心理学部准教授
根本 淳子 (Junko Nemoto)
今、人生100年時代を迎え、大人になっても学び続けるスキルを持つことが求められています。さらに生成AIの急速な普及によって、日々の生活、仕事の進め方、そして学び方などさまざまな点で何かしらの変化は避けられない状況にあります。
学習の分野に、アンラーン(unlearn:学習内容を忘れ去る、古い習慣を捨てる)という考え方があります。この考えを未来の教育づくりの視点に取り入れることで、変化の激しい社会での学びのデザインの視点が広がるのではないかという問いを持ち、本研究に取り組んでいます。学習活動の範囲や方法も多様性が求められる中で、教育をつくる側も既存の確立された考えや知識と距離をとり、新しいものを構築することが必要と考えています。アンラーンでは、新しいスキルセットを習得して既存のものと入れ替える学習活動が中心となりますが、今回の研究課題では、学んで得たものを単に壊すのではなく、新たな形に紡ぎなおすことをも含めようとしています。これが本研究での「学びほぐし」です。
現在は私自身がアンラーンの場を経験しながら、既存の学習(教育)活動と学びほぐしと呼ぶ柔軟体操のような活動を組み合わせることのバランスを試案中です。
図:学びほぐしを取り入れた活動の流れ
経済学部准教授
林 祥平 (Shohei Hayashi)
コロナ禍を機に浸透したリモートワークは、転職先選びの指標に使う人がいるほど、現在受け入れられています。この働き方は従業員そして会社にとって手放しに歓迎できるものなのでしょうか。
リモートワークは、通勤時間を削減でき、ワークライフバランスを充実させる上で有用だと考えられています。しかし、週の大半をリモートワークするような働き方だと、同僚や上司からの直接のサポートを受けることができず、仕事でストレスを溜め込みやすいことも分かっています。また、物理的に離れた場所で働いているので、どうしてもメールやZoom、Slackなどに頼らざるを得ません。そういったツールからメッセージを受け取ると、たとえ終業後でも「チェックしなくちゃ」「返事をしなくちゃ」という衝動に駆られ、プライベートの時間を犠牲にすることが報告されています。このように単に従業員に職場外で働くことを認めるだけではリモートワークの恩恵を与えられるか分かりません。ですので、上司や会社が支援に乗り出す必要があります。
では、どうしたら直接のやり取りが少ない従業員の支援ができるようになるのでしょうか。この問いにこれから答えを出していきたいと思います。
図:職場風土とリモートワークの組み合わせが仕事態度に与える影響
教養教育センター准教授
鈴木 陽子 (Yoko Suzuki)
子どもはどのようにして言語を習得していくのでしょうか。私の研究では、子どもと養育者の自然会話が収録されているデータベースを使用して、子どもの語彙や文法に関する知識がどのように発達していくのかを観察し、その習得プロセスを探求しています。
例えば、日本語には「あく」と「あける」のように形は似ていますが、同じ事態を表すことができる自動詞と他動詞のペアがあります。これらの動詞について、養育者の言語使用を観察してみると、自動詞は「あいている」などのテイル形や「あいた」などのタ形で、他動詞は「あけて」などのテ形で養育者が使用する頻度が高くなっていました。このような動詞形における使用頻度の特徴は、子どもの言語使用でも一致しており、子どもは自動詞文と他動詞文の形と意味の違いを養育者から与えられるインプットから学習していることが示唆されます。また、養育者によって高頻度で使用される動詞形は、子どもがその動詞を使用し始める初期に用いる動詞形と対応していました。このことから、子どもが初期に習得する動詞形が語彙と文法の発達プロセスを理解する上で重要な働きをしていると考えられ、そのプロセスを明らかにすることを目指して研究を進めています。
表:構文の習得プロセス
氏名 | 職 | 配分総額(直接経費) | 研究種目 | 研究課題名 |
---|---|---|---|---|
青野 純子 | 教授 | 3,500,000 | 基盤研究(C) | 17世紀オランダ美術の受容研究-18世紀末の複製素描の考察を中心に- |
古村 敏明 | 教授 | 2,800,000 | 基盤研究(C) | アメリカ詩とCovid-19パンデミック:追悼、倫理、インターセクショナリティ |
貞廣 真紀 | 教授 | 2,300,000 | 基盤研究(C) | アメリカ古典文学史の形成(1900-1950)における翻訳的想像力 |
杉田 由仁 | 教授 | 3,200,000 | 基盤研究(C) | AIを活用した英文ライティング自動評価採点システムの開発 |
