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コラム「キャンパスCLINIC」

インフルエンザ流行シーズンに備えて

白金通信2013年12月号

ピークは年末年始
 12月になって木枯らしが吹き始めると、毎年インフルエンザによる子どもたちの学級閉鎖が報道されます。これが流行の走りで本格的なシーズン突入は年末年始です。これは正月を故郷で迎えようと駅・空港は大混雑する時期に一致します。ここには学級で流行ったインフルエンザに罹った子も混って、帰省する人々や帰省先の祖父母に次々感染させるのでシーズンがスタートします。

 鳥・豚・人を宿主とするインフルエンザウイルスは、7本のRNA遺伝子とそれを覆うタンパクからなるシンプルな構造です。患者の咳やくしゃみの飛沫(シブキ)を介して、周囲1~2mにいるヒトの鼻や喉の粘膜細胞にウイルスが吸着することで感染します。1~2日後には突如高熱・倦怠感・食欲不振という全身症状がでて、その後咳・痰・鼻水という局所症状がでてきます。これに対して風邪はこれ以外の雑多なウイルスが原因で、同じ様に感染しますが、症状は咳・痰・鼻水が先で、熱や倦怠感はあとからです。風邪は自然によくなるので病院にかかる必要もありませんが、インフルエンザはずっと重篤で命取りになることもあります。

 2009年3月に豚のインフルエンザが突然変異して、ヒトに感染性のある新型インフルエンザになって世界中で大流行しました。このとき米国では若年者中心に12000人の死者がでましたが、日本はわずか200人でした。その理由は国民皆保険制度のおかげで、どの医療機関でも迅速診断可能で、タミフルなどの抗インフルエンザ薬が早期に使われたためと云われています。


日ごろから予防を
 インフルエンザ予防の基本はワクチン接種・マスク着用・手洗いです。ワクチンの発病阻止効果は70%程度で、5ヶ月間しかカバーしないので毎年接種が必要です。1~3月の流行時に人混みに出るときはマスクをして、帰宅後手洗いしてください。それでも急に高熱がでたら医者にかかって、診断と治療を受けてください。インフルエンザと診断されたら医師の指示に従い「発症後5日経過し、かつ解熱後2日間」してから登校が許可されるので、健康支援センターに連絡してください。




校医 尾形英雄

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