目指すはキモチがわかる日本語教師!

今回ご紹介するのは、明学と親交の深いリベラルアーツ系の協定校・ホープカレッジに留学した近藤ひかるさんです。留学中は心理学を学びつつ、日本語クラスのティーチングアシスタントをした経験から、日本語教師を志すという近藤さん。語学はもちろん、日米両校で学んだ心理学を現場で活かし、キモチがわかるカリスマ日本語教師になる日も近い!?

近藤ひかる (2011年3月卒業)

留学期間:2009年10月-2010年9月
在学中は心理学部に所属しながら、バディのリーダーとしてイベントを切り盛りし、CICE提供のプログラムもフル活用するなど、明学ならではの国際交流活動を満喫した彼女。ミシガン州のホープカレッジで短期・長期両方の留学を経験し、そこで経験した日本語ティーチングアシスタントがきっかけで日本語教師を志すことに。現在は心理学をも活かした日本語教師になるべく大学院で勉強中。

二度目のホープ

ホープカレッジを選んだ理由は?

1年生の夏に、明学のボランティアセンターとホープカレッジが共同で主催している海外派遣プログラムへ参加したことがきっかけです。
これは、ホープのあるミシガン州ホランドでボランティアやフィールドトリップをする短期留学だったのですが、そこでの体験や滞在がとてもよくて。街並みはミニチュア工芸品みたいに美しくかわいらしいし、自然が豊かで治安もいいし。それで、長期で留学するならもう一度ホープに行きたいなあ、と思うようになりました。それに、自分が専攻している心理学の授業を受けながら、日本語クラスのティーチングアシスタントができるところも魅力でした。
もともとホープと明学は交流が深く、毎年5月の約1か月間、あちらから15人ほどの留学生がやってきます。そこで私はバディとしてみんなのお世話をしていたので、同校に友人がたくさんいたことも留学の安心材料でしたよね。実際に、あちらのキャンパスでたくさんの友人に再会できたのは嬉しかったし、心強くもありました。

現場で使える心理学

日本で学ぶ心理学と、ホープで学ぶ心理学の違いは?

そ勉強は、ゼミレベルの心理学の授業を現地の学生と一緒に受けるとあって、それは大変でした。日本の大学の場合、ほとんどの授業は週に1回ですが、ホープでは週3回同じクラスで開講しているので内容も濃かったし。1クラスは20人もいたら多い方で、発表はひとり一人行っていましたね。
もちろん授業の取り組み方も異なります。例えば、転職率の高い会社において社員の定着率を高める方法や、怪我人の多い工場でトラブルを減らす手段など、実社会で起こり得る問題と解決方法を学ぶ産業社会心理学の場合、明学では定義や概念、先行研究といった座学が多いのに対し、ホープではロールプレイや研究発表が中心。プロセスから結果を導くまでの具体的な答えを求められ、解決方法はもちろん、そこにかかるコストまで算出するなど実践的なんです。ただ、この授業についていけたのは、先に明学で概要を学んでいたから。逆の順番だったら多分無理だったでしょうし、納得のいく学習はできなかったと思います。
また、心理学に繋がる学問でもあり、明学では学べないリーダーシップのクラスも選択しました。ここでいうリーダーシップとは、自ら動くことで人を動かすという実践哲学のこと。ホープはカトリック信者が多いからか、この授業では他者への奉仕を通じて相手を導くというような、キリスト教的な教えも感じましたね。

日本人でよかった

授業のほかに、どんな活動をしていましたか??

