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横浜図書館改修の記録(2012-2015)

<はじめに>

画像:改修中の図書館サービスMAP

現在、大学では“学生が主体的に課題解決に取り組む能動的学修(アクティブ・ラーニング)の促進”が求められており、これに対応するため、本学でも2012年から横浜図書館の環境整備に段階的に着手し、2015年3月にリニューアルオープンしました。 このリニューアルにより、本学のめざす3つの‘ゴガク’(語学・互学・吾学)の実現のため「明学スタイル」の新しい図書館に生まれ変わりました。工事期間中も変化する状況にその都度対応しながら、学生が互いに刺激しあい成長できる図書館になるよう、検討を重ねました。 本稿は、2012年から2015年にかけて実施した横浜図書館改修の記録です。

1. 改修までの経緯

横浜図書館は、横浜キャンパス開校の1985年からこれまでの30年のあいだ、大学の教育と研究をサポートしてきました。2012年には学生支援強化と環境に配慮したキャンパスづくりをめざした「横浜キャンパス向上計画」がはじまり、自律型エネルギーシステムの構築や、学生の憩いの場としてのクララ・ラウンジ建設などと並び、学習環境の変化に対応する図書館の改修が計画されました。
図書館では「学生の主体的な学びを活性化する空間づくり」を柱にした、具体的な改修プランの検討を始めました。

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2. 新図書館でめざしたこと

わたしたちは、自学自習しやすい環境を整備し、誰もが気軽に足を運びたくなる図書館とするだけでなく、学生が次に進む道をさがし、見つけ出せる“場所”に生まれ変わるためにはどうすればよいだろうかと議論を重ね、めざす図書館のイメージを言葉にしていき共有しました。
まずは、どのような空間づくりをめざすか、目に見えないものを言葉にしていく作業から始まりました。

   そこに居るだけで学びの原動力となる好奇心や探究心を刺激し、自ずと意欲やモチベーションが向上するような空間。そのために、扉を開けたときに別世界に足を踏み入れたかのような独創性を重視する。また「見る」「見られる」ことにより、学生同士が相互刺激を受け、「学びの伝播」が生まれるよう、空間の開放性、透明性を高めて可視化する。大学の学びの象徴としての蔵書の魅力を強調し、書架はスタイリッシュに重厚感を醸し出し、「本の森」の「ワクワク」感、迷いながらたどり着く過程で思いがけない本との出合いが生まれるデザインとする。

それから、大学図書館に求められる役割の変化に対応するために、リノベーションで重視する要素を考えました。

   学習の質の違いで学生自身が適切な場所を選べるように「アクティブ」「サイレント」というゾーニングを明確にする。とくにアクティブエリアでは、これからの学びの変化に対応できるように施設・資料・人をつなげるようデザインし、サポートを気軽に受けながら学生が館内を自由に回遊する姿をイメージさせる。またICT環境では最先端の機能と洗練さと遊び心を併せ持ち、ほかにはない明学スタイルを表現する。さらに学習に幅と奥行きを与える様々な仕掛け、たとえば参加型書架、展示による発表、ポスターセッションなどのイベントや、ITカウンター、学習相談デスクなど新たなサポートの展開をめざす。

そしてこのイメージを6つのキーワードで表現し、スタートしました。

新図書館コンセプトの検討にあたって、同志社大学良心館ラーニング・コモンズ様、武蔵野美術大学図書館様、京都産業大学雄飛館ラーニングコモンズ様、慶應義塾大学湘南藤沢メディアセンター様など国内の先進的な取り組みをしている多くの大学を見学させていただきました。また、私立大学図書館協会の海外集合研修に参加し、アメリカや韓国の大学図書館の取り組みも参考にさせていただきました。お忙しいなか、丁寧なご説明を賜り、あらためてお礼申し上げます。

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3. 改修工事の概要

図書館改修は2段階で実施しました。

■第1段階:2013年8月
1Fブラウジングコーナー什器入れ替え、名称変更

ブラウジングコーナーは入口すぐのラウンジで、新聞やグラフ誌をソファに座りながらゆったりと閲覧できる空間として利用してきました。2014年の改修工事に先立ちこの場所をアクティブエリアと位置付け、「学びの可視化」を実現するため、軽やかな動きを感じさせる丸テーブルと椅子に入れ替え、空間名称を「りぶら(Library Lounge)」と改称しました。教養教育センターが「Salon de りぶら」と名付けた語学サロンをこの場所で開催したことで、徐々に会話や軽飲食ができる憩いの場、語らいの場としての機能や名称が定着していきました。

