スマートフォン版を表示
ホーム  >  コレクション紹介  >  コレクション

コレクション

1. 幕末・明治英学辞書コレクション

幕末から明治は「英学 (英語圏の学問) 」の時代であり、日本人が最も英語を学んだ時でもあり、西欧世界が日本語を学んだ時期である。通詞たちは海外の辞書を翻訳し「英和辞典」を作り、宣教師たちは西洋言語学の力により日本語を研究・収集し「和英辞典」を作成した。

辞書は「軍事と交渉の武器」に始まり「通商の道具」へと広がりをみせ、「文化交流と受容」へと発展した。開国から明治20年頃までは、近代国家としての日本の成立の中で、近代日本語として整理され、和英辞典の成立から国語辞典の成立につながっていく。

このコレクションは、初代総理ヘボン (J.C.Hepburn) の『和英語林集成』を中心に据えながら、幕末期から始まる英学辞書のほぼすべてを集めた日本有数のコレクションである。コレクションの最後は米国が太平洋戦争開戦後、ハーバード大学などで辞書を大量に複製し、占領に備えた「American Version」の辞書で終わる。

明治学院150年の所蔵と、卒業生で辞書史研究家である故岩堀行宏氏の寄贈により構成されている。全貌は『和英語林集成』デジタルアーカイブスの辞書年表に表示され、著名な辞書は表紙から約50枚のデジタル画像を付けている。

ページトップ

2. 幕末・明治英会話コレクション

英会話書の圧巻は1863年 (文久3) 発行のブラウン (S.R.Brown) 『Colloquial Japanese』である。天才的な日本語研究を元に、英文の句に日本語での丁寧な言い方と普通の言い方の二通りの文を付けた会話書は、幕府横浜英学所や商法講習所などで広く使われた。同書付属の日本語文法の解析と解説は時代の先端を切るものであった。

また、ブラウンの英語教育法書『Prendergast’s Mastery System, Adapted to the Study of Japanese or English』は読み書き中心の当時にあって、Oralを中心にした正統派の教育法である。 (共に本学デジタルアーカイブス「英学の光」に搭載) 。

日本人による最初の英会話書は1859年 (安政6) ジョン万次郎の『英米対話捷径』、外国人による最初の英会話書は1862年 (文久2) ヴァン・リード (VanReed) 『和英商話』であるが、共に極めて小品である。英会話書は当時の日本語を知る意味でも面白く、英語の発音の記載や、オランダ語訛の発音記載など、時代をよく映して楽しめるコレクションである。

ページトップ

3. 英学による近代日本語研究コレクション

条約締結による開国は、交渉や通商のため日本人が英語を学ぶ必要を急速に高めたが、同時に外国人が日本語を学ぶ必要も発生した。このコレクションは宣教師や商館長などによる、西洋言語学による近代日本語の文法解析と研究の成果であり、現代日本語文法への影響も大きい。本学教員の研究はデジタルアーカイブ「英学の光」に搭載した。

ページトップ

4. 聖書和訳コレクション (付属 讃美歌コレクション)

現代において聖書はその地域の言葉で訳され、世界中で配布されている。

聖書和訳はいくつもの試みがあるが、各教派合同での翻訳は、明治元訳 (新約・旧約) 大正改訳 (新約) 、戦後の口語訳 (新約・旧約) 、新共同訳 (新約・旧約) である。明治学院の教師たちは明治元訳と口語訳に特にリーダーシップをとった。

明治元訳成立への宣教師たちの日本語との苦闘と情熱を伝える各種訳や明治元訳での新約聖書の各種の試みを中心に、関連する漢文聖書を含めて多くの翻訳を集めた。

また、明治元訳・大正改訳・口語訳などと新共同訳を各書の句と節を比較検索する機能を付けるとともに、日本人で初めてギリシア語から訳出をした永井直治 (本学神学部卒) の聖書や、賀川豊彦の指揮による渡瀬主一郎・武藤富男 (本学院元学院長) など明治学院関係者の各種の試訳、トピックスをアーカイブした総合的な原資料による聖書サイトである。

聖書の日本語は日本人の思考や言語、文学にも大きな影響を与えており、この視点からの利用もできよう。

讃美歌も礼拝には必要であり、このコレクション目録も制作し蒐集中である。

ページトップ

5. 明治期キリスト教書コレクション

横浜のヘボン塾やブラウン塾は、新しい東京の居留地「築地」での各派合同による東京一致教会の「東京一致神学校」成立により組織的な発展へと向かう。この時期のキリスト教書を中心にコレクションとした。このコレクションは「明治学院草創期教員コレクション」と重複するものが多い。

