
「人が大好き!」「幅広い人々と関わりたい!!」。幼少期からブレることのないこの想いを胸に、ボランティアと向き合ってきた小林さくらさん。中学からボランティアには触れつつも、大学でのボランティア実践や授業での学びが、彼女の卒業後の進路に大きな影響を与えました。その軌跡を紐解いていきます♪
私の地元は田舎だったこともあって、住民同士助け合うことが自然と行われていました。そのため、「誰かのために何かを」ということも私にとって特別なことではありませんでした。そして、当たり前であると同時に、「人とのかかわりが大好き」という私は、「誰かのために私ができることはないかな」と考えていました。この想いを体現できるものこそボランティアと考え、中学生の頃からボランティア活動に参加するようになりました。中学では、母と一緒に町内会の清掃活動に参加し、町の美化に努めました。高校では、部活動として国際文化交流部に所属し、ネパールの子ども達に文房具を送るための募金活動を商店街で行うことや、児童養護施設での学習支援、足尾銅山での植樹活動など幅広い分野のボランティアを経験しました。
大学入学当初はコロナ禍で人との交流が制限されていました。一人で自分と向き合う中で、自身のやりたいことや遊びに時間を使うことも大切ですが、ボランティア活動を通し学生だけでなく、多くの方々と交流し、その中で少しでも力になることができればより充実した学生生活を送ることができるのではないかと考えました。さらに、人と関わることが好きな自分にとってより幅広い世代・環境の方々と交流し、学びを得たいと考えるようになりました。
大学では1 Day for Others(以下、1 Day)という1日社会貢献プログラムを活用することが多かったです。印象的なプログラムは、「柏尾川沿いの花植えボランティア」と「港区“芝の家”でのコミュニティ形成ボランティア」です。
1つ目の「柏尾川沿いの花植えボランティア」の活動内容は川から水をくむ、ずっとしゃがみ込んで花を植えるなどです。学生の私でも決して楽ではない活動でしたが、受入団体の方々はほとんどの方が60歳を超えているなか、地元の桜を守るために活動を何十年も続け、寿命と言われていた桜の木を20年以上守っています。今では戸塚の代名詞にもなっている桜ですが、それらは団体の方々のおかげで綺麗に咲いていることを感じました。感謝の気持ちをお伝えしたところ、「頑張っているのは桜だ」「毎年綺麗に咲いて、見ている人が笑顔になっている姿を見ると本当に幸せ」とおっしゃっており、地域のため、人のために何十年も活動し続けている姿に感銘を受けると同時に、尊敬の念でいっぱいになりました。
2つ目の「港区“芝の家”でのコミュニティ形成ボランティア」についても紹介します。“芝の家”は慶應義塾大学と港区芝地区総合支所が協働で運営する、芝地区地域事業「地域をつなぐ!交流の場づくりプロジェクト」の拠点としてスタートしており、現代社会で見失いがちな、暮らしのあたたかさを育んでいくため、子ども、大人、お年寄り、住民、在勤・在学者、だれでも自由に出入りでき、地域の方と共にまちを考え創ることのできる場を提供しています。 1 Dayとしての活動は、主に来場者との交流(幅広い世代の方とのおしゃべり、昔あそび、子どもたちと遊ぶことなど)でした。
山間部で生まれ育った私にとって、5歳から95歳の地域の方々が集まり交流する姿はとても懐かしさを感じました。買い物ついでに会話をしに訪れる主婦の方やご高齢の方、勉強場所として利用する小学生、昼食の場として利用する社会人の方など目的は人それぞれですが、一人ひとりが心地よさそうに繋がり、空間を共有している姿に、オフラインでのコミュニティ形成の場を用意する重要性を感じました。また、港区に住んでいない私や、藤沢市から訪れる人など、地元以外の人も居心地の悪さを感じることのない空気感にも感銘を受けました。“芝の家”をあとにした際、帰り道で地元の方が「またね」と手を振ってくださったことは、私に大きな安心感を与え、今でも思い出して心が温かくなるとともに、私自身の居場所にもなりました。実際、“芝の家”には、この1 Day活動後も足を運びました!
特定のターゲットを支えるのではなく住民全員に対してアプローチできる点に魅力を感じ、入学当初から将来は特別区で働くことを夢見ていました。さらに、最終的には、港区で働くことを第一に希望するようになり、今年度から港区職員として働きます。
私がこのように進路を明確にしていくことができたのは、前述の「港区“芝の家”でのコミュニティ形成ボランティア」の経験や、そこから興味を持ち、理解を深めようと思って履修した授業などが起因しています。
”芝の家”でのボランティアで居場所づくりやコミュニティ形成の重要性を学んだことがきっかけとなり、大学4年次にはコミュニティ創生論Bという授業で、港区やその他自治体の商店街について、現状の把握や今後の展望を考えました。芝の家での地域住民の方や港区の担当者の方との交流を通して、より具体的にコミュニティを創生する経験を積めたこと、そして港区への愛着が生まれたことで、最終的に港区で働くことを志望することに至りました。実践(ボランティア活動)と理論(授業)とが相互に作用したことで、自身のキャリアを明確にイメージすることができたと考えています。
将来的には区のコミュニティ形成の場をより広げ、多くの方々が生き生きと暮らすことのできる街づくりに尽力し、災害時にも助け合うことのできる繋がりを育むことにチャレンジできればと考えています!
「人々のあたたかさに気がつくきっかけ」です。 ボランティアを通して関わった方々と交わした言葉は今でも自分を励ましてくれます。 当たり前に感じていることが、実は人の善意によって成り立っていることに気付いたり、オフラインで人々と繋がる尊さ、心強さを再確認するきっかけになると感じています。 ボランティアを始めるチャンスは身近にあります。いつかではなく今始めてみませんか? きっと素晴らしい経験になると思います!