■第2段階:2014年8月~2015年3月
1F、2Fの全面リニューアル

<期間>
2014年6月~7月:仮設図書館(プレハブ棟)建設
2014年8月4日~8月20日:仮設図書館(プレハブ棟、D館、コモンズ514)への引っ越し
2014年8月20日~2015年1月末:1F、2F躯体工事
2015年2月~3月:什器・ICT機器・蔵書搬入、設置

コンセプトを形にし、建物に活力を与える空間デザインは、プロポーザル方式により業者を選定しました。その後選定業者の提案をもとに、具体的なレイアウトや運用について検討を重ねました。また、工事期間中も図書館内での検討や所管部署との定例会、業者との打合せなどを続け、さらに仕様の詳細を詰めていくとともに、家具や備品の選定を進めていきました。
改修工事は夏のオープンキャンパス終了後の8月4日より蔵書や什器などの移設がスタートし、躯体工事を翌年1月末まで、書架や躯体サインの設置、什器や蔵書の搬入を3月22日まで行いました。躯体工事は1Fおよび2Fが対象で、建て替えはしませんでしたが、壁の撤去や内装を全面的に改修することとなり、大がかりな工事となりました。

<各階工事の概要>
1. 1F
・空調を更新
・図書館入口ドアを自動ドアに変更
・入退館ゲートの位置を入口付近に移動し、セキュリティを強化
・書架エリアからアクティブエリアに変更しラーニングコモンズを導入
・トイレや廊下の照明は人感センサーを導入し、省エネルギーに配慮
・りぶら内の段差は床上げして全体をフラットに仕上げ、空調は吹き上げ型を採用
・図書館入口前の地面の段差を解消し、バリアフリーに配慮

2. 2F
・空調を更新
・建物東側の3部屋(グループ学習室、情報検索スタディルーム、レクチュアルーム)は壁を取り払い一部屋にまとめ、アクティブエリアとした。また通路側の壁をガラス張りにし、「学びの可視化」を実現
・第二閲覧室は書架エリアに変更し、思いがけない本との出合いを大切にしてほしいという願いを込め、「ロの字型」 の書架を導入し本の森を実現
・教員・研究者用閲覧室を学生用のサイレントエリアとし、キャレル席と1人掛けソファを設置

3. B1F、B2F
躯体工事を伴わない変更を実施しました。
・B1第三閲覧室には雑誌用書架とキャレル席を設置
・照明をLEDに更新
・据え置き型空調機、除湿器を更新

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4. 改修中の図書館サービス

画像:改修中の図書館サービスMAP

改修中の図書館サービスMAP

画像:プレハブ棟外観

プレハブ棟外観

画像:プレハブ棟内部

プレハブ棟内部

画像:D館内観

D館

画像:コモンズ514

コモンズ514

画像:請求された地下書庫の資料取り出し

請求された地下書庫の資料取り出し

画像:1Fイメージ図

1Fイメージ図

画像:2Fイメージ図

2Fイメージ図

画像:工事中は館内地下1階にて資料を一部保管

工事中は館内地下1階にて資料を一部保管

画像:新図書館で使用する什器の一部はA館にて保管

新図書館で使用する什器の一部はA館にて保管

<仮設図書館機能>
改修工事は2014年度秋学期全期間となるため、その間の図書館機能の維持と学習への影響を最小限に抑えるよう以下の方針を立てて計画しました。
・図書館機能をキャンパス全体に分散し、既存施設を活用する
・仮設図書館には学生の利用の多い資料を中心に移動計画を立てる

1.プレハブ棟
仮設サービスの中核として閲覧席、書架を配置。E館前「赤の広場」に新設。収容冊数約25,000冊、面積約250㎡、閲覧席32、平屋建て、冷暖房完備
機能:一般図書(コーナー本や文庫・新書含む)、DVD、サービスカウンター、OPAC検索用PC、DVD-ROM利用PC、DVD利用PC、利用者用コピー機1台、オンデマンドプリンタ1台、事務室エリア

