ABOUT USPRIMEについて

研究所の目指すもの

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 PRIMEは、「世界平和実現の条件を研究し、学内外の平和研究者、NGO・平和運動関係者と学際的交流を行うこと」を目的として設立されました。高原・前所長が指摘する(下記)ように、「平和」の対極概念は「暴力」です。人間の尊厳を脅かす暴力を最小化するための営みを、PRIMEは連綿と積み重ねてきました。人権・自由が激しく弾圧され、侵略行為が公然と手掛けられる現下の状況を前に、私たちは、私たちがなし得ることをさらに追究していかなくてはなりません。

 PRIMEにとって重要なテーマであり続けているのは、核にかかる問題です。軍事・平和両様の利用において酸鼻を極める惨禍に見舞われた国に所在するPRIMEであればこそ、この問題には格別の重みをおいて研究活動を継続していきたいと考えています。

 加えて、平和運動、とりわけ現代的形態の抵抗権にかかわる研究も推進できればという思いでいます。世界各地に棲まう無数の民衆が、自由を揺るがす底暗い力学に全霊をかけてあらがう行動に従事しています。日本にあっても、基本的人権を脅かす執拗な暴力にみずからの良心を賭して抗し続ける人たちがいます。底方なき蛮性と対峙する市民的抵抗の実相を知り、その理論的彫琢に向けた研究活動を深められないものかと想を連ねているところです。世界の実情に鑑み、難民の保護と平和との関わりについても学術的・実務的な観点から理解を深めていきたいと考えてもいます。

 高原・前所長の任期が重なるほどに幅員が広がってきた活動の一つが平和教育です。「現代平和研究」の授業、Peace Studies Summer Program、WILL2LIVE Cinema(難民映画祭)、Café du PRIMEなど、学生に働きかける回路が幾重にも切り拓かれてきました。安心・安全・衛生・清潔といった価値がことのほか強調される時代の中で、人間存在の社会的・政治的次元の大切さを思い起こさせる平和教育の重要性がますます大きなものになっていることは改めて確認するまでもありません。

 不透明な日々が続く中にあって、私たちは、自らの方向感覚をいっそう研ぎ澄ませていく必要に迫られています。社会に生きる人々とつながり、国境を超えた研究ネットワークを強めていくこと。そして、必要に応じ、異論や議論を怯むことなく提起すること。PRIMEが孜孜として追求してきたそうした姿勢が、閉塞いざなう社会の中で、その重みをいや増しているように思えてなりません。歴史的視座をもって同時代の課題と切り結ぶ誠実な歩みを、さらに押し進めていきたいと念じています。

 

2022年度 所長 阿部 浩己


研究所の目指すもの

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 2011年3 月11 日の東日本大震災、とりわけ福島第一原子力発電所の爆発は、今や核兵器の廃絶だけでなく、核エネルギーに頼る私たちの生活をも問い直すべきことを教えてくれました。人類の将来を憂え、生涯、核エネルギーに反対し続けた豊田利幸PRIME 初代所長の遺志を、私たちは受け継ぎます。

 平和の対極概念は暴力です。一人一人の「いのち」を脅かす暴力を最小化していくために私たちにできることは何でしょうか。PRIME は、平和を脅かす諸要因を様々な角度から分析・研究し、その成果を広くキャンパス内外に発信することを目指しています。21世紀を戦争のない持続可能な地球環境をつくる時代へと転換するために、平和研究ができることを、私たちは問い続けます。

 

2014~2021年度 所長 高原 孝生


研究所の目指すもの

2013年度所長 勝俣 誠

 21世紀は、2001年9月11日の米国での同時多発テロ事件、それに連なるアフガニスタン、イラクでの戦争、2011年の3月11日の東日本大震災とともに生じた福島第一原子力発電所事故と、いずれも国際平和と万人の豊かさを約束する新世紀の幕開けとはなりませんでした。

 それどころか、欧米日に繰り返される金融危機、大量の失業、改善の兆しが見れない地球温暖化、核兵器の拡散はグローバル化する経済と社会を支える資本主義の将来を案じさせています。

 私たちはどこに行くのでしょう。私たちはどんな地球を来たるべき世代に残せるのでしょうか。

 そして、そもそも私たちはどんな世界に住みたいのでしょうか。

 私たち国際平和研究所は創設されてから30年が経ちます。冷戦期には核戦争をどう人類は回避できるかは、PRIMEの1990年代の所長の方々の平和研究の大きな課題でした。そして、ポスト冷戦期ではグローバル化する経済下で顕在化する格差、差別の実態や社会の軍事化を分析し、「人間の安全」を回復する平和学も優先的課題となりました。

 こうしたPRIMEの成果を踏まえて、21世紀の暴力のトポスを各所員の専門性を活用し、明らかにし、「より人間的な世界」を実現する条件を探ることが私たちの使命と考えます。

 

2012~2013年度 所長 勝俣 誠