INTERVIEW

ホーム院生インタビュー

法と経営学研究科
税務会計コース 2022年3月修了

吉田 彩Aya Yoshida

※2021年4月取材

法と経営学研究科への進学を決めた時期
と理由を教えてください。

私は将来、税理士になりたいと思い、大学3年生のときに大学院への進学を決めました。税法に関する修士論文を書いて、5科目ある税理士試験のうち2科目が免除になる「税法科 目免除制度」の適用を受けようと思ったのです。

また、法学と経営学の両方を学べる点にも惹かれました。経営学・経済学を学んできた人や社会人経験のある人など、私とは異なる経歴を持つ人たちと共に学ぶことで、学問的にも人間的にも成長したいと思ったからです。実際、法と経営学研究科は少人数制ならではのアットホームな雰囲気で、ゼミの同期ともお互いの研究分野について相談し合うなどして、助け合っています。

入学試験に向けて
どのような準備をしましたか?

秋季の一般入学試験を受けるために、大学4年生の夏休みから志望理由書の準備に取りかかり、税法のゼミの先生に添削していただきながら、何度も書き直して完成させました。その他にも、面接で自分が伝えたいことを明確に言えるように練習をしたり、小論文試験の過去問題を解いたりといった対策をしました。小論文に向けては、日頃から新聞やニュースをチェックして、幅広く社会情勢に関心を持つことが大事だと思います。

大学院の履修や勉強の仕方は、
大学とどう違いますか?

卒業に必要な30単位のうち、1年次に7〜8割方の科目を履修する人が多いです。私も1年生のうちに取れる単位は全て取って、あとは2年次の必修科目と修士論文に集中できるようにしました。授業の予習や復習にもたくさんの時間を費すので、毎日が勉強の日々ですが、週に1日は休みをつくるようにして、メリハリのある生活を心掛けています。

また、授業に関しては学生の発表をもとに、先生がアドバイスをしたり、発表者以外の学生が質問や意見述べたりする授業が多いところが、大学とは一番違う点です。質問の内容まで想定して予習をすることや、相手にとって分かりやすい資料を作ること、思わぬ質問が来たときにも柔軟に答えることなど、大学院で学ぶ中で、さまざまな力が鍛えられたように思います。

修士論文のテーマや取り組み方について
教えてください。

私は現在、税法が専門の渡辺充先生のゼミに所属して、「重加算税の賦課要件」について 修士論文を書いています。高い税率を課す行政罰としての重加算税が課されるかどうかは、過少申告や無申告などの問題が「故意」によるものか、そうではないのかが焦点となりますが、論文を書き進めるうちに「故意」の概念が税法と刑法とでどう違うのかを突き詰める必 要があることが分かってきました。そこで、刑法が専門の先生や、授業でお世話になっている先生にもアドバイスをいただくなど、税法以外の分野からも多角的に考察を進めています。法と経営学研究科には、税理士や企業法務などの実務経験が豊富な先生も多く、ゼミの先生はもちろん、他の先生にも分からないことを気兼ねなく質問できる環境があって、心強 いです。

卒業後はどのような進路を
予定していますか?

卒業後は金融機関に就職する予定で、働きながら税理士の資格取得を目指そうと思っています。就職に関しても、渡辺先生が提案や選択肢を示しながら、親身に相談に乗ってくださいました。先生には「金融機関で働くことは、将来、税理士になったときの糧になる」と背中を押していただきました。

法と経営学研究科で、集中度や専門性のレベルが大学とは各段に違う学修をした経験や、大変な思いをしながらも勉強をやり抜く経験はきっと、社会に出てからも自分の力になると信じています。

吉田 彩さんの週間履修表

※2020年秋学期の履修表になります。

法と経営学研究科 2022年3月修了

佐々木 駿Shun Sasaki

※2021年4月取材

法と経営学研究科に進学した
きっかけは何ですか?

大学3年生の6月に飛び入学制度(※1)の案内が大学から届いたことがきっかけで、法と経営学研究科への入学を考えました。2年生のときに約半年間の留学をしたのですが、それまでは留学に向けて語学系の科目を多く履修していたこともあり、帰国して3年生になったとき、「あと1年で卒業だと、経営学についてしっかりと学ぶには時間が足りないので はないか」という思いが強まっていました。だから、大学院で経営学の知識を深めることは、ちょうど自分の希望に合っていると思ったのです。また、飛び入学の試験には筆記がなく、面接形式の口述試験のみであることも魅力だと思います。

法学(または経営学)を、
一から学ぶのは大変でしたか?

法と経営学研究科の学生の多くは、法学か経営学のどちらかを大学院で初めて学ぶことになりますが、心配はいりません。1年次の春学期には法学・経営学の初学者向けの授業が 開講されていて、一から学ぶ分野でも安心して学べるカリキュラムになっています。初学者向けの授業は、担当する先生によって取り上げる法律が異なりますが、私の場合は飯田浩司先生の「法学研究論」を履修して、知的財産法を中心に学びました。知的財産法は身の回りにある事柄を扱うので、興味をもって初めての法学に向き合うことができ、法律の体系や法律の読み方、法学のレポートの書き方などの基礎的な力を身につけられたと思います。

「法と経済学研究科」の特徴的な授業には
どのようなものがありますか?

