留学は精神鍛錬の短期集中プログラム!

きゃしゃで色白、透明感溢れる佇まいで泣く子も黙るお嬢さま…。そんな可憐な姿とは裏腹に、「たくましくなった!」と両親をひたすら驚かせた宮内涼さんは、留学前・留学後で劇的に心の変化を遂げた1人。たった1年で、彼女を大きく成長させたものとはいったい何だったのでしょうか?

宮内涼 (2011年9月卒業)

留学期間:2009年10月-2010年9月
アフガニスタンの学生との文通が、先方の政治的な事情により断絶されたことを機に、国際紛争やNPO活動等に興味を持ち始める。明学では政治学を専攻し、その理解をさらに深めるため、両親の反対を押し切って留学。1年間のアメリカ留学でたくましさを身に付け、可憐な容姿とはうらはらに、骨太マインドに磨きをかける。

留学を踏まえた大学選び

留学までにどんな勉強をしましたか?

まずは英語ですね。留学を視野に入れて英語の勉強を始めたのは高3の頃です。高校時代は英語科に在籍していて、実は進路を決める時、留学するのにいい大学にしようと思っていたんです。明学を選んだのは、担任の先生が「質のいい協定校が多いよ」とアドバイスしてくれたことも後押しとなりました。
だから、入学後は留学に必要なTOEFL対策に力を入れていましたね。テストを何度も受け、コツをつかむと徐々に点数が上がっていって…。最初は短期留学でもいいかなあと思っていたのが、いつの間にか、どうせ行くならしっかり行きたいという気持ちに変わっていました。
留学先は、アメリカの中でも東海岸を希望していました。州立大学のように広大な敷地にカラッっとした雰囲気ではなく、小規模で落ち着いた感じが好きなんですよ。そこでCICEの方と相談しながら、環境もよく、教育レベル的にもいいということで決まったのがロチェスター大学。ロチェスターには、以前明学に交換留学で来ていたウェンディがいたので、彼女にいろんな情報を聞いたりして、とてもお世話になりました。

まさかの両親大反対と

留学前にトラブルはありませんでしたか?

それが、行く前になって問題がおこりました。親の反対です。
親は、1人旅もしたことがない私が「まさか1人で行くなんて…!」と、不安で仕方がなかったんです。それに「最初は行きたいと言っていても、きっと最後には行かないことになるだろう…」と思っていたみたいで。でも私は、意外と本気でしたからね(笑)。
とはいえ、なかなか留学を認めてはくれず、交渉は難航しました。親は2人とも留学経験がありませんし、アメリカについてもまったく知識がない状態。そのせいか“アメリカ留学”というと、その昔ニュースで見た銃の乱射事件や、拉致の映画などが思い浮かんでしまうようで、ともかく「行ってほしくない」「危ない」の一点張り。母は心配のあまり、この留学がどういうものなのか、CICEに相談に来たこともあったほどです。
そしてとうとう、この騒動は、親が諦めるというかたちで決着がつきました。
何を言っても私が「行きたい」と言って、意志を曲げなかったからです。

まさかのいきなりホームシック

待望の留学生活。どんなスタートを切りましたか?

それが、そこまでして留学したのに、行ってすぐにホームシックになってしまったんですよ。
私にとっては初めての1人暮らしで、初めての海外生活。でも、言いたいことがきちんと言えない、言っても伝わらない。英語は日本のTOEFL講座なんかじゃ全然足りませんでした。その上、とりたい授業は力がなくて取れなくて、とった授業もいきなり普通の政治学のクラスにいきなりぽんと入ってしまった感じで、聞きとることも難しくて…。ディスカッションでは発言もできず、最初は自分の無力さに落ち込んでばかりでした。空港が近かったので、こっそり帰っちゃおうかと思ったり(笑)。
でも、そんな私をルームメイトが救ってくれました。私が落ち込み過ぎないよう、部屋に引きこもらないよう呼んでくれたり、ごはんを一緒に作ってくれたり。同じ部屋に私と同じ政治学専攻の子が2人いたのも助けられましたね。レポートの添削をしてくれたり、既に受けた授業について教えてくれたり。2人とも年上だったこともあり、あの時はお姉さんに頼るような気持ちでした。 でも、そうこうするうちに「せっかくここまで来たのにもったいない。どうにか楽しもう」思うようになってきたんです。するとだんだんネガティブな考えが消えていきました。

授業あれこれ

授業はどんな感じでしたか?