留学してやりたいことのひとつに、日本語クラスのティーチングアシスタントがあったのですが、これがもう、とにかく楽しかったんです。
受け持ったクラスは初級~中級で、日本語を専門に勉強している子から、今後の検討材料としてとりあえずとっている学生まで、いろんなタイプがいました。でも、だいたい日本語に興味を持つ人は、マンガなどのポップカルチャーがきっかけとなっていることが多いですね。そのせいか、話す言葉も「俺は○○だぜ」とか、「おのれは…」とか、使う言葉が微妙にマンガっぽい人もちらほらいます(笑)。
なんでそんなに楽しかったかというと、自分と日本に興味を持ってもらえることに尽きますね。何でもない自分の存在が「日本人」というだけで関心を持たれるのが感動でもあり、新鮮であり、ありがたかった。お箸の使い方から、助詞の使い方、個人的なことまで、本当にいろんな質問を受けました。
また、折に触れて感謝されたり、考えてもいなかった見返りもありました。帰国前の最後の授業の時には、黒板に大きく「ありがとう」って書いてあって、みんながカードをプレゼントしてくれて。じーんときましたね。

共同生活が寝坊を防ぐ?

やることが盛りだくさんで、寝る暇がなかったのでは?

私のような留学生に限らず、成績が悪いからというわけでもなく、みんなよく勉強します。その中でも私は「勉強しすぎ」と言われるくらい勉強していました。留学中は「日本に帰ったら寝られる」と思って勉強していましたしね(笑)。それも、とりたかった授業がとれたことも励みになりました。今やっていることが将来に繋がると思うと、やる気も出ます。
毎日のスケジュールは、朝イチで心理学、昼に日本語クラスのティーチングアシスタント、午後イチで心理学、その後またティーチングアシスタントか別のクラスか…という感じで、オフィスアワーもあり、テストもありで、けっこう忙しかったです。
基本的な生活サイクルは午前3時就寝、朝8時起床。住んでいたのは大学が経営するアパートで、1部屋4名のルームシェアでした。ここでは各自スケジュールを張っておく決まりがあったので、無駄な心配や気遣いをすることなく、快適に暮らせましたね。特に私の隣人は、朝から晩までダンスに没頭していて、夜はぐっすり眠るタイプだったので、遅くまで勉強して朝早い時は、たびたび起こしてもらって助けられました。

言葉ひとつで社会は変わる

帰国後に取り組んだ卒業論文のテーマは?

留学を振り返ってみると、全体的に言葉に関わるものに集中して取り組んでいたこともあり、卒論では言語心理学と社会心理学を交えた「言語カテゴリモデル」について取り組むことにしました。
心理学には、人に何かを伝える際、抽象的な表現をした方が、具体的な表現よりも印象が強く残る、という定説があります。例えば「あの人は殴るんだよ」と具体的な行動を伝えるよりも、「あの人って嫌な人なんだよ」と、より抽象的な形容詞を使って伝えられた方が、「あの人」に対する固定観念を抱きやすくなるんです。そこで卒論では、形容詞や動詞を抽象度という観点で分類することを試みました。
このテーマを選んだのは、同じ伝えるにしても、ニュートラルに伝えられた方がいいという考えが根底にあります。人は不満や意見など、言いたいことは言わないと発散できないので、それを止めるのはよくないと思うんです。でも、それらが悪口として伝わってしまうと、社会がギスギスしてしまう。それが心理学の方法論を使って解消できないかなあ、と。心理学はともすると研究に終始しているようにも思われがちですが、根本的には自分や他人とどう関わるか、という解決法を見出すもの。その考えは留学先で学んでより深まった気がします。

キモチのわかる日本語教師へ

心理学と英語をより深く学んだ経験を、これから何に活かしますか?

ティーチングアシスタントの経験が本当によかったので、今後は日本語教師を目指して、日本語教授法を勉強する予定です。
今も明学で、留学生向け日本語講座のティーチングアシスタントをしていて、国内で進学する選択もあったのですが、第一志望はニューヨーク州の大学院への進学ですね。実はホープの日本語クラスの先生が同校の卒業生で、留学中にご紹介いただき、ニューヨークにいる教授を訪れたら、とてもよくしてくださって。日本語教授法のプログラムが魅力的なこともあり、さらにここに行きたいという想いが高まりましたね。
決まった場合は3年間、6月から8月までの夏季講座への参加となるため、残りの時間は他の学校で教育心理学を専攻しようかと思っています。心理学は目的に直接関係ないことも多いですが、活かそうと思えばあらゆるジャンルに活かせますからね。これからも勉強は続けていくつもりです。