ソーシャルワーク研究所

−ソーシャルワーク研究所の理念(ambition)−

 ソーシャルワーク研究所(1975年1月に創設)は、相川書房発行の雑誌『ソーシャルワーク研究』の創刊以来、一貫して編集・企画業務の役割を担って来ました。このような役割を果たしてきたソーシャルワーク研究所ですが、研究所の立ち上げに際して、明治学院大学の元学長(社会福祉学科所属)であった故・若林龍夫先生の強力なリーダーシップがあったことは、多くの関係者によって知られるところとなっています。
 若林先生ご自身は、ソーシャルワークという用語がまだ日本に定着していない時代にあって、日本における社会福祉の研究や教育、実践の場にソーシャルワーク、ソーシャルワーカーという概念(理論)に支えられた実践方法を漸進的に定着させたいという願いを持たれておられました。日本の社会福祉領域においても、世界の共通用語としてあるソーシャルワーク、ソーシャルワーカーという概念枠組みの下に実践と研究・教育の展開が図られ、さらに、グローバルな視点を持って世界のソーシャルワーカーとの連帯・連携に努め、社会福祉に関する諸問題の解決法の確立に向け貢献できるようにとの思いを込め、その夢を共に追う関係者とともにソーシャルワーク研究所を立ち上げられたと伝えられています。
 このような崇高な理念を掲げてのスタートでしたが、なかなか後継を担う者達の力が及ばず、若林先生の願いは今もなお私たちの中に重要な宿題として残り続けています。「社会福祉の縮小化」が進展する中で『ソーシャルワーク研究』は2014年に創刊41年目を迎えました。しかし、極めて残念な思いでありましたが、相川書房との間に埋めがたい「溝(=ソーシャルワーク研究所の名の下で雑誌発行を継続することの社会的な使命と意義に関する認識の相違)」が明確になり、同社との間で暗黙裏にあった合意を清算し、決別する決断に至りました。同時に、研究所第2代所長であった故畠山龍郎先生の命を請け第3代所長の任にある北川清一を中心に、ソーシャルワーク研究所が願いとして込めてきた活動理念を継承して行くことにつきまして、関係する先輩諸氏からお許しを頂くことができました。そこで、2014年8月より、次のような取り組みを研究所の下で独自に、あるいは、継続して行うことに致します。
 一つには、新たに、ソーシャルワークの実践と理論の総合誌として『ソーシャルワーク実践研究』(2015年3月創刊)の定期刊行(春号、秋号)およびブックレット『ソーシャルワーク実践の事例分析』(2014年10月創刊)の年間2冊発行を研究所の独自事業として行い、その編集・発行に努めることです。
 二つには、ソーシャルワークに関する研究の成果を実践の過程に実体化することを促しつつ、若林先生が願いとして込められていた世界共通用語としてのソーシャルワーク、ソーシャルワーカーが日本における社会福祉の土壌に間違いなく根づくことを目指して、ささやかでありますが研究所主催の「シンポジウム」をはじめ、幾つかの取り組み(研究会の立ち上げ)を継続的に開催することと致します。
 なお、創設以来、ソーシャルワーク研究所が掲げてきました活動理念を、あらためて以下のようにお示ししておきたいと思います。研究所スタッフ一同、多くの皆様方からの賛意を頂戴できますよう願っております。

ソーシャルワーク研究所活動の理念(ambition)

  • ソーシャルワークの日本的展開と科学化の方法を考える機会の提供
  • 人びとの暮らしの現実から学ぶ実践感覚を育む機会の提供
  • 実践場と利用者・当事者の特徴に応じてソーシャルワークのミクロからマクロまでの展開を図る方法を考える機会の提供
  • ソーシャルワークの実践価値が基底に据えられた課題解決方法を模索する機会の提供
  • ソーシャルワーカーの実践を支え・励ます理論研究の促進を図る機会の提供

ソーシャルワーク研究所の運営メンバーをご紹介します(2024年4月1日現在)。

所 長
北 川 清 一 (明治学院大学名誉教授)
相談役
渡 部 律 子 (日本女子大学名誉教授)
沖 倉 智 美 (大正大学教授)
新 保 美 香 (明治学院大学教授)
丹 野 眞紀子 (大妻女子大学教授)
川 向 雅 弘 (聖隷クリストファー大学教授)
稗 田 里 香 (武蔵野大学教授)
菅 野 道 生 (淑徳大学准教授)
事務局
市 原 由 美 (総務担当)
熊 坂 寛 子 (HP運営担当)

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