
大学生活の中でどんなことに挑戦してみたいか、考えている学生の皆さんも多いのではないでしょうか?たくさん悩み考えることも大事ですが、偶然の出会い、ふとした自分の決断が自分自身を変えたり、将来の目標になることもあります。一歩踏み出す勇気、ボランティアから始めてみませんか?
第一志望だった憧れの明治学院大学に入学して、まず大学でやりたいことを書きだしてそれを目標にこの1年半授業や課外活動など精力的に頑張ってきました。しかしまだできていなかったのが「ボランティア」でした。高校生の頃も、所属していたサッカー部を通じてJリーグの試合の運営を手伝ったり、ボランティアに関わる機会はありましたが、大学生になってからボランティア学の授業も履修していたので、ずっと「誰かのために何かやってみたい」と思っていました。転機となったのは、2024年1月に発生した能登半島地震。自分は何をしたらいいのか?と悩む前に、現地に行こう、と気づけば自然に体が動いていました。
石川県社会福祉協議会の災害ボランティア情報を自分で調べて申し込み、同じ高校に通った明学の友人とともに2024年3月に石川県内灘町へ足を運びました。震度5弱の揺れを観測して、甚大な被害が出た現地で見たものは、自分の普段の生活とは全くかけ離れた異世界。多くの家屋が壊れて、道路のひび割れや断水など、インフラも壊滅的でした。地震の被害を受けた家屋から、壊れた家具や荷物を運び出す作業を担当しましたが、現場に立ち会われていたその家の住民の方の悲しげな表情が、今でも忘れられません。ずっと慣れ親しんだもの、家、そして地域。すべてが一瞬でなくなってしまう虚しさに、胸が苦しくなりました。
能登で出会った方々は、炊き出しの料理を分けてくださったり、あたたかい言葉をかけてくださったり…。ボランティアに来ているのは自分なのに、まるで家族のようにやさしく受け入れてくださって、行って良かった、と心から思いました。
能登でのボランティアに参加した後、ボランティアセンター主催のボランティア・カフェ「能登はまだまだこれからです!~能登半島復興支援ボランティアについて語ろう~」で当時の経験を語りました。実際に現地に行った本人が学生目線で語ることは、聞いている方にも親近感が伝わり、とても良い時間だったのではないかと思います。また、伝えていくということの大切さや、他者から客観的に自分の行動を評価してもらうということは、自分の成長につながることであると実感しました。
ボランティア・カフェ参加者の方から、自分の話を聞いて現地に行ってみたいという言葉を聞いたときは、能登に行って良かったなと改めて感じた瞬間でした。
今回災害ボランティアとして能登を訪れたことは、自分自身の転機になったと思います。もともと、自分のことは自分で考えて行動に移す性格ですが、災害ボランティアとしての自分の決断が、現地の方の力になり、そして自分自身の大きな自信にも繋がったことを実感しました。何か問題や心配事に直面した時、どうしようかとあれこれ悩んでしまいますが、今回の活動を通して「悩んでも、きっと何とかなる。自分ならやり遂げることができるのだから、まず挑戦してみよう。」と前向きな姿勢を身に着けることができた気がしています。ボランティアを始めてから、改めて自分で決めたことはどんな形であっても最後まで向き合おう、と考えるようになりました。
まだ進路は決めていないのですが、今は教職課程を履修しています。目標にしている中高時代の恩師に近づけるように、今回の能登のボランティアを通じて改めて学んだ「自分で自分の人生を決めていくことの大切さ」をアルバイトやサッカーを通じて関わる中高生にも伝えていきたいし、彼らの選択を尊重して、夢を後押しできるような人間になりたいです。
大学生活は、自分のやってみたいことができる時間だと思っています。授業やアルバイトは忙しいですが、自分で選んでやっていることなので、苦ではありません。ボランティア活動も、今の自分を形作っている大事な要素の一つです。災害ボランティアとして再び能登を訪れたいとも思っています。災害ボランティアとサッカー、分野は違いますが、自分で見つけたボランティア活動としてもっと深く関わっていきたいし、この経験をもとに、たとえばプロジェクトにしたり、学内のイベントを企画したり、何かの形で昇華できたら、という思いで頑張っています。
大学生活の中でこうして様々な活動に参加できていることは、偶然の出会いの連続であり、自分の糧です。そしてそれができるのは、家族や友人がそばにいてくれて、自分の日常生活があるからこそ。能登の方々が教えてくださったことの一つです。