卒業生インタビュー INTERVIEW

英文学科を卒業し、社会で活躍する先輩方からのメッセージ

Nobuki Akiyama
ミュージシャン
秋山 信樹さん
2015年3月卒業

2021年に公開された映画『フィッシュマンズ』の劇中に、ソングライツというサークルの部室が映るシーンがある。永遠とスピーカーからノイズミュージックを鳴らしているような場所。明治学院大学に在学していた当時、現代音楽研究会というサークルと合わせて、僕はそのサークルに所属していました。自分の知らない世界とのたくさんの邂逅がありました。なるべく早く海外で音楽をしようと思っていた僕は、当初は日本で何か音楽的なきっかけを生めるとはあまり思っていませんでした。それでも不思議な縁で、そのサークルで組んだバンドが、卒業後の僕の進路となりました。

文学部の講義も面白かったです。僕は英文学科在籍でしたが、学科を超えて受けられる芸術学科やフランス文学科の講義も含め、文学や芸術の見方に関してとても価値のあることを学べました。とりあえず卒業することを目的に講義をやり過ごす人たちもいましたが、将来何が役に立って何が役に立たないか、その時はわからないことも多い。僕にとって、糧となる講義は多かったです。

文学部の講義を通して、自分が音楽を作り、言葉を書く上で知りたい情報にアクセスできました。Paul Hullah先生の詩の講義で取り扱われたロマン派の詩からロックミュージックの詩までを読み解いていく講義は、自分が正に必要としていた講義でした。この講義を受けたいミュージシャンや物書きは学外にも多いはず。卒業後も、作品を制作する折に詩についてご意見を頂いており、一緒にお仕事ができているのも不思議な縁です。Michael Pronko先生の映画の講義や、陣野俊史先生のフランス社会についての講義などもよく覚えています。その他、興味深い講義がたくさんありました。

僕らの世代はゆとり世代と呼ばれ、真面目に取り組むことを揶揄したり、冷笑的な空気が蔓延していたように思います。ただ、差別の問題、貧困の問題、政治の問題…社会が騙し騙し抱えてきた問題がついにコロナで噴出して、世の中は今まさに大きなターニングポイントにいるようです。当たり前だったはずのことが当たり前でなくなったり、益々世界との距離が近づく中で多様な価値観とのすり合わせが必要になったり。SNSの存在感も、昔とは比較にならないような大きさで私たちの生活そのものになりました。今まで拠り所にしていたもの、信じていたこと、当たり前だったはずのこと。そういう多くのものが挑戦され、見直され、そして日々アップデートされていく中で、深い思考力と柔軟さは生き残る鍵だと思います。自分の中の当たり前を疑うこと。望むと望まないとに関わらず、時代の変化は必ず起こる。自分の知っている当たり前を今一度疑い、そして信頼できる考え方に出会うまで、何にでも疑問を持つこと。自分と違う意見でも一度咀嚼してみる。その上で自分の意見を持つ。益々複雑になっていく世の中で、みなさんが強い信念と足場を築いていけるよう願っています。自分の心に正直に、遊んだり休んだり働いたりしてください。

若いと柔軟とはいうけれど、僕は10代の時こそ、かなり頑固でした。それでも大学に入り、自分が知らないものや価値観、考え方がこれほどあるのかと繰り返し思い知る中で、自分がまだまだ無知なことも受け入れざるを得ませんでした。それによって、本当に視野が開けたと思います。明学では本当に多くのキッカケを見つけました。所謂 「高学歴」と言われるような大学と比べ、偏差値が低いからと明学を卑下している在学生もいるでしょう。でも、学力がどうかよりも、その人自身が何を思って、何をやっているかの方が大切です。色々な進路、選択、挑戦や時には諦めもあるかと思いますが、一般化された安定ではなく、皆さん一人一人にとって必要な環境と将来が開けますように。応援しています。


Shu Hosoda
漫画雑誌編集
細田 柊さん
2021年3月卒業

私は4月に出版社に入社し、7月から漫画雑誌の担当編集をしています。編集者の仕事は多岐に渡ります。雑誌には漫画作品だけでなくグラビアや単行本の広告、次号予告、アンケートページなどが載っています。編集者は一冊の雑誌を世に送り出すまでの過程で様々な人と関わったり、ページ作りの中で一人でも多くの読者に雑誌を楽しんでもらえるように工夫を凝らしたりしています。現在は自分の担当する作品を雑誌に載せて、連載を立ち上げることを目標に日々の仕事に取り組んでいます。

