子どもの世界
開設にあたって なぜ、子どもたちの「心の問題」に取り組むのか
子どもの世界① 「先生が足りなくなる」時代が来るって本当ですか?
子どもの世界② 勉強が嫌い、やる気がない」という子どもたちが増えているって本当ですか?
子どもの世界③ 今、先生に求められている「LD、ADHDの子どもたち」に対する理解と教育
子どもの世界④ 自閉症の子どもたちが求めている理解と支援
子どもの世界⑤ 「不登校」を減らすために必要なこと

「不登校」を減らすために必要なこと

 この20年にわたり、日本の教育現場をめぐる深刻な問題の一つとなっているのが不登校の子どもたちの存在です。文部科学省では「不登校児童生徒」を、病気や経済的理由をのぞき「何らかの心理的、情緒的、身体的、社会的要因・背景により登校しない、あるいは登校したくともできない状況にあるため年間30日以上欠席した者」と定義しています
 不登校の原因は、「授業についていけない」「いじめ」「友達関係がうまくいかない」「先生との関係がうまくいかない」「家庭環境の変化」「親子関係をめぐる問題」「教室に入ることに対する不安」「無気力」「あそびや非行グループに入った」などじつにさまざまです。一人ひとりによって、異なる事情や背景を抱えていることが、不登校問題の特徴であり、問題解決を難しくしている点であるともいえるのです。
 さらに重要な点は、こうした不登校の子どもたちのなかに、自閉症やLD(学習障害)、ADHD(注意欠陥/多動性障害)などの発達障害のある子どもも少なくないということです。しかも、学校の先生に発達障害の知識がない場合は、表面に現れた「いじめ」などだけを不登校の原因と認識してしまうことになります。彼らは発達障害があることで学習や友達付き合いに失敗しやすく、失敗し続けることで次第に追い詰められてしまいます。発達障害のある子どもたちも、適切な支援を受けることで学校生活に参加することが可能ですが、残念ながらまだまだ支援が十分ではないのが実情です。
 発達障害の子どもに限らず、不登校の子どもたちをサポートする上で何より大切なのは、彼ら一人ひとりが「何にどう困っているのか」をしっかりと把握した上で、きめの細かい対応を行っていくことです。
 そのためには、学校の先生が、スクールカウンセラーなどの心の専門家との連携・協力を深めていくことや、心理学や発達障害についての基礎知識を身につけることがますます重要になります。不登校の子どもたちをサポートするには、不登校を生じさせている要因に対処する必要がありますし、学校生活の中で子どもたちが感じている困難に気付き、彼らが不登校にならないでも済むような手立てを講じる必要があります。だからこそ、今、「こころを育て、子どもを支える」ことのできる先生の存在が、学校教育の現場で強く求められているのです。
明治学院大学 心理学部教育発達学科 2010年4月開設
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