安藤 聡 Satoshi Ando

安藤 聡
教授

イギリス文学 (児童文学)

『アリス』、『ピーター・パン』、『ホビット』、『ナルニア』そして『ハリー・ポッター』など、児童文学(特にファンタジー)に名作が多いこともイギリス文学の特徴です。小中学校時代に、そうとは知らずに、すでにイギリス文学に親しんでいた人も少なくないでしょう。児童文学は子供だけのものではありません。子供の頃に読んだ児童文学作品を今読み返すと、必ず新たな発見があります。『ナルニア』の作者で、著名な英文学者でもあるC・S・ルイスは、‘a children’s story which is enjoyed only by children is a bad children’s story’ と言っています。

シェイクスピア、オースティン、ディケンズ、ブロンテ姉妹がイングランドの国民的作家なら、スコットランドにはロバート・バーンズやウォルター・スコット、ウェイルズにはディラン・トマスがいます。英語で書かれたアイルランドの詩・小説・戯曲なども、それに旧植民地の英語文学も、英文学科のイギリス文学コースで扱う範疇に含まれます。イギリス文学は小説や児童文学ばかりでなく戯曲、抒情詩・博物誌・歴史・伝記・旅行記・ジャーナリズム・美術評論といった分野にも数多の古典的名著があります。このような多様性もイギリス文学の面白さと言えるでしょう。

文学作品を読んで楽しめることは、日常生活を豊かにする生涯の宝物です。毎日が退屈だと思っている人の多くは読書の喜びを知らないのではないでしょうか。日本の英文学界に燦然と輝く先人たちの偉業のお蔭で優れた翻訳が綺羅星のごとく存在しますが、原文で鑑賞できればなお一層その作品の素晴しさを実感できるに違いありません。英国の歴史や風土、また英国的な価値観や英語に特有の発想について多少なりとも知っていれば、さらにその作品を深く味わうことができるでしょう。作品を読むことを通して少しずつそういうことも知ればいいのです。文学に限らず、英国では様々な学問分野の入門書(例えばOxford University PressのVery Short Introductionシリーズ)や各種の雑学本(お勧めはShire Libraryシリーズ)、あるいは当然ですが英語に関する本(一例を挙げれば英国のカリズマ言語学者David Crystalの本はどれも面白い)など、極めて良質な書物が絶え間なく出版されています。本を読むために英語を学ぶのもいいと思いませんか?