『心に刻む』とは・・・
1995年の6月10日、明治学院キャンパスの教会で中山弘正学院長(当時)が、この「明治学院の戦争責任・戦後責任の告白」を表明した。キリスト教主義に基づく学院が「侵略戦争に協力したという罪」を、まず神に、同時に「朝鮮・中国を始め諸外国の人々の前に謝罪」したのである。「戦争責任」について日本全体が明確な態度をとれないでいるなかで、この「告白」は、一学校法人のものとはいえ歴史的な意義をもつものといえよう。
第二次世界大戦終了(日本の敗戦)50周年にあたるこの年、学院は戦争中何をし、何をしてこなかったかを検証し「心に刻む」ために、「明治学院21世紀フォーラム敗戦50年事業委員会」を組織した。委員たちが戦前・戦中の『明治学院時報』や教員と生徒の文芸誌『白金の丘』などを調べ、韓国や台湾に当時の留学生を尋ねその学院生活などを伺った。
具体的な企画・行事としては、教会での学院長「告白」を中心とした礼拝、シンポジウム「戦争と明治学院」、一斉講義「戦争を考える」(61教員、71授業)、パネル展「戦争と平和」などを実施し、ブックレッド『心に刻む 敗戦50年・明治学院の自己検証』を発行した。「事業委員会」が大学各学部教員のみならず、高校、中学の教員、さらには同窓会役員などによって構成されていたことも特筆してよいであろう。
「告白」は学院長の心からなる思いであると同時に、学院長が書かれた草稿を委員会で何回も討議し、それにもとづいて学院長が推敲を重ねたものであることも記しておく価値があるだろう。
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