2.D館
福利厚生棟の学生ラウンジに図書館のレファレンス機能を設けた。
収容冊数約7,500冊、面積約320㎡、閲覧席116
機能:禁帯出資料(参考図書、授業関連図書、新聞、雑誌)、 レファレンスカウンター、大学院生による学習なんでも相談デスク、貸出ノートPC30台、利用者用コピー機1台、オンデマンドプリンタ1台、大型モニタ1台

3.コモンズ514
当時学内で唯一ラーニングコモンズと語学学習専用PCが利用できるスペース。図書館のりぶら(アクティブエリア)、AVルーム(語学学習・AV資料の視聴)の代替施設として利用した。
機能:壁面ホワイトボード、可動式什器、ビデオデッキ、語学学習専用PC12台、オンデマンドプリンタ1台

4.1号館会議室2
事務室として転用した。
機能:事務機能、予約本受け取りカウンター(8月、2月、3月の移設期間のみ)

5.図書館地下書庫(工事対象外エリア)
貸出回数の多い約25,000冊の和書をプレハブ棟に移設し、残りは地下書庫で保管した。このエリアに配架されている図書に予約が入った場合、日に3回、スタッフが入庫し出納。工事の粉塵堆積による被害を最小限に抑えるため、全書架にビニールをかぶせた。

6.その他
閲覧席の確保のため、営業時間外のMGカフェ(学内のカフェテリア)を閲覧室として開放。また、試験期には教室を自習室として開放し学生の学習スペースとして席を確保した。


<改修中のみ実施したサービス>
1.地下書庫資料取り出しと自キャンパスでの図書予約
改修中は地下書庫の資料を1日に3回の工事中断の際にスタッフが出納できるようにしました。また、自キャンパスでの図書予約サービスを改修中のみの期間限定で実施し、学生が地下書庫の資料を予約できるように図書館システムの設定変更を実施しました。あらかじめ利用者が対象図書に予約を入れる必要があり、通常よりも提供に時間を要するため、早目に必要な資料を予約するよう広報しました。

2.AV資料持出し・館外視聴
AV資料は館内利用のみで貸出不可ですが、改修中はプレハブ棟で視聴できるPC台数が限られていたため、当日返却の条件で館外持ち出しを認めることとし、コモンズ514などで利用できるようにしました。

3.Webサイト特設ページの開設
「横浜図書館 改修のお知らせ」ページをWebサイト上に開設し、改修工事の進捗報告やサービスのご案内など、利用者への広報を展開しました。
横浜図書館改修のお知らせ

<仮設図書館への移設>
春学期終了後に約2週間で仮設図書館への移設作業を行い、大学一斉休暇終了後には学生がすぐに利用できるようスケジュール調整を行いました。移設作業は蔵書担当業者、什器・機器類担当業者の2業者と打合せを重ね、搬出手順を確認しました。

1.蔵書
地上1F・2F全面改修のため、以下の方針で計画を立てました。
・仮設図書館への移設:利用が多い資料を移設する
・地下書庫への移設:仮設図書館の書架に限りがあるため、移設できなかった資料は地下書庫へ移し、出納し提供する。
・学外倉庫預け:利用の少ない一部の資料は学外倉庫に預ける
・箱詰め保管:利用の少ない図書は箱詰めして館内に保管
・除籍:白金との重複資料の一部を除籍
※利用者には工事前に、秋学期中に必要となる図書をあらかじめ借り出しておくことを推奨した

a.プレハブ棟
これまで開架書架に配架していた一般和書約10万冊のうち、利用頻度が高い資料を選定。
・システムから抽出した貸出回数の多い資料
・「学習サポートコーナー」「高校生から大学生へ」などのコーナー置き資料
・文庫
・新書
・DVD
※貸出可能な資料を移設することからプレハブ棟に貸出カウンターを設置した。

b.D館
禁帯出資料を配架し、レファレンスカウンターと大学院生による学習なんでも相談デスクを設置した。
・参考図書 約2,500冊
・新聞 30紙
・授業関連図書 約300冊
・雑誌 200タイトル

2.什器・備品・機器類
工事の対象エリアにある什器・備品・機器類は躯体工事開始までに館外に出す必要があり、以下のように対応しました。
・館内にある1300点以上の什器や備品のリストを作成し、各物品の移設先を決定
・工事中図書館内に保管するものを選定
・上記以外のPCやプリンタは学内調整し、キャンパス内の宿泊施設「ブラウン館」の一角で保管(真夏は室内が高温になることから、日中は冷房を入れた)

