子どもの世界
開設にあたって なぜ、子どもたちの「心の問題」に取り組むのか
子どもの世界① 「先生が足りなくなる」時代が来るって本当ですか?
子どもの世界② 勉強が嫌い、やる気がない」という子どもたちが増えているって本当ですか?
子どもの世界③ 今、先生に求められている「LD、ADHDの子どもたち」に対する理解と教育
子どもの世界④ 自閉症の子どもたちが求めている理解と支援
子どもの世界⑤ 「不登校」を減らすために必要なこと

なぜ、子どもたちの「心の問題」に取り組むのか

子どもをめぐる問題の複雑化・多様化に応えるために

 多様な価値観が交錯する現代の子どもたちをめぐる問題は、複雑化・多様化の一途をたどっています。幼稚園、小学校をはじめとする初等教育の現場では、今、何が起きており、どのようなことが課題になっているのでしょう?文部科学省の中央教育審議会の答申(2006年7月11日)では、次の4点を学校教育の課題としてあげています。

  • 学ぶ意欲・学力・気力・体力の低下
    • 子どもの学ぶ意欲や学力・気力・体力が低下傾向にあるとともに、様々な実体験の減少等に伴い社会性やコミュニケーション能力等が不足していること
  • 今までに見られなかった「新しい荒れ」
    • いじめや不登校、校内暴力等の問題が依然として深刻な状況にあるほか、仮想現実やインターネットの世界に過度に浸ったことも原因と考えられる事件が発生するなど、子どもたちの間に「新しい荒れ」とも言うべき状況が見られること
  • LD(学習障害)、ADHD(注意欠陥/多動性障害)や高機能自閉症等の子どもへの適切な支援
    • 学校教育の場で新たな課題となっているLD、ADHD、高機能自閉症等の子どもへの支援に関して、新たな知見が明らかになりつつあること
  • 保護者や地域社会に開かれた学校づくりの重要性
    • 保護者や地域住民が学校運営に参画する仕組みが整備されるとともに、学校に自己評価の努力義務が課せられるなど、開かれた学校づくりに向けて、学校が説明責任を果たし、保護者や地域社会との信頼を深めることが重要となっていること

今、先生に求められているのはこころを理解し、こころを育む力

 上にあげた4つの課題は、いずれも学齢期の子どもと保護者の心をめぐる問題です。複雑化・多様化する現代の子どもたちの問題を考えるには、現場の先生たちが、子どもたちの心の視点から問題を捉えることが必要なのです。
 すなわち、今の教育現場に強く求められているのは、保護者や社会の心も把握しつつ、子どもの心を理解し、寄り添いながら、子どもの心を育てていける、新しい学校教育の形を創造することなのです。
 明治学院大学心理学部が新たに開設する教育発達学科では、この大きなテーマに取り組んでいきます。子どもたちの心を育て、子どもたちの成長を支えるために――。
 Do for Others (他者への貢献)の理念のもと、明治学院大学心理学部の新たな取り組みが、今、始まります。
明治学院大学 心理学部教育発達学科 2010年4月開設
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