ページトップ

6. 明治学院草創期教員コレクション

ヘボン (J.C.Hepburn) 初代明治学院総理・ヘボン塾・『和英語林集成』編纂・新・旧約聖書和訳・医師
ブラウン (S.R.Brown) ブラウン塾創設者・東京一致神学校・新約聖書和訳・英会話書・英語教育法
フルベッキ (G.F.Verbeck) 明治学院教授・大学南校教頭・聖書翻訳・法律学

アメルマン (J.L.Amerman) 、アレキサンドル (T.T.Alexander) 、J.Hバラ (James.H.Ballagh) 、カロザース (Carrothers) 、カロザース夫人 (Mrs J.D.Carrothers) 、フォールズ (Henry Faulds) 、インブリー (William Imbrie)、ノックス (G.W.Knox)、ラマート (Willis.C.Lamott) 、マコーレー (J.M.McCauley)、マクラーレン (S.G.McLaren) 、マクネヤ (T.M.McNair) 、ライシャワー (A.K.Reishauer) 、ワイコフ (M.N.Wykoff)

井深梶之助・石本三十郎・植村正久・瀬川浅・田村直臣・山本秀煌等

東京一致神学校蔵版・明治学院蔵版の書籍など

ページトップ

7. 卒業生コレクション (戦前編)

林董・島崎藤村・馬場孤蝶・戸川秋骨・沖野岩三郎・賀川豊彦らの著作や直筆原稿を集めたコレクション。

ページトップ

8. 研究分野から生成されたコレクション

8-1. ダダとシュルレアリスム・コレクション(フランス文学科)

主にヨーロッパやニューヨークで発行された「ダダ」と「シュルレアリスム」関係の資料およそ230点からなる日本有数のコレクションである。資料は書籍、雑誌、機関誌、写真、パンフレット類など多彩で、美術館からの出展要請も多い。

8-2. 絵本とメルヘン・コレクション(フランス文学科)

ヨーロッパを中心とするメルヘン (昔話) や創作物語の美しい挿絵入り本と、絵本史上の名作の数々、初版本・稀覯本などを集めている。このコレクション形成に中心的役割を果たす明治学院大学名誉教授巖谷國士氏監修による解説目録を発行した。

8-3.旅とエグゾティスム・コレクション(フランス文学科)

2005年文部科学省補助金により購入した資料を基礎に、旅 (Voyage) とエグゾティスム (Exotisme) を主題に集めたおよそ80点の原典コレクションである。1580年刊ニコライ著『トルコ旅行記』や1617年刊テヴェ著『東方誌』などの旅行記のほかに、シャルルヴォア『日本誌』などの日本に関する重要な文献も入っている。ナポレオンⅠ世とともにエジプト遠征に赴いたドノンを中心とする学術調査団による1802年刊の大判『エジプト誌』は美しく精密なエッチングにより、交戦の模様・建築・遺跡・古代芸術、そしてさまざまな人々が緻密に記録され、抒情的ともいえる多彩な図版で、正確なエジプト像をヨーロッパに伝えた。

8-4.ボードレールとフランス近代詩コレクション(フランス文学科)

2021年度文部科学省補助金に採択されたボードレールとフランス近代詩関連資料14点(17冊)と、過去に所蔵済の『悪の華』(第二版)からなる日本有数のコレクションである。近代詩の礎を築いたフランスの詩人・批評家であるシャルル・ボードレール(1821-1867)の著作・翻訳書の初版が揃っている。1845-1866年出版と出版後150年以上経過しているが、資料状態は良好である。禁断詩編が収録されている初版『悪の華』(1857年)および1861年刊行の第二版だけではなく、デビュー作で大変貴重な『1845年のサロン』、亡くなる前年1866年に刊行された『漂着物』(フェリシアン・ロップスの口絵付)、さらには『人工楽園』(1860年)、小冊子で刊行された『リヒャルト・ワーグナーと「タンホイザー」のパリ公演』(1861年)などが含まれている。

8-5.学術研究コレクション

  • Gasetzgebung des Deutschen reiches (法学部)
  • Corpus Mensurabilis Musicae (文学部)
  • Western books on Asia:Japan (欧文アジア関係文献集成日本編) (国際学部)
  • Presbyterianism (長老制文献コレクション) (経済学部)
  • A History of Public Health and Social Welfare in Britain. (社会学部)
  • マイクロフィッシュ版 欧州統合・移民・市民権コレクション (社会学部)
  • フランス革命期法政史料集成 (法学部)
  • 日本におけるアメリカ教育の受容と定着に関するコレクション (文学部)