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5. 新図書館オープンに向けた取組み

3月25日にオープニングセレモニーを行い、学院長、学長、副学長のテープカットにより横浜図書館の第二章がスタートしました。
新図書館では、新設したB1雑誌室のキャレル席や2Fのサイレントエリアのように従来の静かに読書や勉強できる空間に加え、1Fはアクティブラーニングに対応した環境を整備し、大型スクリーンへの無線投影やレクチャーなどができるようになりました。書架の形状や図書の配架場所にも気を配り、目的の資料にリーチしやすい配置にしています。また飲料・食品自販機の導入やカフェコーナーで勉強の合間に一息つくこともでき、滞在型の図書館へと変わりました。地下書庫も開架式となり、エレベーターを利用者に開放するなど、誰もが使いやすい図書館となりました。オープン前には図書館スタッフ・学生サポーターがワークショップ研修を行い、新図書館が目指す図書館像を共有しました。オープン後には新たな環境を活用した利用がされているかどうかなどの調査を実施し、運用方法の改善を継続的に検討しています。

画像:2Fブックスケープ

2Fブックスケープ

画像:2Fブックスケープ 図書配置図

2Fブックスケープ 図書配置図

画像:1Fりぶら雑誌架

1Fりぶら雑誌架

画像:2Fアクティブラボの可動式什器

2Fアクティブラボの可動式什器

1.資料配置
完成図面をもとに、どこに何を配置するかを検討しました。
新図書館館内マップは下記リンク参照(ガイドブック)
http://www.meijigakuin.ac.jp/library/howto/
Meigaku_LibraryGuideBook.pdf

a.2F
2Fブックスケープは和書を中心としたメイン書架です。従来型の一方向の書架配列ではなく「ロの字型書架」のため、連続性を持たせるような順番で資料を配架しています。日本十進分類法(NDC)で配架している蔵書の大分類ごとの蔵書全体に占める割合から割り付けを考えた結果、
A=0(総記)、1(哲学)、2(歴史)
B、C=3(社会科学)、
D=4(自然科学)、5(技術)、6(産業)、7(芸術)、8(言語)
E=9(文学)
としました(右図「2Fブックスケープ 図書配置図」参照)。
壁面の小型本用書架には従来通り文庫・新書を配架していますが、シリーズ分類を中止し、個々分類に変更することで分野ごとに必要な資料を目で見て探せるようにしました。2Fサイレントエリアには参考図書を配架しています。

b.1F
1Fはラーニングコモンズとなり、書架が少なく、連続していません。そこで横浜キャンパスは新入生全員が通うキャンパスであること、つまり「大学の入口」、「大学図書館利用の入口」としての役割を果たす必要がある点を重視して資料の配置を考えました。
・新入生が明治学院生としてアイデンティティーを確認できる「MGコーナー」
・「語学の明治学院」を意識した「語学書コーナー」
・レポートなど書き言葉が必要な学修に役立つよう日本語多読のための「高校生から大学生へ」
・大学での学習全般に役立つ「学習サポート」
・キャリアを幅広く考えられる「キャリア支援」
など、書架ごとの収容冊数を考え合わせコーナー資料を配置しています。また、アクティブエリアだからこそ「図書館」を感じさせる世界の名著、古典などを入口のメインホール高書架に配架することとしました。またマガジンスクエアには学習用の雑誌を配架しています。
りぶらには改修以前と同様新聞架を設置するとともに、改修前になかった「りぶら雑誌架」を新設し、学術雑誌ではなく、スポーツ、サブカルチャー、ファッション、PCなど学生の身近な雑誌を授業の合間に利用できるよう配架しました。

2.什器
躯体工事、書架工事、新ICT機器類などに費用をかけたため、家具・什器はなるべく学内に保管されていた家具を再利用しました。サイレントエリアには改修前の第二閲覧室などの机やキャレル、椅子、B1雑誌室には学内で使用していたキャレル、椅子を用いています。
新たなものとしては、アクティブラーニングがしやすい可動式什器をアクティブコモンズやアクティブラボに配置し、さまざまな学びのシーンを可能にする新たな家具(ダイナーソファなど)も導入しました。またホワイトボードは壁付けタイプ、可動式タイプなど大幅に数を増やしています。
個人利用向けには、カウンター席やベンチ席などを設置しています。