中西 公子 | 教授 | 3,400,000 | 基盤研究(C) | 同等比較・類似構文が示唆する形容詞・動詞・名詞の語彙的意味とその普遍性 |
平岩 健 | 教授 | 3,600,000 | 基盤研究(C) | 北琉球沖縄語と日本語の不定語の統語・意味・音韻メカニズムの実証的・理論的研究 |
髙木 麻紀子 | 准教授 | 2,600,000 | 基盤研究(C) | 15世紀フランス・ヴァロワ王家のタピスリーに関する総合的研究 |
星野 真澄 | 講師 | 3,500,000 | 基盤研究(C) | 初等中等教育の教育環境整備の制度的・財政的研究:日米比較を中心に |
平澤 剛 | 研究員 | 3,600,000 | 基盤研究(C) | 日本におけるエクスパンデッド・シネマ、インターメディアを対象とした領域横断的研究 |
氏名 | 職 | 配分総額(直接経費) | 研究種目 | 研究課題名 |
---|---|---|---|---|
大石 尊之 | 教授 | 3,500,000 | 基盤研究(C) | ブロックチェーンの法と経済学:スマートコントラクトの財産権分析 |
大村 真樹子 | 教授 | 3,600,000 | 基盤研究(C) | 子どもの健康格差及び社会経済格差の連鎖改善に対する乳幼児保育制度の効果の検証 |
岡崎 哲二 | 教授 | 14,100,000 | 基盤研究(B) | イノベーションの生成と波及のメカニズム:長期マイクロデータに基づく実証研究 |
北浦 貴士 | 教授 | 2,400,000 | 基盤研究(C) | 1930年代日本の社債発行市場改革が減価償却会計に与えた影響 |
児玉 直美 | 教授 | 1,400,000 | 基盤研究(B) | 経済成長と経営者属性 |
小林 正人 | 教授 | 2,700,000 | 基盤研究(C) | 相関反転可能で非対称なsplit-normalコピュラと金融危機・バブルの分析 |
中村 友哉 | 教授 | 3,200,000 | 基盤研究(C) | 不確実性下の戦略的状況における先行者利益と社会厚生に関する研究 |
室 和伸 | 教授 | 3,700,000 | 基盤研究(C) | 信用市場の不完全性と少子高齢化のマクロ経済分析 |
赤松 直樹 | 准教授 | 3,600,000 | 若手研究 | 消費者逐次選択の長期的な影響に関する研究 |
岡本 実哲 | 准教授 | 3,300,000 | 若手研究 | デジタル経済圏における制度設計:デジタルアカウントと情報の扱い方 |
木川 大輔 | 准教授 | 3,600,000 | 基盤研究(C) | 既存プラットフォーム企業が存在する製品・サービス市場への参入戦略に関する研究 |
田中 鉄二 | 准教授 | 9,200,000 | 基盤研究(B) | 農作物の早期生産予測情報に基づく市場・農業生産へのマクロ・ミクロ的影響 |
土屋 拓也 | 准教授 | 2,200,000 | 基盤研究(C) | 曲がった時空中における偏微分方程式の爆発解に関する研究 |
林 祥平 | 准教授 | 3,500,000 | 基盤研究(C) | リモートワークにおける仕事支援の研究 |
中野 暁 | 講師 | 3,600,000 | 若手研究 | オムニチャネル統合における一貫性・非一貫性が顧客体験や購買行動に及ぼす影響 |
氏名 | 職 | 配分総額(直接経費) | 研究種目 | 研究課題名 |
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明石 留美子 | 教授 | 3,000,000 | 基盤研究(C) | 外国人・外国にルーツをもつ人々への日本型社会福祉支援の構築に向けて |
石原 俊 | 教授 | 3,500,000 | 基盤研究(C) | 有事避難のリアリティと戦時疎開の記憶:沖縄県先島諸島を中心とする歴史社会学的研究 |
加藤 秀一 | 教授 | 2,500,000 | 基盤研究(C) | ゲノム編集等の遺伝子技術をめぐる〈人々の形而上学〉の解明:非同一性問題を中心に |
柘植 あづみ | 教授 | 3,200,000 | 基盤研究(C) | 配偶子提供を伴う生殖補助技術の拡大要因の分析 |
元森 絵里子 | 教授 | 3,200,000 | 基盤研究(C) | 子どもの能動性の社会学的再考:教育・福祉・まちづくりの言説史と事例研究から |
大久保 遼 | 准教授 | 3,100,000 | 基盤研究(C) | 社会学史における元良勇次郎:総合的な「社会の学」の構想 |