英文学科では「物事を多角的に捉える力」を身につけることができました。一つの文学作品に対する解釈が一つだけではないように、一つの物事も複数の視点から見れば、それぞれ違った見方をすることができます。この力は特に3、4年次のゼミで身に付けることができたと思います。​

ゼミでは主に毎週違った短編、長編小説を英語で読み、各自が調べたことや考えたことをまとめ、グループ内でディスカッションやプレゼンテーションを行っていました。​ 扱う作品もSFから児童文学まで幅広く、楽しく英語を学びつつ文学批評も学ぶことができました。

また、作品を自分の言葉で理解、説明するために必要となる基礎知識や語彙も増やすことができたため、文学は様々なことに応用が効く分野だと考えています。​

編集者の仕事においては作品を生み出したり、先の展開を考えたりする際にこの「物事を多角的に捉える力」が役立つと考えています。また、ゼミでのディスカッションで得た経験は作家との打ち合わせの際に役立っています。 学生時代は勉強の合間に書店でのアルバイトに力を入れて取り組みました。 本の流通の仕組みや、店頭での本の並べ方の決まりを知ることができ、さらに実際に本を買われるお客様と交流することもできたため、出版社で働く上で非常に有意義な経験だったと思います。また、ほぼ毎日本や雑誌に触れることで興味関心も広がりました。

是非とも学生の皆様には、在学中に多くの本を読んでほしいです。 明学の図書館は蔵書数も多いため、一つの分野の本を読み漁ることも良いですし、沢山の分野の本を少しずつ読むことも良いと考えます。

中でも将来のやりたいことや目標がまだ明確でないという方は、色々な本を手にとってみてください。漫画ももちろんOKです! 明学での普段の学びの経験や読書体験から、将来自分が何をしたいのかという問いのヒントが得られるのではないかと思います。​

私も明学で学んだことを活かして、皆様にも読んでいただけるような作品を作れるように頑張ります!


株式会社 東芝
R.K.さん
2020年3月卒業

これを読んでいる皆さんは、きっと英文学科に興味を持っているか、既に英文学科に所属しているのかと思います。そんな皆さんは英文学科でどんなことを学びたいと思っているのでしょうか。

私は、英文学科に入った当初、漫然と「英語を学びたい」という想いだけで、英文学科では一体どんなことを学べるのか、自分がどう学びたいのか、具体的なイメージを持っていませんでした。

そんなある時、講義の中で演劇に触れる機会がありました。

今まで一度も興味を持ったことがなかった演劇ではありますが、そうして触れていく中で「試しに」と一度観に行ってみると、大きな衝撃を受けました。

演者の言葉、感情、動き、演出、まるで生きた別の世界が目の前にあるようでした。 そんな演劇の世界を読み解いていくと、洗練された言葉や、背景にある文化や社会問題、そしてユーモアといったものに溢れていて、「もっと学びたい」と、そう思えるようになっていました。

私は、英文学科に入った当初、漫然と「英語を学びたい」という想いだけで、英文学科では一体どんなことを学べるのか、自分がどう学びたいのか、具体的なイメージを持っていませんでした。何を学ぶかのイメージを持っていなかったところに、演劇という新しい風が一気に吹き込んできたかのようでした。

もう既に英文学科で学んでいる方は感じているかも知れませんが、明学で触れて学ぶことは、そのほとんどが皆さんにとって初めてのことではないかと思います。 それらには明学だからこそ、英文学科だからこそ学べる、ということがとても沢山あります。 学んでいてとても面白いと感じるもの、逆に自分には合わないなと感じてしまうものもあるかもしれません。 でも、どうかまず一度はどんなことにも興味を持って触れてみてください。 そうして色々なことに触れていくことによって、どこかであなたの世界にも新しい風が吹き込んでくるはずです。

さて、少しだけお仕事の話をすると、私は今情報システムを取り扱うエンジニアとして働いています。 エンジニアといっても様々な業務がありますが、何より大切なのはコミュニケーションなのだと、私は思っています。 システムの多くはユーザの持つ課題を解決するために作られ、そのためにはコミュニケーションを通して相手の課題やその背景などを知らなければいけません。 そして今の時代、相手は必ずしも日本の方とも限らないでしょう。 言葉の違いはもちろん、文化の違いというのも時として大きな壁として立ちはだかります。

