研究会
1970年代以降、OECD諸国は「ポスト経済成長」時代に入ったように見える。だが、このポスト成長期は、21世紀に入り、アメリカ発の金融・経済危機(“リーマン・ショック”)、それに続く欧州など国家債務危機、グローバリゼーションによる格差増大、そこから起こる社会分裂と若者失業など、困難な問題に直面している。また、地球レベルでの気候変動と生態系悪化、災害の増大、そして先進国の中東・アフガニスタン戦争への介入、その結果起こった膨大な数の難民流出など、世界情勢は絶えざる危機と戦火と不安を伴っている。各国政府とも、赤字財政を膨らませ、その日暮らし状態だが、それと共に、OECD諸国では、偏狭な自国第一主義、難民・移民排斥の思考が台頭し、政治の言辞には憎み合いと罵り合いが氾濫する。世界的に軍備の拡張が進み、核戦争も一触即発の臨界点に近い。
こうした時代に、効力を失った従来の正統派の経済学に代わり、フランスでは、脱成長論や社会的・連帯経済等の新しい経済学・社会政策が勃興した。社会科学の革新をはかるこれらの学問を踏まえて、2013年には個人主義的、合理主義的、経済主義的現代文明を見直し、新しい文明の倫理的・科学的な基礎を置こうとする共生主義宣言が、経済学者、哲学者、社会学者、実務家等の賛同を集めてうち出された(www.lesconvivialistes.org.)。明治学院大学国際平和研究所では既に2016年1月、「共生主義と平和―レンヌ共生主義大会の成果を踏まえて」と題して、前年フランスのレンヌ市で開催された共生主義大会の報告会を開催し、多くの聴衆を集めた。その後、共生主義宣言の日本語版の発刊(2017年、コモンズ)、フランスでの共生主義クラブの発足等の進展があった。本研究会は、本宣言の主唱者の一人、マルク・アンベール教授(レンヌ第一大学名誉教授、前日仏会館フランス事務所長)を迎えて、文明転換に持つ『共生主義宣言』の意義、共生主義と平和の関係についての発題をお願いし、現代の危機を考える上での地球倫理確立の必要性を考えることにしたい。
◆講演:マルク・アンベール(レンヌ第一大学名誉教授)
経済学者。産業政策・技術革新等を専門とする。2001年国際NGOとしてPolitical and Ethical Knowledge on Economic Activities (PEKEA, 国連諮問機関)を設立。2008~2011年、東京日仏学院フランス事務所長・フランス国立現代日本研究センター所長。2012~13年、立命館大学訪問研究者。この日本滞在時に東日本大震災に出会い、「絆」意識の重要性の認識から西欧個人主義・合理主義批判を強める。多くの著作中、日本語で読めるものに『脱成長の道 分かち合いの社会を創る』(勝俣誠との共編、コモンズ、2011年)、『共生主義宣言』(西川潤との共編、コモンズ、2017年)
◆通訳:中野佳裕(PRIME研究員)
共催:明治学院大学国際平和研究所(PRIME)、日仏経済学会
明治学院大学国際平和研究所(PRIME)
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