金 圓景 | 准教授 | 3,700,000 | 基盤研究(C) | 認知症のある人の意思決定支援のためのソーシャルワーク実践モデルの構築 |
関水 徹平 | 准教授 | 3,600,000 | 基盤研究(C) | 社会的孤立・就労困難・経済的困窮が複合する事例への支援―ひきこもり4カ国調査から |
仲 修平 | 准教授 | 3,500,000 | 基盤研究(C) | 自営業・フリーランスの働き方とライフコースに関する社会学的研究 |
平澤 恵美 | 准教授 | 3,400,000 | 基盤研究(C) | 精神障害のある人を対象としたシームレスケアモデルの開発に関する研究 |
宮﨑 理 | 准教授 | 3,500,000 | 基盤研究(C) | 歴史的・文化的トラウマ論が日本での反抑圧ソーシャルワーク推進にもたらす知見の探索 |
北川 清一 | 研究員 | 1,300,000 | 基盤研究(B) | わが国における制度化未満対応としての家族ソーシャルワーク展開可能性を探る事例研究 |
古波藏 契 | 研究員 | 2,600,000 | 若手研究 | 「沖縄的紐帯」の歴史学的研究:米国統治下沖縄における人のつながりの形成と変容 |
武川 正吾 | 研究員 | 3,600,000 | 基盤研究(C) | 21世紀第1四半期の日本における福祉意識の構造と変容 |
洪 賢秀 | 研究員 | 3,600,000 | 基盤研究(C) | 東アジアにおける遺伝情報の保護と遺伝差別に関する実態把握と諸課題 |
氏名 | 職 | 配分総額(直接経費) | 研究種目 | 研究課題名 |
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赤渕 芳宏 | 准教授 | 2,100,000 | 基盤研究(C) | 予防原則の実体的統制―アメリカ環境法における「利用可能な最善の科学」論に注目して |
植田 達 | 准教授 | 3,100,000 | 基盤研究(C) | 雇用終了後の競業避止義務の実現手段に関する比較法的展開 |
小野木 尚 | 准教授 | 1,900,000 | 若手研究 | 擬似外国会社規制の理論的研究と立法論の展開 |
久保 浩樹 | 准教授 | 3,300,000 | 基盤研究(C) | イデオロギー的分極化は一次元か?分極化と争点の多次元性をめぐる多国間比較研究 |
溝渕 正季 | 准教授 | 10,200,000 | 基盤研究(B) | 現代外交における軍事力の効用:通時的・共時的アプローチによる中範囲理論の構築 |
吉田 豊 | 講師 | 1,900,000 | 基盤研究(C) | 超対称局所化に基づくゲージ理論の幾何学的性質及び可積分構造の研究 |
氏名 | 職 | 配分総額(直接経費) | 研究種目 | 研究課題名 |
---|---|---|---|---|
久保田 浩 | 教授 | 3,400,000 | 基盤研究(C) | 近代ドイツの宗教的ユートピア/ディストピアに見る宗教的記憶と自他表象 |
坂本 隆幸 | 教授 | 2,800,000 | 基盤研究(C) | 先進諸国のシングルマザー、非正規労働者、雇用と所得の格差ー社会投資政策効果の検証 |
浪岡 新太郎 | 教授 | 3,000,000 | 基盤研究(C) | フランスにおけるムスリムの市民権行使の条件:リベラルな市民権による排除と包摂 |
新多 了 | 教授 | 3,500,000 | 基盤研究(C) | ライティング発達がスピーキング力に与える影響:複雑系理論に基づくアプローチ |
BAE JUNSUB | 講師 | 3,400,000 | 若手研究 | 後発福祉国家韓国の大規模な経済危機への政策対応の特徴 |
江川 純一 | 研究員 | 2,800,000 | 基盤研究(C) | 西洋近代における一神教/多神教/最高存在概念の再検討 |
重松 尚 | 研究員 | 3,600,000 | 特別研究員奨励費 | リトアニア「人民民主主義」における非共産主義者に関する研究 |
氏名 | 職 | 配分総額(直接経費) | 研究種目 | 研究課題名 |
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海津 亜希子 | 教授 | 3,600,000 | 基盤研究(C) | 効果的実践および継続可能性を高める多層指導モデルMIM実装の地域特性による類型化 |
川端 一光 | 教授 | 2,100,000 | 基盤研究(C) | 項目反応理論で推定されたテストスコアの標準誤差と実用性の評価 |