私は英文学科で文学を通して、日本とは違う様々な文化に触れてきました。もちろん異国の文化は何でも知っている、なんてことはありませんが、大事なのは世界にはそれぞれの様々な文化があることを認識し、それを知ろうとする姿勢だと思います。私も良いエンジニアを目指す上ではまだまだ道半ばではありますが、そうした心掛けを大切に成長していければと思っています。

そうした姿勢というのも、きっと色々なことに興味を持つことで生まれるのではないかと思います。繰り返しにはなりますが、明学や英文学科で学ぶ上では是非色々なことに興味を持って、色々なことを学んでいってください。


Wataru Sugiura
大学教員
杉浦 航さん
2015年3月卒業

明治学院大学英文学科で学部時代を過ごし、大学院へ進学・修了後、英文学科共同研究室で学科スタッフとして勤務しました。10年間英文学科に様々な形で関わったのち、現在は他大学で非常勤講師として英語の授業を担当しています。

英文学科では、もちろん英語力向上を「目的」に深く学んでいきますが、それ以上に英語を「手段」として専門分野も学びます。英語力を上げることで、例えば入手できる情報の量は増えますが、専門分野についてはどうでしょうか。実際のところ、ほとんどの人は専門分野を極める研究職は選ばないわけで、社会で専門知識が直に生きるような仕事に就く人も稀なはずです。では、専門分野はなぜ学ぶのでしょうか?

文学や言語学という学問の個別具体的な側面に着目していても答えは見えにくく、より大きな視野で見てみる必要があるように思います。専門分野は英語学習以上に複雑で深く、時には答えのないようなものすらありますが、そうした「深い」ものに熱心に取り組むことで、様々な情報の整理力、分析力、問題解決能力、考え続けられる力を養えるのです。また、ゼミを通じ、相手にわかりやすくプレゼンテーションをする力や協調性さえも身につけることができるわけです。そうした力は社会に出てからも必ず求められるものであり、伸ばせば伸ばすほど英語力同様武器になります。

情報量が多く、複雑性を秘めた専門分野を通し、社会で必要になる力を身につけていく原動力は、興味と関心にあると信じています。何も考えずに専門分野を適当に選んでしまうと苦しい思いをするでしょうし、最後に手にするのはせいぜい「何も考えられず、適当に物事をやり過ごす能力」です。それはあまりにももったいない4年間ですよね。

とはいえ、私が大学に入学した時に、学問に対して何か強い興味・関心を持っていたわけではありません。幼少期から言葉や文法への興味は多少はありましたが、英文学科に進んだ理由はせいぜい「英語が他教科と比べて得意だったから」程度のものでした。幸いだったのは、大学在籍中に好奇心と、興味を持ったものを掘り下げていこうという意識だけは誰よりも強く持っていたことです。そうしているうちに、2年生の終わりに第一言語獲得という言語学の一分野に出会い、なぜ母語は容易に(教わることなく)獲得できるのだろうかいう、考えてみればとても不思議な問いに強く関心を持ち、今でも英語を教える傍らで研究を続けています。

入学前の段階で明確な目標がなくても心配することはありません。興味の種は明治学院の至るところに必ず落ちています。その種に気付けるか、そしてその種を拾えるか、育てられるかに皆さんの大学生活、ひいては今後の生き方がかかっています。


全日本空輸株式会社
客室乗務員
N.W.さん
2012年卒業

私は全日本空輸株式会社で客室乗務員として国内・国際線に乗務しています。お客様を目的地に安全にお送りするため飛行機内の保安業務を行うと共に、食事や飲み物を提供しながら快適な空間を創造するサービス業務を行っています。皆さんもご存じの通り、飛行機内はひとたび離陸すると着陸するまでいわば密室状態です。お客様に提供できる品や私たちが使用できる物品、さらには時間にも限りがあります。私たちが提供するサービスによってお客様の満足度も変わるため、どのようにすればお客様により心地よい時間をお過ごし頂けるのかを一便ごとフライト前にクルー全員で考えています。“このお客様にはこうして差し上げたい”と思い行ったことに対して、お客様から直接「ありがとう」「あなたに担当して貰えて良かった」と言って頂けた時には大変なやりがいを感じます。