法学と経営学の両方からビジネスを学ぶということが最大の特徴で、中でも法学と経営学の先生が2人で教壇に立って授業を進めるCSR(※2)は、法と経営学研究科らしい特色のある授業だと思います。学生の発表に対して、法学と経営学のそれぞれの先生が講評をするスタイルの授業は、とても新鮮で有意義な体験です。

例えば、企業の内部統制がテーマのときには、公益通報者保護制度という法に基づいた内部通報制度があっても通報者が不利益な扱いを受けるケースを、企業のガバナンスとしては制度がうまく機能していない事例と捉えて考察するなど、一つのテーマを法学・経営学から同時に学ぶことで、つながりが分かるということに、大きな意味があると思います。

授業やゼミではどのように
学修・研究をしていますか?

大学院では、事前に課題や修士論文の下調べを行って、授業やゼミでその成果を発表するといった形式の、“自分から発信する”授業が多いです。法学と経営学の出身者がいて、留学生も多いからか、研究科には多様で自由な雰囲気があって、ディスカッションでは全く違う角度からの意見を聞けるのも非常に興味深いところです。また、どの授業も少人数なので先生と学生の距離が大学よりも近く、親しく接していただいていると感じています。

今はマーケティングが専門の大竹光寿先生のゼミに所属して「地方のシティプロモーション」をテーマに修士論文を進めています。卒業後は地方公務員を目指しているので、将来は行政の「まちづくり」に、マーケティングの視点や法律の知識を生かしていきたいと思っています。

(※1)飛び入学制度
明治学院大学または他大学の経営系・法学系学部に在籍する3年生のうち、3年修了時までのGPA(グレード・ポイント・アベレージ)が総合 2.9以上かつ学科科目2.9以上の見込みが立つ者を対象に、3年次終了後に大学院への入学を認める制度。

(※2)CSR(Corporate Social Responsibility)
経営学と法学の融合的な学習を目的とした共通基礎科目のうちの一つ、「企業と社会」の略称。

佐々木 駿さんの週間履修表

※2020年秋学期の履修表になります。

法と経営学研究科
経営コンサルタントコース
2022年3月修了

孔 露露Lulu Kong

※2021年4月取材

日本に留学して、法と経営学研究科で
学ぶに至った経緯を教えてください。

私は、中国の大学を卒業後、上海でベンチャー企業などのサポートをする金融関連企業に勤めていました。そこで私よりもずっと日本語が堪能で、経営の知識も豊富な中国人の同僚たちに出会い、「私ももっとステップアップしたい」と思うようになったのです。2019年に日本へ来て、日本語学校に通いながら進路を考えていたときに、法と経営学研究科のことを知りました。ここで学べば、経営学と法学の二つの視点から、よりよい企業の在り方を探る研究ができ、将来に役立つ力が身につくに違いないと思いました。

入学試験に向けて、
どのような準備をしましたか?

社会人入試で日本人の受験者と同じ試験を受けるために、まず取り組んだのが、日本経済新聞や東洋経済などを読んで、ビジネスに関する日本語の語彙力を高めることです。試験対策は、法と経営学研究科の説明会で知り合った中国人留学生の先輩からアドバイスを受けて、過去問題を解いたり、大学の経営学部生が教科書として使っている本を読んだりしました。また、口述試験の前には、日本語学校の先生にも協力いただいて、模擬面接を繰り返しました。こうした努力が実って、合格できたときは本当にうれしかったです。

日本語で高度な研究をするために、
どのような取り組みをしましたか?

大学院で留学生向けの日本語研修を実施していて、1年次の8月には1か月8回の研修を受けました。さらに秋学期の2月には、法と経営学研究科の留学生が対象の日本語研修もあり、レポートを書いて先生に添削していただく実践的な指導を受けることができます (※3)。日本語力が原因で、留学生が勉強につまづくことがないように、手厚くフォローしてもらえる体制が整っているのは、とても安心感があります。

その他にも日常的に、ビジネス関連のニュースを読むことと毎日10分ぐらいのシャドーイングのほか、中国語講師のアルバイト先で、日本人の方と積極的に会話をするようにしています。

面白いと思った授業や、勉強で
印象に残った出来事はありますか?

「ビジネス総論I」は、経営学の神田良先生と法学の福田清明先生が二人で担当されていて、同じテーマについて事例からひもとく授業で、とても面白いと思いました。例えば、人事がテーマのときに、経営学からは採用難や人材の離職防止といった日本企業の採用管理の課題を取り上げ、法学からは女性アナウンサーの内定取り消しを例に労働契約について掘り下げるなど、さまざまな観点から考え、議論を深めていく内容に刺激を受けました。

また、福田先生には契約法の授業でもお世話になりましたが、私が日本の法律に予備知識のないまま初めて法学を学ぶ中でレポートを提出したところ、基礎的な内容をまとめたレジュメを添えて返してくださったことがありました。先生の心遣いがありがたく、もっと勉強しようという意欲につながりました。

研究内容やゼミの仲間との
関係について教えてください。

私は、神田先生のゼミで「日本に進出する中国企業の考察」をテーマに研究を進めています。中国企業が日本に進出する際のパターンや事業活動を調べ、何をもって経営的な成功といえるのかという視点も含めた考察をしています。

また、自分が調べ物をしているときに、友人の研究に関する本を見つけたら教えてあげるなど、4人いるゼミの仲間とは同じ目標に向かって努力している者同士としての、心のつながりがあるように思います。多角的に問題を発見し、解決する能力は、発表や仲間とのディスカッションを通して得られた、とても価値のあるものだと思っています。

(※3)日本語研修
通常、大学院事務室主催の日本語研修は入学前の3月に、法と経営学研究科主催の日本語研修は秋学期(10月〜12月)に実施するが、2020 年度はコロナ禍により時期が変更された。

孔 露露さんの週間履修表

※2020年秋学期の履修表になります。