明治学院バッハ・アカデミー |
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J.S.バッハの没後250年にあたる西暦2000年、これを記念して「明治学院バッハ・アカデミー」が設立されました。白金校舎チャペルを拠点とし、バッハの作品を中心にした演奏会をシリーズで開催しています。 ※明治学院バッハアカデミーは「平成21年度港区文化芸術活動助成事業」に選定されました。詳細は「港区ポータルサイト」をご覧下さい。 明治学院バッハ・アカデミー2009年度テーマ「歴史の中のバッハ」(最終年度)芸術監督 樋口隆一 明治学院バッハ・アカデミーは、バッハ没後250年を記念して2000年に設立されました。バッハを中心とする教会音楽の研究と普及という大義名分はありましたが、1916年以来、この白金台にひっそりと立ってきたチャペルが、大学と地域を結ぶひとつの拠点になればよいという思いがありました。若い頃に留学したドイツでは、華やかなオペラハウスやコンサートホールだけでなく、大学の講堂や地域の教会で良い音楽会が盛んに催され、文化の拠点となっていることを知っていたからです。とりあえず1年という思いで始めましたが、多くの方々のご支持をいただき、10年という歳月を重ねることができたのは望外の喜びです。様々なかたちでお助けくださった皆様に厚くお礼を申し上げます。 最終年度のテーマは「歴史の中のバッハ」です。こうしてプログラムを眺めてみると、バッハという作曲家が西洋音楽の歴史の中でどれだけ重要な位置を占め、また影響を与えていたかがわかります。ひとつひとつ見ていきましょう。 第54回4月16日(木)の 樋口紀美子ピアノ・リサイタルは「バッハとショパン」。ピアノの詩人ショパンはバッハを「導きの星」としていましたが、そのピアノ芸術の集大成ともいえる第3番のソナタは、バッハが大好きだった調性であるロ短調(h-moll)で書かれています。ルーマニア出身の現代作曲家イラーニの《バード・オブ・ワンダー》はハ音(C)に終結しますから、はじめに演奏されるバッハのパルティータ2曲の調号である変ロ音(B)とイ音(A)とあわせると、プログラムの4曲はBACHの4つの文字、すなわちバッハの名を象徴的に表すことになります。 第55回 5月9日(土)にバロック・ヴァイオリンを演奏してくれる木村理恵さんは、明治学院大学芸術学科の教え子です。幼い頃からヴァイオリンを学んでいましたが、大学に入ってからバロック・ヴァイオリンの魅力に取り憑かれ、バッハ・アカデミー同人の渡邊慶子さんに師事し、さらに大学を中退してアムステルダム音楽院に留学。ルーシー・ファン・ダール教授の下で勉学中ですが、すでに昨年、山梨古楽コンクールでみごと2位(1位なし)を獲得しました。ことしも山梨で受賞者演奏会に出演するために帰国するというので、母校のチャペルでも演奏してもらうことにしました。こういう若者が育ってきたのも、バッハ・アカデミー10年の成果のひとつでしょう。今後も当分はヨーロッパで活躍するようですが、今回はオランダの友人たちと楽しいバロックの室内楽を弾いてくれます。 第56回10月17日(土)は久しぶりの「古楽器によるベートーヴェン」で、ピアノ協奏曲第5番変ホ長調「皇帝」と交響曲第6番ヘ長調「田園」という名曲揃いのプログラムです。ベートーヴェンと親しかった女流製作者ナネッテ・シュトライヒャーが1818年に制作したフォルテピアノの名器を弾くのはおなじみの渡邊順生さんです。19世紀初めのウィーンの響きが白金のチャペルに蘇ります。 第57回11月19日(木)の「光野孝子ソプラノ・リサイタル」では、シューマン、グリーク、メンデルスゾーン、ワーグナーといったロマン派のリート(歌曲)を取り上げます。メンデルスゾーン、シューマンは19世紀のバッハ復興運動の立役者でしたが、ワーグナーもまた、バッハの町ライプツィヒで、ヴァインリヒというバッハの後継者の一人に対位法を学んだということを忘れてはなりません。チューリヒ亡命中に作曲した『ヴェーゼンドンク歌曲集』は、あの楽劇《トリスタンとイゾルデ》と表裏一体をなす名作です。 第58回 12月12日(土)は「ヴィオール・コンソートの愉しみ」です。ヴィオールというのは、ヴィオラ・ダ・ガンバともいい、腕に構えるヴァイオリンやチェロに先駆けて活躍した、脚に構える弦楽器で、中でもバスのサイズがよく知られています。ヴィオール・コンソートとは、様々な大きさのヴィオールによる室内楽です。