パレスホテル東京
H.K.さん
2017年卒業

高校生の時から「英語」が好きで、オープンキャンパスで知った「言語学」を学びたいと興味が湧き、「英語が使える仕事に就きたい」と考えて明治学院英文科を選びました。

明治学院英文科は、単に英語を学ぶだけの場所ではありません。英語の基礎力を身につけるために必要なカリキュラムがあり、勉強や留学の相談に乗り応援してくださる教職員の方々がいます。そして、何よりも同じ思いや夢を持つ仲間が沢山いる場所です。大学生活では、言語とともに世界の多様性、文化、歴史を学びました。また、学びたい気持ちを積極的にアピールすることの大切さを知り、将来の自分は何をしたいのかを常に考え続ける4年間でした。

私は今、東京丸の内にあるパレスホテル東京のフロント課リザベーションで仕事をしています。毎日、電話やメールなどで日本だけにとどまらず、世界各国から客室予約の受注・問い合わせに応じる業務ですので、学生時代に学んだ英語や異文化経験が活きています。宿泊をされるお客様のニーズを正しく受け取り、快適な滞在を過ごして頂くための最初の窓口。お客様の旅は、予約をしたその時からすでに始まっています。問い合わせた際の受け答えでホテルの印象が決まり、その後の期待度を左右します。様々なケースに対応するため、覚えなくてはならないことや臨機応変さが求められるので、緊張感をもって業務に取り組んでいます。

ホテル業界を就職先に選んだ大きな決め手は、3年次にカルフォルニア大学、Vail Resortsと提携しているインターンシップ留学を経験したことです。ホスピタリティとツーリズムマネジメントについて学んだ後、多国籍の同僚と共にスキーリゾートで1シーズン接客を経験しました。今、このプログラムは毎年あるようですが、その第1期生です。勉強だけではなく、実際に体験をして自ら考え行動する時間を多く持つことで、自分自身への理解が深まり今の職への関心に繋がりました。

これから明学英文科で学ぼうと考えている皆さんにも、ぜひ、何かへ興味を持ち、多くのチャレンジをしてもらいたいと思います。私も、大学で学んだことを糧として、狭い価値観に支配されることなく、多くの人の意見や気持ちに触れ合い理解することができるように邁進努力していきます。


横浜市立中学校教諭
Y.K.さん
2013年卒業

私は横浜市の公立中学校の英語科教員として勤務しています。中学生は心も身体も大きく変化する時期です。一人ひとりの個性を見極め、個に応じた支援を行い、生徒の可能性を広げていくのが私たち教師の仕事です。教師の仕事は多岐にわたり、次から次へとやってくる業務を一つひとつこなして、気づいたら1日が終わっており、英語の面白さ、言語の不思議や魅力を伝えたくて教員を志したにも関わらず、時に余裕がなくなり目の前のことに精一杯になることもあります。ですが、行事などで一緒に喜んだり、一つの目標に向かって一緒になって進んだりしていく中で、自分自身も様々なことを考えさせられ、日々成長させてもらっています。

「ことばが持つ不思議」を英文学科で気づかされ、それをなんとか伝えたいと思ったことが教師を志すきっかけとなりました。「英語って日本語と全然違うから覚えられない」という声をよく生徒達から聞きます。でも実は世界中の言語を見てみると共通している部分があったり、同じ規則が潜んでいたりします。そのような難しい理論的なことを中学生に教えることはありませんが、英文学科で学んだことにより多くの引き出しを持つことができました。現在は教えることが第一となっていますが、今でも自分で面白そうな論文や本を読んだりして教養を深めています。それも英文学科で学んだ4年間があったからだと思います。今振り返るともっと大学時代に勉強しておけば良かったと思えるくらい充実した4年間を過ごすことができました。

英文学科では英語を通して様々なことを学ぶことができます。それぞれの専門分野に長けた先生方が多くいらっしゃるのも「英語の明学」と言われる所以だと思います。大学生の4年間は長いようで本当にあっと言う間です。これから英文学科で学ぶ方々にはぜひ色々なことに興味を持って充実した4年間を過ごして欲しいと思います。


国家公務員
Y.T.さん
2015年卒業

こんにちは。2015年に英文科を卒業したY.T.と申します。“英文”科といいつつ、英語学(言語学)を専攻してました。今現在は国家公務員をやっています。公務員と聞くと、お堅くて面白くなさそうと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、入ったばかりでも多くの人の支えになれるような仕事をできるので楽しいです。大人の事情があるので多くは語りません。ごめんなさい。