金城 光 | 教授 | 3,200,000 | 基盤研究(C) | 高齢者における否定文の理解力と関連要因の解明:質問紙を活用した眼球運動測定実験 |
水戸 博道 | 教授 | 2,400,000 | 基盤研究(C) | 校内合唱コンクールの生徒のウェルビーイングに与える効果について |
宮本 聡介 | 教授 | 3,200,000 | 基盤研究(C) | 潜在意識は社会性を理解できるか -閾下ストーリー刺激を用いた検証- |
森本 浩志 | 教授 | 3,100,000 | 基盤研究(C) | 認知症の人の家族介護者を対象とした集団CBT・ACTプログラムの効果 |
足立 匡基 | 准教授 | 6,100,000 | 基盤研究(B) | 大規模前向きコホートデータを活用した科学的根拠に基づく子どもの自殺予防体制の構築 |
鞍馬 裕美 | 准教授 | 2,300,000 | 基盤研究(C) | 教員の復職支援に関する研究-精神疾患による病気休職者に焦点化して- |
佐藤 公 | 准教授 | 2,600,000 | 基盤研究(C) | 対外認識と自国認識の一体的な育成をはかる歴史教育実践の日独比較研究 |
根本 淳子 | 准教授 | 3,200,000 | 基盤研究(C) | 学習設計のスキルを深めるための「学びほぐし」を取り入れた活動の提案 |
岡田 悠佑 | 助教 | 1,000,000 | 基盤研究(C) | レガシーとしてのオリンピック・パラリンピック教育の可能性 |
清水 美紀 | 助教 | 2,400,000 | 若手研究 | 幼児教育の公共性に関する理論的・実証的研究―「無償化」をめぐる政治過程の分析から |
氏名 | 職 | 配分総額(直接経費) | 研究種目 | 研究課題名 |
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穴田 啓晃 | 教授 | 3,500,000 | 基盤研究(C) | 匿名性と追跡可能性を両立する暗号技術の開発 |
今井 浩 | 教授 | 34,300,000 | 基盤研究(A) | 量子アルゴリズム・計算量・浅層回路と量子コンピュータ実機実験による量子優位性研究 |
太田 和俊 | 教授 | 3,000,000 | 基盤研究(C) | グラフのゼータ関数を用いたゲージ理論の研究 |
亀田 達也 | 教授 | 35,700,000 | 基盤研究(A) | 集合的意思決定のメカニズム:計算モデルによる集合知発生条件の解明 |
宮寺 隆之 | 教授 | 3,500,000 | 基盤研究(C) | 量子論における同時操作不可能性の構造論的研究 |
加堂 大輔 | 准教授 | 3,600,000 | 基盤研究(B) | テンソルネットワーク法が解き明かす場と時空のダイナミクス |
佐々木 博昭 | 准教授 | 10,100,000 | 基盤研究(B) | 幾何学的データ解析手法の開発と位相的データ解析への展開 |
川島 誠 | 講師 | 2,800,000 | 若手研究 | G関数のHermite-Pade近似を用いた周期予想へのアプローチ |
氏名 | 職 | 配分総額(直接経費) | 研究種目 | 研究課題名 |
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猪瀬 浩平 | 教授 | 3,300,000 | 基盤研究(C) | 雁皮/雁皮紙の人類学:人間と自然、市場、国家の多面的関係の探究 |
西 香織 | 教授 | 3,200,000 | 基盤研究(C) | 多文化共生社会NIPPONを目指した「やさしい中国語」構築の試み |
鈴木 陽子 | 准教授 | 2,100,000 | 若手研究 | 使用基盤モデルによる子どもの語彙と構文知識の習得についての研究 |
野副 朋子 | 准教授 | 3,300,000 | 基盤研究(C) | ムギネ酸類及びニコチアナミンを介した植物の鉄欠乏シグナル感知機構の解明 |
長谷部 美佳 | 准教授 | 1,800,000 | 基盤研究(C) | 多文化共生と女性運動との関連についての研究‐インドシナ難民支援を手掛かりに |
氏名 | 職 | 配分総額(直接経費) | 研究種目 | 研究課題名 |
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村知 稔三 | 研究員 | 3,500,000 | 基盤研究(C) | 「強弱」権威主義国の子どもの権利と子ども政策の比較:<アゼル>と<カザフ>の事例 |
土井 智義 | 助手 | 3,500,000 | 若手研究 | 米国統治下の沖縄における本土籍者の活動と「日本人意識」:1945年~1972年 |