ヴァイオリン奏者として明治学院バッハ・アカデミー合奏団を私と一緒に作り上げてくださった神戸愉樹美さんは、わが国のヴィオラ・ダ・ガンバ界の第一人者でもあります。前半はルネサンスとバロックの名曲をヴィオールのコンソートで、後半は合唱団が加わって、バッハより遥か前にトマス・カントルをつとめていたセトゥス・カルヴィジウス(1556~1615)と、バッハより100年前の1585年に生まれた初期バロックの巨匠ハインリヒ・シュッツ(1585~1672)によるクリスマスのモテットを演奏します。またとないクリスマス音楽会となることでしょう。 第59回2010年3月13日(土)は、ブラームスの《ドイツ・レクイエム》の古楽器による上演です。ブラームスは、ウィーン楽友協会合唱団の指揮者としてバッハのカンタータやモテットを数多く演奏するなど、19世紀後半におけるバッハ復興運動の重要な担い手のひとりでした。彼の出世作となった《ドイツ・レクイエム》は、新約聖書、旧約聖書さらには旧約続編「ベン・シラの知恵」に基づくドイツ語の埋葬音楽で、その背景にはシュッツの《音楽による埋葬式》やバッハの名作カンタータ《神の時は最善の時》BWV106の伝統が流れています。ちなみにこのカンタータは、私がドイツ留学中に『新バッハ全集』(べーレンライター社)のために校訂した思い出多い作品で、いわば私のバッハ研究者としての第1歩を飾るものでした。その19世紀における発展型ともいえるブラームスの《ドイツ・レクイエム》こそは、明治学院バッハ・アカデミーの10年の活動を締めくくるにふさわしい作品だと思います。最終曲はヨハネ黙示録によってこう歌います。「然り、彼らは労苦を解かれて、安らぎを得る」と。 ♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪ 6月6日(土)には特別演奏会「バッハ以降のドイツ・プロテスタント音楽」が開催されます。同日、本学のアートホールで開催されるキリスト教礼拝音楽学会との関連企画ですが、学内外の皆様のご参加も歓迎いたします。バッハの友人でもあったテレマンのモテット《われらが神は固きとりで》や、最近発見されたバッハの次男カール・フィリップ・エマヌエル・バッハによる《マタイ受難曲》(1769)の冒頭合唱、メンデルスゾーンの詩編曲の改訂版、ブラームスやレーガーのコラール・モテットなど、マニアもびっくりの珍しい作品が、久保田慶一、佐藤望、星野宏美、加藤拓未といったそれぞれの専門家のお話も交えて演奏されます。指揮とオルガン演奏で活躍する安積道也さんは、明治学院大学心理学科卒業後、ドイツで10年も修行を重ねた若手教会音楽家です。バッハ・アカデミー合唱団副指揮者を経て、4月からは福岡の西南学院大学宗教主事(オルガニスト)として活躍されます。これからの日本の教会音楽の発展を担ってくれるでしょう。 <特別演奏会>6月6日(土) 17時開演 「バッハ以降のドイツ・プロテスタント音楽」キリスト教礼拝音楽学会後援 バッハ《来たれ、イエスよ、来たれ》、テレマン《われらが神は堅きとりで》 C.P.E.バッハ《マタイ受難曲》(1769)より「まこと、あの方はわれらが病を担われた」 メンデルスゾーン《詩編43》(改訂版)、ブラームス《平和と喜びもてわれ逝かん》 レーガー《甘き喜びのうちに》ほかとオルガン曲 久保田慶一、佐藤望、星野宏美、加藤拓未(お話) 樋口隆一(司会・指揮)、長谷川美保(オルガン)、安積道也(指揮・オルガン) 明治学院バッハ・アカデミー合唱団 一般3,000円 学生・生徒2,000円 (当日売りのみ)  特別演奏会のお問い合わせ:キリスト教礼拝音楽学会大会事務局 03-5421-5409 樋口隆一 略歴 |
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2009年度の演奏会予定
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会場明治学院チャペル |
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料金表(全席自由)
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明治学院バッハ・アカデミー:BACH AKADEMIE MEIJI GAKUIN TOKYO |
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【問合せ】明治学院バッハ・アカデミー事務局(明治学院法人課) |