七宝焼きとも分かりませんでした。
ここで、いわゆる「浅草・七宝焼き」、「おじちゃんのループタイ」という私の七宝焼きに対するイメージは吹き飛ぶのです。
その色合いや感触が好きになり、そこから少しずつ自分で買い始めるのですがいつのまにか買うだけでは物足りなくなり…、「これ…、つくれたら楽しいなあ」と思い始めるようになりました。

でもまさかそんな職人技は無理だろう。と思っていたのですが 「何とエマイユを習う学校がある!」という事を知り入学、去年ヒーヒー言いながら何とかディプロムを取り、 現在ようやく自分の作りたいものを形にし始めたところです。

今思い返すと学生時代もこんな感じで、やりたいことがあればとにかくやって、失敗することもたくさんありましたが(その方が多かったです)、 それで得たものはどんな形でも自分の中に残っているのではないかな。と言う気がします。

また仏文学科の大らかな雰囲気も自分には合っていたのだと思います。
何か興味のあることがあって、確固とした理由があれば、 それがちょっと仏文学科の勉強内容とずれていても「まあ、がんばんなさい」と見守ってくださる先生方はとてもありがたい存在でした。
私にとってやりたい事にとことん打ち込む事が出来るのが学生時代でした。

でも、そんなに「やりたいこと」がある人ばかりではないと思いますし、もしかしたら仏文学科に入りたくて来たわけじゃない人もいると思います。でも、とりあえず自分の周りにあるものを何でもやってみると、そこから何かが見えてくるかもしれません。
つまんないな…。と思ってしまっている授業もとにかく、とことん聞いてみる。学科のイベントもめんどくさいな。と普段思うところを出てみる。ゼミの飲み会なども参加してみる。 本を読んでみる、たまには授業をさぼって映画を見てみる。etc...
その結果、何か面白いもの、やりたい事が見つかるかもしれませんし、見つからないかもしれません。

でもやってみないと何でも分からないですよね。

私自身も好きで初めてみたこのエマイユの世界ですが、まだまだ始めたばかりでこの先どうなるのかも分かりません。でも、それもやってみないと分からないので、やっています。
そしてやっぱり何より好きで楽しいことを続けていけるようには努力が必要なんだなと当たり前のことを感じて毎日作品を作っています。

私もまだまだですので「がんばってください」とは偉そうに言えませんが、
お互いゆっくりがんばりましょう!

※もしよければこちらがエマイユのサイトです
https://www.etsy.com/fr/shop/AtelierdeTomono

2002年度生 飯田

写真1枚目・・・エマイユの粉、これで色をつけます。クリスタルの粉です。
写真2枚目・・・製作過程。色を付けていく作業です。
写真3枚目・・・焼成中。釜の温度は850度~1200度。作るものによって温度を変えます。

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