山下 裕二

ヤマシタ ユウジ

美術史学コース

私は、1958年、広島県呉市のはずれで生まれ、小学校の途中まで、そこで過ごしました。裏山でキジが鳴いているようなところでしたから、「芸術」に接する機会など、ありませんでした。広島市内に転校したときには、カルチャー・ショックを受けて、中学、高校と、ちょっとませた友達なんかもできて、後に「芸術」関係に向かうような芽は、できてきたのかもしれません。それでも、18歳で大学に入るまで、ほとんど美術館へ行ったこともないような少年でした。そんな人間が教師になっているんですから、どうぞ、みなさん、安心して明治学院の芸術学科を志望してくださいますよう。

10代から20代前半まで、音楽家、とくに琴の演奏家として身を立てたいと真剣に考えていましたが、挫折。以後、東京大学の大学院に進学し、日本美術史の研究をなんとか続けました。室町時代の水墨画の研究を起点として、いくつかの論文を書いてきましたが、30代半ばころから、徐々に領域を拡げるようになりました。日本の美術史が、やっと面白くなってきたのです。

これまで、『室町絵画の残像』(中央公論美術出版、2000年)、『日本美術応援団』(赤瀬川原平との対談集、日経BP社、2000年)、『岡本太郎宣言』(平凡社、2000年)、『京都、オトナの修学旅行』(淡交社、2001年)、『岡本太郎が撮った日本』(岡本敏子と共編、毎日新聞社、2001年)、『日本美術史』(美術出版社、高岸輝と共編、2014年)、『未来の国宝・MY国宝』(小学館、2019年)などを出版しました。かなり専門的な内容のものもありますが、基本的には、学生のみなさんに、こんな本を入り口にしてほしい、と思って書いています。

私の講義に来てみませんか? 「日本美術なんて・・・」という初心者の素朴な疑問を大切にしながら、徐々に眼のうろこを落として、美味しいところを伝えるつもりです。