青野 純子

アオノ ジュンコ

美術史学コース

担当授業

【学部】西洋美術通史P/S、西洋美術史資料講読A/B、西洋美術史研究A/B、西洋美術史演習、卒論ゼミナール
【大学院】美術史学特殊研究ⅠA/ⅠB、美術史学演習ⅠA/ⅠB

東京生まれ。慶應義塾大学大学院修士課程修了、東北大学大学院博士課程満期修了、アムステルダム大学に勤務の間、1680~1750年のオランダ風俗画を再評価する博士論文を執筆、2011年にアムステルダム大学にて博士号を取得。2011~2012年にニューヨークのThe Leiden Collectionの所蔵品目録プロジェクトにおいて在蘭研究員として勤め、2013~2020年九州大学において准教授として勤務、2020年春より本学文学部芸術学科教授として教鞭をとる。 専門は初期近代西洋美術史、特にレンブラントやフェルメールを輩出した17世紀オランダ美術とその18世紀受容を研究。学生時代にフェルメールに魅了されて以来、彼が描くような日常生活を題材とした風俗画を中心に研究を進める。近年は18世紀の国際的な美術市場やコレクション形成をめぐる諸問題、17世紀オランダ絵画を模写した18世紀の複製素描の研究に取り組む。

メッセージ

「絵は好きだけれど、一体どのように見れば良いのだろう。」

このように思っている学生は多いと思います。私が大学で美術史を学び始めた頃も同様でした。美術史研究は何よりもまず、作品をじっくりと時間をかけて自分の目で見ることから始まります。絵を見ることは実は人との対話にも似ています。何度も会って話すことで、相手の性格の理解が深まり、しばらくぶりに会うとまた意外な側面を発見する。時間をかけてじっくり作品と付き合うことが、絵画作品を理解する第一歩であると同時に、その作品を誰がいつどのように創作したのかという、アトリビューション(帰属)やクオリティ(質)を見極める力にも繋がります。

「この絵は一体どこに掛けられて、どのように鑑賞されていたのだろうか。」

オランダで研究を始めた当初、美術館で多くの絵を見た後にそのような疑問を抱き、アムステルダムやライデンの街に現存する18世紀の住宅建築・歴史的建造物を見てまわりました。それにより、当時の絵画の鑑賞方法だけでなく、芸術を愛でた文化・社会の状況が実感され、作品自体を少しずつ当時の歴史的コンテクストにおいて捉えられるようになりました。振り返ると、それが当時まだ研究の浅い分野であった18世紀オランダ風俗画に関心を持つ契機になったかもしれません。

そこで授業では、芸術を育んだ社会や文化に関わる幅広い知識や様々な美術史の方法論を用いて、作品を多様な側面から考えることを学びます。画家による題材選択や彩色法、同僚画家とのライバル関係、コレクターの趣味や美術市場の動向、社会状況や人々の価値観などに注目し考察を重ねていくと、たとえ数百年前の異国の作品であっても、絵筆を持つ画家の肩越しに絵を覗き込んでいるような、臨場感溢れる作品理解が生まれていきます。

教室で本物の絵を分析するのは難しいとはいえ、芸術を鑑賞し探究するプロセスをできるだけ再現したいと思っています。参加する皆さんは、自分なりの絵の見方を追究し、理論的に考えをまとめ、相手に伝えるということを積極的に学んでもらいたいと思っています。

明治学院大学 研究者情報
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