富田 大介

トミタ ダイスケ

演劇身体表現コース

担当授業

【学部】身体表現論概説PS、演劇身体表現論2年次演習1、演劇身体表現文献講読1AB、演劇身体表現論3年次演習1、卒論ゼミナール
【大学院】演劇身体表現論演習IA/IB、演劇身体表現論特殊研究IA/IB

メッセージ

神奈川県藤沢市生まれ。研究領域は美学、芸術社会論、ダンス史、アートプラクティス。

江ノ島電鉄で高校へ通っていた頃、朝の海のきらめきに日々雀躍りしていました。腰越駅から鎌倉高校前駅へと向かう家家のあいだの細い路地、それを抜けたカーブの先にきらきらと輝く海の水面は、私の/自然の宝石でした。今でも、心や体になにかが鬱積すると、ふらっと水辺を歩きにゆくのですが、それはあの頃に育まれた感受性によるのかもしれません——人の営みのなかでもダンスにこと惹かれるのはそれとつながっているのかしらん。

大学では、同じ下宿の友人から一本のビデオテープを借りたことが、私と踊りの出会いにとって決定的でした。その映像は、ローラン・プティ振付、ジャン・コクトー台本の『若者と死』をミハイル・バリシニコフが踊るもので、私はそれを見たあとバレエを習い始めます。人の表現が人を奮いたたせるとはまさにこのこと(私が単純だからということもありますね)。

何かに見入る時間って今の実生活ではなかなか取りづらいでしょうけれど、大学生の時は、そのじっくり味わうということを第一義としてみてください。賞味しないとその美味しさを知り得ませんから。踊りを見るなら、動きに眼をそわせてその調子やリズムをとらえてゆく。踊り手と心の波形を合わせることができれば、「これが作家の直観」と確信し得るイメージや心情へ吸い込まれてゆくこともあります。それは観賞の骨(コツ)みたいなもので、私もだんだんと身についていったものですが、こうした「放心」(=心を放つこと)の術を磨いてもらいたい。

私は近年、ダンスや演劇の作家・作品分析をする一方で、広い意味での振付や演出に興味をもっています。世に規則を作ること、街に建物を作ること(人はまさにH・ベルクソンの言うようにホモ・ファーベルなわけですが)、それらは人の考え方や動き方を変えます。食事もその食べ物をどういうところで食べるかによって味や印象を変えるでしょう。ルールやアーキテクチャ、シチュエーションの設置・設定を、人の身体や思考へ働きかける技ないしは表現と捉えることで、社会での振付や演出の活用法も新たに探れる気がします。

「身体表現論概説」「演劇身体表現文献講読」「演劇身体表現論演習」「卒論ゼミナール」などなど、これらの授業で皆さんと出会いながら、私も楽しく研究を進めたいと思います。

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