3.機器類
a.レクチャー用プロジェクタ
ワークショップエリアに6台のプロジェクタとホワイトボード兼スクリーンを設置しました。制御アプリケーション「コデマリ(codemari)」をタブレット端末にダウンロードし、リモコンのように無線で電源のon/offや音量設定、投影対象モニタの選択が可能になりました。授業内図書館サポート*等のレクチャーで使用しています。
*図書館利用法や文献検索方法について、図書館スタッフが授業の一コマを利用してレクチャーをするサービス

b.自由利用モニタ
貸出プロジェクタ(1台)やBIGPAD(1台)、ダイナーソファの小型モニタ(6台)やアクティブラボの中型モニタ(1台)は利用者自身のデバイスを予約なしで自由に投影できるように設置しています。

c.クリッカー
授業内図書館サポート時にはクリッカーを一人一台用意しています。質問に対する回答を、学生が配布されたクリッカーで選択するとスクリーンに結果が表示され、その場でフィードバックができ、講師と学生の双方向のやり取りを実現しています。

d.PCセルフ貸出機
利用者用PCは、デスクトップとノートを用意しています。デスクトップPCの数を減らす一方、ノートPCの数を元の10台から60台に増やし、PCセルフ貸出機を導入することでカウンターを経由することなく借りることができるようになりました。その後さらに70台程度まで台数を増やしています。貸出ノートPC台数の増加により、館内のみならずキャンパス内のあらゆる場所でPCを使用しながらの学習が可能です。

画像:BOOKコンシェルオススメくん

BOOKコンシェルオススメくん

e.BOOKコンシェル「オススメくん」
2FブックスケープにはBOOKコンシェル「オススメくん」を設置。図書に付いている図書館バーコードまたは商品バーコードをリーダー部分にかざすと、書誌情報や配架場所が確認できます。また、タッチ操作で関連図書やオススメ本が、所蔵がある場合には「所蔵あり」と表示されます。画面上の関連図書を選ぶと、さらにその詳細を見ることができ、1冊の図書から芋づる式に読みたい図書を探すことができます。本学図書館ではAmazonのレビューや関連本の表示と連携するようカスタマイズしています。

4.サービス計画
a.カウンター
1Fのサービスカウンター、レファレンスカウンターに加え、ゲート横にインフォメーションカウンターを新設。図書館入館前の最初の窓口で、コンシェルジュ役となっています。また、1Fアクティブコモンズの一角に学生から質問の多いPCやネットワーク環境について専門に担当するITカウンターを新設。機器類のトラブル対応や学内Wi-Fi接続方法などの案内を行っています。

b.学生サポーター
学生サポーターは、改修以前からバックヤード業務を中心に担っていましたが、それらに加え、「学生から学生への支援(ピアサポート)ができるチーム」に育成しました。現在は学生らしさを活かした企画展示や、「今日は何の日」企画、ITカウンターでの質問対応、新入生に向けた館内ツアーを担当するなどさまざまな業務を通してピアサポートに貢献しています。

5.スタッフ向けワークショップ
2015年2月~3月に3回、スタッフ向けワークショップを開催。図書館スタッフがどのような意識でどのような業務に取り組んでいけばよいか、共通理解を深めるためのディスカッションを重ねました。新図書館ですべきこと・やりたいこと、簡単にできること・時間がかかることの2つの軸上で項目をマッピングすることで取り組みに優先順位をつけ、意識を共有しました。

画像:学生サポーター向けワークショップ

学生サポーター向けワークショップ

画像:横浜図書館ガイドブック

横浜図書館ガイドブック

画像:オープニングセレモニーテープカット

小暮学院長、鵜殿学長、吉井副学長による
オープニングセレモニーテープカット

画像:学生サポーターもテープカット!

学生サポーターもテープカット!