メインの授業は政治学の基礎クラスで、アメリカの選挙制度や大統領制などについて学んでいました。最初は英語がわからなさすぎて、いること自体が辛かったのですが(笑)、授業をボイスレコーダーに録音し、後で理解できないところを聞き返したり、ルームメイトや司書の方に面倒をみていただいたりしたのが効を奏したのか、だんだん聞きとれるようになり、話せるようになっていきました。
また、私のクラスでは先生がアフリカンアメリカンだったこともあり、マイノリティに関する事情や、黒人の政治進出の歴史などの話も興味深かったです。内容的に面白かったのはゲーム理論ですね。これは、取引で必ずしも利害が一致しない場合に、合理的な決定や分配をするために使われる手法で、実際に政治的紛争の解決に使われているものですが、ある理論にあてはめて政治のシステムを考えるという授業は今までになく刺激的でした。
また、政治学の授業の他に、大学の日本語会話中級クラスでティーチングアシスタントもしていました。このクラスでは、日本語の文法を実際の会話で使えるようにするのが目標だったのですが、助詞の使い方や、日本語独特の言い回しを伝える難しさを知りましたね。

オンとオフ

オフはどんな風に過ごしましたか?

政治学の授業だけでは気持ちが追い込まれると思い、ヨガのクラスをとっていたのはよかったです。ヨガジャーナルなどのリーディングも楽しかったですし、身体もしなやかになって、息抜きや癒しにもなって。身体を動かすということでは、ジムのプールで泳ぐこともリフレッシュになりました。
また、キャンパス内で楽しみもたくさん見つけました。ロチェスター大学には有名な音楽学校が併設されているのですが、そこに新しくできたコダックホールに学割でオーケストラなどの演奏を聴きに行ったり、秋には紅葉を見たり。特にキャンパスの美しさはロチェスターの魅力のひとつで、校舎と学生寮の間には川が流れていて、毎朝橋を渡って通学するのもちょっと楽しいし、図書館なんて、まるでハリーポッターの世界のよう。
それから、留学先での友だちはほとんどアメリカ人だったのですが、彼らに学ぶところは多かったです。特にオンとオフの切り替えのうまさ。週末はパーティーで夜中まで遊んだかともうと、また月曜からはものすごく勉強する。私は最初そうする余裕もなく、土日も勉強しなければ間に合わなくて、1人で勉強していると落ち込んできて…という悪循環だったのですが、オンとオフにメリハリをつけるようにしたら、気分転換もうまくなり、勉強にも集中できるようになりました。

可愛く、図太く、たくましく

帰国して、両親の反応は?

かなりびっくりしていました。「ここまで変わるとは思ってなかった」って。「図太くなった」とも言われましたね(笑)。「物事に動じないし、くよくよしなくなった」とも。 確かにそうなんです。留学の相談に乗ってくれたCICEの荻原さんが言うには「留学は、人生の中で精神面を鍛える短期集中プログラム」だって。「語学力だったら日本でも力がつく。でも、精神が鍛えられることは、日本ではあまりない」って。納得ですね。
振り返ってみると、アメリカでは、自分がちゃんと伝えることができなかったからか、大学のカフェテリアで注文しても聞こえないふりをされたり、ちょっと意地悪されたりすることもあり、悔しい思いをしました。でも、そのうち「この人はそういう人なんだからしょうがない」と思って、いちいちくよくよしなくなりますし、あまり折れなくなるんですよ。以前の私だったら、何か落ち込むことがあると、いつまでもグズグズしていたのに、我ながら立ち直りが早くなったと思います。それに、些細なことでショックを受けにくくなりました。 これからは留学で培った経験を活かして就職活動をしていくつもりです。業種ですか?鉄道、飛行機、船舶とか…、私、乗りものが好きなんですよ(笑)。こうしたフィールドで、英語も使えるような仕事をしたいですね。