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2022年度 公開セミナーⅡ


テーマ  原爆と植民地化を経験した街からデモクラシーを考える

デモクラシーでは、みんなの多様な意見にお互いに耳を傾け、調整して共同生活のあり方を決定していく。しかし、みんなが同じように意見を言えるわけでもない。また、お互いの意見は同じように耳を傾けやすいわけではない。意見を強く言える人と、意見をいうことがそもそも困難な人がいる。また、耳を傾けなくても理解できる意見と、耳を傾けても理解しにくい意見もある。意見をいうことが困難な人、耳を傾けてもらえにくい人をマイノリティと呼ぼう。かれらにとって、デモクラシーは一方的な押し付けに見えるかもしれない。今回のセミナーは、マイノリティの経験をどのようにデモクラシーの中で表現し、耳を傾けさせ、共同生活のあり方に反映させていくのかを考えたい。特に、マイノリティの経験として原爆と植民地化を経験した街での実践に注目したい。したがって、デモクラシーの理論的な理解というよりは、街での生活者がどのようにマイノリティの声を表現し、具体的な制度の中で反映させることができるのか、その条件について考える機会としたい。具体的には、原爆の経験を経て平和都市であることをアイデンティティとしてきた広島における選挙と立憲主義、そして、植民地化問題と向き合う北海道、あるいは、沖縄を事例に選挙と立憲主義について考える。

 

  ●開催日時 2023年 3月 13(月)・17(金)・20(月)・23(木)日(全4回)
                     18時30分-20時00分

  ●開催方法:オンライン (Zoom Webinar)

  
  開催日 ゲストテーマ
第1回 3/13(月) 小田 博志
(北海道大学大学院教授/人類学)
北海道の脱植民地化とアイヌ民族の遺骨の帰還
【講演要旨】
 勤務先の北海道大学文学部の授業で、「北海道が“北海道”と呼ばれるようになったのは何年のことですか?」と質問をして、正確に答えられる学生はほとんどいない。また札幌市の“札幌”の語源を知る学生もまずいない。その札幌市に位置する北海道大学のキャンパスには「クラーク博士」の銅像が建立され、観光スポットになっているが、その同じ土地に、150年くらい前までアイヌのコタン(集落)があり、ここがアイヌの生活の場であったことは現在どこにも記されていない。この忘却、記憶喪失、不可視化。実はこれが植民地主義の典型的な症状である。北海道に関して「開拓」やせいぜい「(アイヌ民族の)同化」という言葉は使われるが、ここが「植民地」であるという認識はきわめて希薄である。・・・ ⇒ 全文
第2回 3/17(金) 大井 赤亥
(広島工業大学非常勤講師/政治学)
広島から現代政治を考えるー平成年間の政治対立軸とその展望
【講演要旨】
 報告者は政治思想・現代政治を専門とする政治学者であり、また2021年には第49回衆院選に立候補した経験を持つ元候補者でもある。このような経歴を通じて、報告者は、理論と現実を架橋し、時代を掴む政治学を模索してきた。 今回の報告の目的は、以下の二つである。第一に、現代日本政治の見取り図として「保守・旧革新・改革」の三極からなる1993年体制を提示すること。そして第二に、2021年衆院選において報告者が実際に活動した、広島における現実政治の経験と知見を共有したい。・・・ ⇒ 全文
第3回 3/20(月) 楾 大樹
(弁護士)
広島における立憲主義の実践と困難
第4回 3/23(木) 花谷 史郎
(石垣市議会議員)
戦争に加担しない
【講演要旨】
 皆様のイメージする沖縄の問題といえば、辺野古新基地をはじめとする在沖米軍の事を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。 しかし、10年以上前から静かに始まり、昨年12月に閣議決定された安保関連3文書や防衛費増額とも関連する、既存の米軍基地とは別の「もう一つの基地問題」があることはあまり深く知られていません。 鹿児島県の奄美大島から沖縄島、日本最西端の与那国島まで続く「琉球弧」に、主に陸上自衛隊施設を配備強化する計画があります。・・・ ⇒ 全文

<司会者> 浪岡 新太郎 (国際学部付属研究所 所長)
 

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問合せ先
 国際学部付属研究所  TEL. 045-863-2267 (受付時間:平日 10時-17時)
                                 Email: frontier(at)k.meijigakuin.ac.jp          ※ (at) は @ に置き換えて下さい.