今回、仕事と絡めて英文科の話をしろとの事で本稿を書いていますが、個人的には学問の目的というのは内在しているもので、その外に意味を見出す必要性はないと思います。簡単に言えば、仕事や実生活に役立つから何かを学ぶのではなく、学問が楽しいから学ぶという姿勢で授業に臨んでほしいです。が、私も大人なので、ちゃんと要求には応じます。大人なので。

仕事をしていく上で(いや、もはや試験を受ける段階からかもしれませんが)、壁になったのはいわゆるお役所言葉でした。昔から繁文縟礼(=ごっちゃごちゃしててよくわからん文章)と馬鹿にされるように、役所の作る文章は非常にわかりにくいです。さらにさらに、職員として仕事をするとなるとそんな文章を書かなくてはいけません。そんな時、言語学的な考え方が役に立ちます。最も分かりやすい例は「句読点の打ち方」。同じ文章でも、区切り方で意味が変わってくるから面白いです。これを学んでおくと、複雑な文章を読むのも少し楽になります。点の打ち方で文章の意味が変わるという現象には、こんな例があります。

1. 頭が赤い、魚を食べた猫
2. 頭が赤い魚を、食べた猫

いかがでしょう、1と2の違いが分かりますでしょうか。ヒントは頭が赤い動物がそれぞれの文で違うということです。もはや答えですが。

そうです、1の文の意味が「頭の赤い猫が魚を食べた(A cat with a red head ate fish.)」であるのに対し、2の文の意味は「猫が頭の赤い魚を食べた(A cat ate red-headed fish.)」となっています。すごいですね。ちなみにこの文、この2つの他にも3つの解釈があって、某アメリカ大統領が愛用している某SNSでも有名です。英文科のHPに載る文なので、一応英訳も書いときました。「頭の赤い」の訳し方を変えているところがおしゃれポイントです。英文科に入れば、こんなおしゃれなことができるようになります。

閑話休題(おしゃれの話は置いておいて)、文の中心が何なのかという事を理解することは、文章を読むにしろ書くにしろ非常に大切です。「読む」のであれば、中心を理解しなくては正しい解釈ができませんし、「書く」のであればきちんと焦点を中心に合わせて文章を書かなければ、読む人に何も伝わりません。これは、どんな職業でも少なからず必要な能力だと思います。

最後に、明治学院大学を褒めておこうと思います。明学は非常に多くのことを学ぶことができる大学です。授業の種類も多岐に渡ります。英文科と同じ文学部のなかに芸術科もあるので芸術系のことを学べたり、はたまた自由科目で化学の授業もあったりします。学ぶ姿勢次第で、とても多くの知識が身につきます。みなさんは、高校までの勉強を経験し、「勉強=くそつまらないもの」という印象をお持ちかもしれません。しかし、大学での勉強は主体的でとても面白いものです。どれを学ぼうとか、どのくらい深く学ぼうとか、高校までの授業よりはるかに自由度が高いです。ぜひぜひ、「学ばなきゃいけないから学ぶ」のではなく「学びたいから学ぶ」という姿勢で、自分の能力を磨いていっていただけたらと思います。私は、もう一度高校に戻って勉強をしろと言われたら絶っっっっ対に嫌ですが、大学でならもう一度学びたいと思います。人生で最も能力を伸ばせる4年間(たぶん)、ぜひ英文科で楽しく過ごしていただけたらと思います!さようなら。


米国の大学院に進学
宮田 曜彰さん
大学院英文学専攻 博士後期課程 2019年3月まで在籍

2019年度フルブライト奨学生に選ばれ、アメリカのマサチューセッツ大学アマースト校大学院博士号プログラムに正規留学が決まった宮田曜彰さんにお話を伺いました。

Q: どのようなきっかけで大学院進学を考えたのでしょうか? またそのためにどのような勉強をしましたか?
A: 正直なところ学部1年生の頃は、言語学に興味を持ち授業を毎回楽しんで受講していましたが、私が大学院に進学するといったイメージがあまり湧きませんでした。しかし学年が上がるにつれて、言語学が本当に面白く感じて、この分野をより詳しく学び自分で研究をしてみたいと強く思ったことがきっかけになりました。大学院進学のために英語の勉強も多少しましたが、それまで学んだ専門分野の内容をもう一度復習し、卒業論文の準備をしていました。特に卒業論文の準備や執筆にあたり、ゼミの先生に指導していただく時間をとっていただきました。この時間も大学院進学の準備をする際には、必要不可欠だと思います。