画像:

学生サポーターが出席者に館内を
案内しました

6.学生サポーター向けワークショップ
「日本一の図書館になるためには」をテーマにブレーンストーミングを行い、自分たちはどのような活動をしていくべきかを考えました。オープニングセレモニーでは来賓の方への館内ツアーを担当し、学生サポーターとしての新たな一歩を踏み出しました。

7.ガイドブック制作
従来の図書館機能に加えて、アクティブラーニング機能を有した図書館の利活用を具体的に伝えるため制作しました。利用者には自由に手にとってもらい、各エリアのコンセプトや利用方法を確認してもらえるよう館内各所に配置しています。また、このパンフレットを手に館内を歩き回り、自分の居場所を見つけてほしいという願いも込められています。パンフレットに登場するキャラクターイラスト(OJISANと羊など)は館内の掲示などにも活用しており、2015年11月の図書館総合展のキャラクターグランプリで協賛社賞を受賞しました。また、キャンパス全体でアクティブラーニング導入検討が進んでおり、図書館を含む大学のリソースの利用方法案内などを目的として発行している『あくてぃBOOK』にOJISANの兄弟が登場するなど、キャンパスを代表するアイコンとなっています(右図「横浜図書館ガイドブック」クリックでご覧いただけます)。

<オープニングセレモニー>
2015年3月23日に仮オープン、3月25日にグランドオープンし、同日オープニングセレモニーを執り行いました。学院関係者、工事関係者等およそ100名にご参加いただき、テープカットや、学生サポーターによる館内案内(見学会)、茶話会を行いました。

<運用を軌道に乗せるための取組み>
1.教員向け見学会
2015年5月18日、25日の2回開催。アクティブコモンズの設備・ツールを授業の事前事後学習でどのように活用できるかを紹介し、教員に授業展開の参考にしていただくため企画しました。「ある講義で課題が出され、次回の授業で調べた内容について発表を行う」という想定のもと、ワークショップ形式で学生サポーターがアクティブコモンズで事前事後学習を行う様子をロールプレイし、新図書館の利活用方法を実感してもらえるよう構成しました。ロールプレイでは、ブレーンストーミング、資料やPCを活用した検索、パワーポイントでのプレゼン資料作成、発表(ワークショップエリアを講義室と仮定してプレゼンテーションを実施)、事後学習(アクティブコモンズの各エリアを活用)の一連の流れを実演しました。

2.定性調査
2015年6月24日、25日と11月12日に以下3つの調査を行い、利用状況を把握し日々の運用改善につなげました。調査を行うと、想定と違う使い方がされている場所もありました。調査員として学生サポーターも協力しました。

a.定点観測調査
グループテーブル、ダイナーソファ、スタディエリア、りぶらでの学生の作業内容などを把握する調査。
b.動態調査
エントランスドアを通過した来館者およびメイン階段より2Fに上がった来館者が、どの空間を初めに使用するかを把握するため調査。利用者の動きを館内図面にトレースするように記録しました。
c.エスノグラフィー調査
日々の入館者統計などの定量調査、および前述a・bの調査では得られない利用状況について把握するため実施。1Fおよび2F入館後着席して作業している利用者を10-15分程度観測し、特徴あるポイントなどを記録しました。

<おわりに>
2015年度の入館者は例年に比べ約1.5倍増となるなど、改修により利用目的が広がったことによる効果が出ています。学生たちは日々、私たち図書館スタッフが思いもよらなかったスタイルで図書館を利活用しており、驚きや発見の毎日です。このような新しい空間になったからこそ、利用方法や利用する学生の幅も広がり、さまざまな可能性を秘めた場として学内でも認知が進んできました。今後も「学びの伝播」が絶え間なく生まれる空間を目指し、教員、職員、学生との連携を進め、イベント・企画などの仕掛けづくりを考えていきます。そして、社会の動き、大学の動きに柔軟に対応し、進化していく「明学スタイル」の図書館づくりのため、図書館スタッフ一同日々取り組んでまいります。



※文部科学省平成27年度「教育の質的転換を図る多様な学修スペースの整備に関する事例」に横浜図書館が取り上げられました。
http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/detail/__icsFiles/afieldfile/2016/07/04/1373701_09.pdf

「次期国立大学法人等施設整備5か年計画策定に向けた中間報告」で示された大学教育の質的転換を図ることを目的として整備された多様な学修スペース(例:ラーニング・コモンズやアクティブ・ラーニング・スペース等)について調査し、まとめたものです。 先進的な取り組みとして取り上げていただいたことに感謝申し上げます。

本報告書は、文部科学省ホームページ上で公開されています。
http://www.mext.go.jp/a_menu/shisetu/kokuritu/1319787.htm
(教育 > 学校等の施設設備 > 国立大学法人等の施設整備 > 調査研究) 

横浜図書館の掲載ページは以下の通りです。
p.19-20, p.38, p.39, p.44, p.79-82
※p.19-20は p.79-82を圧縮した文章となっています。