「明治学院大学と小諸市との協働連携に関する基本協定」調印式 学長スピーチ

2006年8月22日 懐古園内小諸市立藤村記念館

本日、64回目の藤村忌にあたり、小諸市と明治学院大学は、将来にわたって幅広い協力関係を約束することになりました。大変喜ばしく、協定締結のために力を尽してくださいました芹澤勤市長をはじめとする小諸市の関係者の皆様には、明治学院大学を代表して、心よりお礼申し上げます。

119年前の1887(明治20)年、明治学院は白金キャンパスをオープンしました。この年、島崎藤村は明治学院普通学部本科に入学していますから、藤村の白金キャンパスにおける学生生活は、100年という時間を超えて、いま白金キャンパスで生活する私たちと、豊かな繋がりを保っております。

藤村は白金の丘に聳え立つ木造3階建てのヘボン館という、当時としては、いたってモダンな寄宿舎で、学生生活を送っていました。ヘボン館の櫓からは、西は秩父の山々の彼方に富士を、東は品川の海の彼方に房総の山々を、見渡せました。開け行く日本の未来を見渡すが如くの、白金の丘における藤村の学生生活は、真新しい学問と自由な雰囲気のなか、内外の文化と思想に深く傾倒していた藤村自身にとっても、輝かしい青春の一時期であったと想像できます。

一方、多くの人々に親しまれている、「小諸なる古城のほとり」という詩の一節からも知られるように、小諸市もまた、藤村と大変深い関係をお持ちです。本日お集まりの皆様は言うに及ばず、計り知れないご当地の方々が、様々な形で、小諸義塾で教鞭をとっていた藤村と、100年という時間を超えて、豊かな繋がりを保っておられます。小諸市は、まさに藤村ゆかりの特別な場所であります。

島崎藤村を縁として、小諸市と明治学院大学が、それぞれ将来のさまざまな可能性を確かめ合い、可能性を実現するための協力関係を、協定という形で共有できることは、重ねがさね意義深く、まことに慶賀にたえません。

私たちが小諸市と協力しておこなおうとしている事業につきましては、これから自由な議論を通じて具体化し、実現させてゆくことになりますが、本日締結する協定には、「地域文化の振興」「地域経済の振興」「教育および人材育成」「生涯学習」「まちづくり」「インターンシップ」「施設の利用」といった、広範な連携事項が列挙されております。

これらの事業を円滑に推進するため、「明治学院大学・小諸市連携推進委員会」を設置することも謳われております。明治学院大学は、今後、この協定に基づいて、一つひとつの事業を、小諸市と共に、真に実のある協働として、将来にわたって展開してゆく所存であります。

大学という研究・教育機関が地域社会に対してより広く開かれるためには、立地上の制約をも乗り越えた、今回のような地方自治体との連携が、今後ますます重要になることは間違いありません。私たちといたしましても、初めての試みではありますが、小諸市と明治学院大学の協定というこの一歩が、大学と地域社会との連携にとって、将来のよきモデルケースとなることを願いつつ、ご挨拶とさせていただきます。