小椋 道晃 Michiaki Ogura

小椋 道晃
専任講師

アメリカ文学

19世紀中葉に花開いたアメリカン・ルネサンス期の作家を研究しています。ただ、もとはと言えば、大学一年の頃に読んだビート世代の作家ジャック・ケルアックの『オン・ザ・ロード』に惹かれ、いつかは北米大陸を車で踏破してみたいと思ったのが、アメリカ文学を志すきっかけでした。その夢は留学中に(半ば中途半端なかたちですが)叶えることもできました。いま思えば、旅に憧れることは、その時の状況に満足していなかったのだと思います。学生時代には、ビート派の真似をして、インド、ネパールにも足を延ばしました。そのような旅への衝迫は最近では弱まってしまい、定住の安心感に心が落ち着くようになってしまいました。家では鉢植えを趣味にしており、悔恨植物やサボテンなどがほとんどですが、特にマダカスカル原産のパキポディウム属(グラキリスなどが有名ですね)や、オベサやギラウミニアナなどのユーフォルビア属を好んで育てています。鉢が増えすぎて、なかなか長期の旅行にも行きづらくなってしまいましたが、それでも植木と親しむのは精神衛生上いいように思います。

ここ数年、関心を持って取り組んでいるのは、多様であり特殊でもある〈友情〉のさまざまな形が、文学作品にどのように表れているかを検証していくことです。なかでも、とりわけ興味を惹かれるのは、19世紀アメリカにおける「友情」の言説が、文学テクストをめぐる作家と読者の関係性としても表象されている点です。文字を介した読書行為の親密性が、親しい友人と語り合う経験と変わらないのであれば、現実社会では限られた交際も無限に広がるような気がします。もちろん、友人と言っても様々なタイプの人がいますので、その人が必ずしも親しみやすいというわけでもなく、なんでも率直に話してくれるわけでもありません。むしろ、こちらに全然歩み寄ってきてくれない人も少なくありません。いずれにせよ、そのような濃密な読書体験を皆さんと共有できれば素晴らしいですし、そのような同志と出会う場を提供したいと思っています。

略歴

立教大学大学院文学研究科英米文学専修修士課程修了。フルブライト奨学生としてウィスコンシン大学ミルウォーキー校に留学。立教大学英米文学専修助教を経て、2021年度より、明治学院大学文学部英文学科に勤務。