PEACE EDUCATION平和教育

秋学期 【2023年度】現代社会と教養Ⅰ

現代社会と教養(難民映画祭パートナーズ)

  • コーディネーター :赤阪 むつみ(難民支援協会)
  • 校舎 :明治学院大学 白金校舎
  • 教室 :対面授業 1356教室
  • 時間 :毎週火曜日3時限(13:30~15:00) ※授業時間にご注意ください

到達目標
本科目は難民問題に関する導入から具体的な日本の難民問題を取り上げる。かつ、授業を通して、難民映画祭を企画実施することが主な授業の構成内容である。
・受講生は「導入編」にて世界と日本にかかわる難民問題に関して基礎的知識を習得することができる。
・受講生は、日本における難民受け入れに関してのより具体的な課題に関して理解を深めることができる。
・難民映画祭【難民映画祭パートナーズ】の企画と実施を通して、難民問題とは何か、授業を通して受講者各人の考えを構築することができる。
講義概要
難民とはどのような人びとなのか。世界で起きているミクロ・マクロ的視点を繋げ、平和の観点から難民の置かれている実態を知るための科目である。講義では難民をめぐる問題の歴史的な変遷と現状を学び、未来に向けてどのような視点でこの問題を考えるか、見据えるのかを提示する。なお、本科目の受講者は「難民映画祭」の上映会の企画と実施に携わることになる。以上の講義をとおして、難民と日本社会の関係を知り、難民問題を自らの事として考えるための機会を提供する。
授業計画(日程・テーマ等変更の可能性あり)
第1回 9/19 「授業概要説明+難民とは?」
授業のガイダンスを行う。次に、難民条約の定義だけでなく、難民という言葉の変遷、広義の意味で難民を捉えることで、この講座の最終目標を確認する。また、映画祭開催実施の目標の設定と確認。
第2回 9/26 「なぜ難民保護が必要になったのか、難民条約の歴的変遷をたどる」
難民条約が生まれた様々な背景と変遷過程を理解することで、国際条約はどのような形で生まれてきたか理解する。また、理解することで市民にとっての国際条約(難民条約)とは何かを考える知識を獲得する。(ゲスト講師予定)
第3回 10/3 「世界の難民保護の変遷、難民映画祭視聴映画を選定のための討議」
難民条約以降の国連の役割が変遷してきたことの要因を見ることで、日本の難民受け入れの課題を俯瞰する。かつ、映画祭の視聴映画を選ぶため討議を行い、視聴映画を選ぶ。
第4回 10/10 「難民問題とは何か」
さまざまな国際問題の中の一つに難民問題があるが、難民問題の当事者性を課題の結果や参考資料をヒントにディスカッションを通して考える。
第5回 10/17 「難民映画祭開催検討」
映画祭を自ら企画することを通して受講者一人ひとりが何を期待しているか確認し、難民映画祭を企画実施することを通して何を獲得し、そのために何をすべきか具体的に検討する。
第6回 10/24 「日本の難民認定制度は、何が課題なのか(1)~ 難民条約加入後から2010年頃まで」
現在の難民認定制度の何が課題なのか、難民条約加入時には想定できていたものなのか、課題は変遷してきているのか、事例を見ながら、2010年頃までの課題を分析する。(ゲスト講師予定)
第7回 11/7 「日本の難民認定制度は、何が課題なのか(2)~ 2010年以降現在2023年まで
現在の難民認定制度の何が課題なのか、課題は変遷してきているのか、2010年以降、現在まで(法改正)事例を見ながら課題を分析する。加えて、難民映画祭の広報関連の企画検討を行う。
第8回 11/14 「日本の難民認定制度は、何が課題なのか(3)
ミャンマーの難民問題を事例にし、ミャンマーの難民が発生する原因、日本における難民認定の変遷を通して日本の難民認定制度の課題を理解する。(ゲスト講師予定)
第9回 11/21 「日本の多様な難民受け入れ~(第三国定住難民、シリア人留学生、ウクライナ避難民)」
インドシナ難民以降、多様な難民受け入れが日本でも展開されている。それぞれを社会包摂という視点で比較し、どのような課題があるのかを考える。
第10回 11/28 「日本における難民が定住するうえでの生活問題(福祉、処遇/(収容、教育、就労)」
日本に暮らす難民の生活の実態、支援団体の役割を知ることで、社会で難民を受け入れるためには、何をなすべきか考える。
第11回 12/8 「難民映画祭開催のための準備」
映画祭の実施に向け、当日の実施に必要事項を学び、映画祭の準備から映画鑑賞とトークセッションの実施、片付け、映画祭振り返りシート、受講生で実施を行うための役割および役割分担を確認、決定する。
第12回 12/5 「コロナ禍によって浮き彫りされた国境管理と難民問題を迫害の恐れがある国から眺める」 
国境を越えて強制移動が困難になる状況をミャンマーの現地をよく知る支援団体職員からの報告を受け、課題の原因アクターごとに整理することで理解を深める。(ゲスト講師予定)
第13回 12/12 「映画祭企画から実施までの振り返り」映画祭の実施後、映画祭振り返りシートを活用し、授業開始時に設定した目標を達成できたか、各自での振り返りをもとに、受講生全員で確認をする。
グループディスカッションを行い、映画会開催に必要とされる技能を実践し、考察する機会とする。
第14回 1/19 「世界の難民保護と日本の難民受け入れ問題」
これまで受けた授業内容から、解決を検討する課題を選び、どのような解決策があるか、ディスカッションを行う。
第15回 1/9 「総括と期末レポートの説明」
グループディスカッション形式でテーマごとに総括を実施する。
参考文献
1)小尾尚子 『難民問題への新しいアプローチ』、国際書院、2004年
2)本間浩『政治亡命の法理』、早稲田大学出版、1974年
3)UNHCR『世界難民白書2000』、時事通信社、2001年
4)川村真理『難民問題と国際法制度の動態 』信山社、2019年
5)小手川正二郎, 『現実を解きほぐすための哲学』 トランスビュー、 2020年       
6)ジーン・シャープ『独裁体制から民主主義へ―権力に対抗するための教科書』、 ちくま書房、2012年
7)大塚久雄『社会科学における人間』 岩波新書、1997年
8)難民研究フォーラム『研究ジャーナル11号』、現代人文社、2021年
成績評価の基準
映画祭企画から実施までの貢献度40%(企画準備、企画立案、映画祭の準備、映画祭当日の実務の4分野において評価をします)
授業への参加度20%
定期レポート40%(授業内容と映画祭の2つに関して課題を出す予定)
関連URL
http://www.meijigakuin.ac.jp/~prime/
備考
※10/31は、白金祭(学祭)のため、授業はありません。
※12 /27~1/4は、冬期休暇となります。