ローランド・ドメーニグ

映像芸術学コース

私はウィーン生まれのオーストリア人です。近所に古い映画館がいくつかありましたので、幼い頃から映画は身近なものでした。大学では日本学と社会学を専攻しました。大学に入るまでは、日本に特に関心があったわけでもないし知識もあまりなかったのに、なぜ日本学を選んだかは自分でも不思議です。偶然の出会いから始まった日本との関わりは、思い入れが次第に強くなり、やがて深い情けが生まれました。そしていつの間にか日本映画研究に辿り着きました。

メインストリームの映画より独立映画、自主映画、実験映画、個人映画、ピンク映画、教育映画、PR映画など、映画研究者があまり目を向けない分野に興味があります。映画のテキストだけではなく、制作・配給・興行など映画産業、そして批評・観客反応など映画の受容を中心に研究が進めてきました。このごろ古い映画館が漸次に消えてしまい、しかもかつて映画体験と相即不離の関係を持った映画館という独特の空間に特に興味があります。

学問的研究以外、国際映画祭のプログラミング、日本映画特集の企画、映画字幕の翻訳など、幅広く活動しています。様々な映画祭をはじめ、ニューヨーク近代美術館(MoMA)、英国映画協会(BFI)、ジョルジュ・ポンピドゥー国立芸術文化センターなど、あらゆる特集で日本映画を海外に紹介してきました。翻訳者として宮崎駿の『もののけ姫』、北野武の『座頭市』、是枝裕和の『誰も知らない』など数多くの日本映画のドイツ語字幕を訳しました。

映画雑誌やチラシ・ポスターなどの映画関連資料を集めるのは好きです。

 「Non scholae sed vitae discimus (学校のためでなく人生のために学ぶ)」という古い言い伝えがあるように、学生たちに固定概念に捉われることなく、自由な発想と自信を持って映画または芸術に向き合って、幅広く勉強してほしいです。