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2017年度エッセイ

白金通信「カウンセリング」およびポートヘボンお知らせより


「人間関係の調整」

  
 春学期も6月の下旬になりました。特に1年生の皆さんは、大学の雰囲気や仕組みにも慣れてきて、授業や課外活動も軌道に乗りつつある時期を迎えられているのではないかと思います。

ただ、皆さんのなかには「ちょっと違うな」と感じている人もいるかもしれません。この違和感には様々なものがあると思いますが、その可能性の一つを今回は取り上げてみましょう。

入学直後の時期はひとまず近くにいたもの同士でつながって、様々なイベントを通じて知り合った人たちと一緒に過ごすことが多いのではないかと思います。それは色々な情報を得るためにもとても大事なことですし、さしあたり近くにいる人と関係をつくることは新しい環境での人間関係の形成のしかたとしてはごく自然なことです。このようにして知り合った人たちと、時間が経つにつれさらに関係が深まり、親密になっていく場合ももちろんあります。しかし、一定の期間がたってみると、自分と考え方や価値観が違う、あるいはなんとなくノリが違うように感じてくることもあるかもしれません。最初は、自分の比較的表層的な部分を用いてとりあえず行動をともにしていたのが、だんだんとお互いの中心的な部分を出しはじめたり、気づいたりしているということではないでしょうか。こう考えると、違和感を抱くこの時期は、いったん出来上がった人間関係の調整段階といえるのかもしれません。人間関係の距離感を微妙に調整し、自分にとって適度なかかわりにすることで維持したり、あるいは、もっと自分にとって居心地の良い場を探して移動することが必要になってきているのではないでしょうか。いったん出来上がった人間関係がなにも変化せずに続いて行くのも不自然といえば不自然なことですから、変化が生じること自体は当然です。とはいってもいったん出来あがった人間関係を自分から変えるというのも案外むずかしいことで、違和感を感じつつもなかなか変えられずにいる方もいるのではないでしょうか。しかし、人間関係を自分にとって無理のないかたちに自分から調整することは、主体的に社会生活を送るうえで今後もとても大切なスキルになるはずです。

大学生活の数年間は様々なことに試行錯誤的に取り組むにはとてもよい時間だと思います。人間関係で感じる「違和感」はよりよい解決に向けてのエネルギーにもなり得ます。いきなり解決とはいかないかもしれませんが、自分なりに調整を試みても良いのではないでしょうか。

(ポートヘボン「お知らせ」(2017/6月)より転載)