Q: 本学大学院在学中、どのような研究生活を送りましたか?
A: ほぼ毎日研究室に通うぐらい、とても楽しく充実した研究生活でした。もちろん大変なことも多いです。しかし、言語に関する何か新しいことや興味深いことを見つけた時には、時間を忘れて研究に没頭していました。研究室は日曜日は閉室していて本当はダメですが、こっそりと日曜日も研究室に行ってはよく警備員さんに怒られていました。指導教員の先生と議論をするのはもちろんですが、同期や先輩後輩と共にたくさん議論しました。そのおかげで、本当に楽しい研究生活を送ることができました。

Q: 専門分野や英語以外に、大学院で学ぶことによって身についたことはありますか?
A: 批判的に物事を考える力が身につきました。大学院では、たくさんの論文を読むことになると思います。そこではただ読むだけではなくて、例えばデータが本当に正しいのか、議論が本当に正しいのか、説明できないデータがあるのではないかなど考えながら 論文を批判的に読むことが求められます。なぜそうなのか本当にそうなのかと考えることは、学術的な分野だけでなく日常生活でも大いに役に立ちます。

Q: University of Massachusetts, Amherst校の大学院言語語学科には毎年世界中から百数十名の志願者があり、合格するのは数名だけですが、なぜ留学しようと思いましたか? また今後5年間、どのような目標を持っていますか?
A: 実は博士前期課程1年生の終わり頃に、修士号を取得した後は高校の英語教員になろうと考えていました。しかし修士論文を書きながら、ふと研究ってやっぱり面白いし続けたいと思い直しました。そこで研究を続けるのであれば、言語学のメッカであるアメリカの大学院で研究を続けて博士号を取りたいと考えるようになりました。UMass, Amherstを選んだ理由は、大きく分けると3点あります。1つ目は、大学院生が研究に熱心でレベルが非常に高い点です。2つ目は、専門分野だけでなく幅広く関連分野を学ぶことができる点です。3つ目は、言語学漬けになることができる点です。今後の目標は、あまり視野を狭めずに積極的に学び研究していきたいです。そして何より研究を思う存分楽しみたいです。

Q: フルブライト奨学金はとても狭き門で有名で、明治学院大学の大学院生が獲得するのは今回初めてかもしれません。決して簡単な道のりではなかったと思いますが、どのように準備しましたか?
A: 日本の大学と比較するとアメリカの大学の授業料はかなり高額で、自力で支払うことはできません。その代わり、入学選考の過程で力が認められればTAやRAといった仕事を任せてもらい、授業料が免除されお給料ももらえます。ただ1年生からTAやRAをしながら大学院生として研究するのは大変なので、フルブライト奨学金に挑戦しました。準備としては、まずアメリカで何を研究したいのか、それを研究することで何が明らかになるのか、そしてなぜその研究が重要なのかを明確にしました。指導教員の先生に指導していただきながら、言語学を専攻していない人が理解できるように自分の言葉でそれらを説明できるようにしまし た。英語での面接があるのでその練習もしました。この選考過程を通して、自分の専門分野や研究を客観的に見つめ直すことの重要性と専門外の人でも自分の研究がわかるように説明する難しさに気づくことができて、自分の中ではとても勉強になりました。

Q: 最後に、本学の大学院への進学を目指す学部生や、将来アメリカやイギリスの大学院に正規留学を目指す大学院生にアドバイスをお願いします。
A: まず、自分の知的好奇心に素直になってください。特に学部生は、自分のテーマにとても興味はあるけど、それがどのように役立つのかわからないなどと考えるかもしれませ ん。実際私もそうでしたが、それは私の勉強不足が原因だと後々気付きました。そのようなことで皆さんが自分の好奇心を削いでしまうのは、とてももったいないです。そこから何か新しい発見が生まれ、新しい研究がてきるかもしれません。是非、皆さんの知的好奇心を大切にしてください。そして、大学院で研究をとことん楽しんでください。 大学院での授業や先生方とのディスカッションなど大変なことも多いですが、先にも述べた好奇心があれば全てを楽しむことができると思います。ぜひ大学院での貴重な研究を楽しんでください!

■フルブライト奨学金についてはこちら
マサチューセッツ大学言語学科ウェブサイト