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自らのチャレンジで、門を開く

2024.04.02

チャレンジすること、学ぶこと、人とかかわることには貪欲です!と話す山口さん。チャレンジの先に開かれた世界は、どんなものなのでしょうか。山口さんの学生生活をご紹介します。

山口 凜桜 社会学部 社会福祉学科 4年 千葉県出身。アルバイトでは集団塾の講師として数百名の中学生の指導経験を持つ。いろいろな場所へ旅行に行ったり、自然のなかでゆっくりすることが好き。大切にしているのは、とにかくやってみなはれの精神。人との壁がなく、誰とでも打ち解けることができるのが自慢。

学ぶということが、楽しかった

高校時代、大学で学びたいことを学ぶために勉強を頑張っていました。明学の社会学部社会福祉学科に入学したのですが、高校訪問に来てくださった明学の方の、「自らがチャレンジすれば門は開ける大学」という言葉に自分のアンテナが反応し、入学を決めました。また、福祉の中でも最先端である北欧の福祉を見て学ぶことができるゼミがあると知り、そのゼミで国際的な目線で学びたいと思っていました。

入学してからは、学ぶことが楽しくて楽しくて仕方なかったです。「比較社会学」では、日本と韓国の社会構造や文化的背景の違いを過去の映像作品から学び、「女性福祉論」では女性の生き方や考え方の変化を文学やアニメーションを題材にして学び…。当事者意識を持って学ぶことで、「知る」だけでなく、改善や解決策を考え、議論を重ねることで「ぶったぎる」みたいな感覚を持てたと思います。

学びに通ずる2つの門

社会学部社会福祉学科での学びに通ずる門を最初に開いたのは小学校4年生の頃。地元千葉の小学校に、のちに親友になる存在が転校してきます。中学生になっても関係性は続き、いつからか「なぜ国会で議員は寝ているのか」「なぜ社会に出ても役に立たないことを学んでいるのか」など、政治や教育システムについての議論を2人でするようになりました。その影響か、自分は社会を構成する一員であり、テレビで流れているニュースも当たり前に自分ごととして捉えるようになっていました。お互い知識が増えるにつれ、議論の幅が広がり、より多角的になっていくことが楽しかったのだと思います。

もう1つ先の門を開いたのは高校生の頃。『僕はイエローでホワイトで、ちょっとブルー(ブレイディみかこ著/新潮社)』に出会います。アイルランド人の父と日本人の母の元に生まれ、イギリスの中学校に通う少年のエッセイなのですが、少年が自分や自分のクラスメイトの人種やルーツ、家庭環境、生活レベルなどの複雑さを感じ取り、考えを深めながら前に進んでいく過程がとても興味深かったです。生まれ変わったらイギリスで教育を受けてみたいと思えるほどで、大学生では国際社会に目を向けて学びたいと思っていました。

チャレンジしたからこそ開かれた、別の門

2022年2月、3年生を目前としたときにロシアによるウクライナへの軍事侵攻が始まります。その影響もあり、高校生の頃から心に決めていたゼミでの北欧訪問の機会は難しくなってしまいました。喪失感もありましたが、別の方法を探ろうと思い、イギリス、レスター大学への短期留学のプログラムに即座にチャレンジ。
というのも、『僕はイエローでホワイトで、ちょっとブルー』を読んで、自分が感じている社会問題を親友1人としか議論していない状況に、違和感がありました。中学生ながらも社会に対する高い問題意識を持っている少年、それらをアウトプットすることが当たり前の教育環境。同じ時間を生きているはずなのに、なぜこんなにも違うのか。それを知りたくなったのです。

1か月間のイギリス留学で感じたことは、自分が「よそ者」であること。アフターヌーンティーをしにロンドンのカフェに訪れ、席が空いていないと外で待たされていたのに、後から来た白人の家族はなぜか通される。「差別」は存在していて、これまで学んできたことが本当の意味で理解できた瞬間でした。

その後、3年生から所属した明石留美子教授のゼミでは、横浜市の中学校で日本国籍を持たない子どもたちに日本語教育の支援をしました。日本国籍を持たない子どもたちは、学校に通えても義務教育を受ける権利がありません。そのため、いじめなどの理由で「不登校」になっても学校が十分な対応をしてくれないケースもあります。

私が支援に関わった子どもの中には、週に1回のコミュニティの中では楽しそうにしているのに、普段の学校生活では「誰とも話していない」と言うような子どももいました。当然高校への進学率も低く、学校は日本国籍を持たない子どもたちにとって、あまりにも居場所がなく、「よそ者」なのだと実感したのです。義務教育の権利だけでなく、言語のレベル、文化慣習の違い、情報不足、親子間のコミュニケーション不足など、1人ひとり違う背景を持ち、それぞれに合った支援をする必要があることも分かりました。

また、新しい門を開く

社会福祉学科でたくさんのことを学び、イギリス留学に挑戦し、今度は日本で日本国籍を持たない子どもとかかわってみたことで、日本という国について、自分の考えを持てたと思います。私は日本人で、日本人としての誇りを持っています。だからこそ、日本で生きる人々がチャレンジし、門を開くことができるような社会の仕組みがあってほしいと思います。

まさに今、私がチャレンジしているのは「AI・データサイエンス教育プログラム」。とにかく学びたいという気持ちから履修をしました。授業のなかで立ち上がった「名前顔研究プロジェクト」では、同じ名前の人を集めて、名前と顔形成について、何か特徴的なことがあるかどうかをグループで研究しています。社会問題を考えていく中で「AI」と「社会」は切っても切れない関係だと思いますが、正直最初は自分ができるかどうか不安もあって…。ただ、チャレンジすることでまた新しい門が開かれると信じ、取り組んでいます。

私はたくさんのことにチャレンジでき、門を開く経験をすることができました。 日本で生きる人々が、まずチャレンジができる、チャレンジをした先に門がある、門の開き方を知るすべがあって、実際に開くことができる。そのような社会にしていけるよう、将来は今の日本社会の課題を解決できるような道に進みたいと思っています。 そして何よりも自分自身が人との縁と感謝を忘れずに、社会に影響を与えられる、挑戦し続ける人でありたいと思います。

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