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社会を生きる力を子どもとともに考えたい

2025.04.11

小学校の特別支援学級で学習支援ボランティアに取り組む横田さん。学習補助以上に大切にしているのは、大人に助けを求める力、相手の気持ちを想像する力、納得できる答えを探す力をともに考えること。そのためにひとりひとりに向き合うことはもちろん、大学の授業等での学びを活かして活動をしています。明治学院大学教育連携・ボランティア・サティフィケイト・プログラムを通じて、ボランティア活動と学びを往還する日々とは。

横田 歩実 社会学部 社会福祉学科 3年 趣味はさんぽ。さんぽは、音楽を聴きながらリフレッシュしたり、歩きながら考えを整理したりするのに大切な時間。体を動かすことで心身の健康維持もできて一石二鳥!明学のお気に入りの場所は図書館。白金・横浜どちらの図書館も違った趣があり、静かで落ち着く空間で専門書などを読み過ごしている。

気軽な気持ちで挑戦開始!

明治学院大学教育連携・ボランティア・サティフィケイト・プログラム(以下、サティフィケイト・プログラム)は、ボランティア実践と大学の授業の融合を行った学生に大学が修了証を与えるという明学独自プログラムです。①135時間以上のボランティア実践(2025年度より100時間以上)、②インテグレーション講座の受講、③ボランティア実践と結び付けた3科目以上の単位取得という3つが要件となっており、3~4年間かけて修了証の取得を目指すものです。こう聞くと、とても大変そう!と思う人が多いかもしれません。私は、大学入学前から小学校の特別支援学級で学習支援のボランティアをしています。週1回、4時間程度と、活動自体に充てる時間はそれほど多くありませんが、長く継続することを前提にはじめた活動だったので、135時間以上のボランティア実践ができるかもしれない。そんな気軽な気持ちで修了証の取得に挑戦することにしたのです。また、ボランティアは、成績が残るような性質のものではありませんが、サティフィケイト・プログラムを通じて自分の活動がかたちとして残ったらうれしいなと思い、プログラムへの登録を決めました。

小学校の特別支援学級での学習ボランティア

私は関心のある教育・福祉の分野を中心に、小学校の宿泊体験の引率や運動会の開催補助、地域子育て支援拠点でのサポート、療育センターでの排泄・遊びなどの介助など、様々な現場でボランティアをしてきました。なかでも、小学校の特別支援学級での学習支援は2年間継続しており、力をいれて取り組んでいる活動のひとつです。特別支援学級のボランティアではどんなことをしているのだろうと思われる方も多いと思います。授業中は教室の後ろから様子を見守り声掛けをしたり、トイレに立つ際のサポートをしたり、子どもたちの個別対応が中心です。また、休み時間は鬼ごっこをしたり、トランプを一緒にすることもあります。小学校の先生はとにかく忙しい。ボランティアとしてやっていることは子どもの支援ですが、ボランティアの活躍が先生の支援にも直結する現場であることを強く感じます。

活動をしていて印象深かった経験をひとつご紹介します。ある日、発達障害の子どもが自分の気持ちを上手にコントロールできず、見ている私も辛くなるほど泣き叫ぶということがありました。感情が爆発している子どもを前に、先生がなんとか集団行動に導こうとしますがうまくいきません。私はボランティアであり先生ではないため、私が思う子どものための行動と先生が思う子どものための行動が異なる場合は先生の指示に従うしかありません。ジレンマを感じる経験でした。

一方で、私に甘えて懐いていた児童が、学年が上るにつれて下級生のお世話をしたり、思いがけず手紙やプレゼントを用意してくれるなど、その成長に感動するような瞬間も多くあります。これは、継続して関わるからこその経験で、やりがいにもつながっています。

子どものその時の気持ちにより、適切な対応が異なるので、どのように接すべきかの判断はいつも大変です。最初は気持ちや意見より、先生から出された課題を終える手伝いを重視していた時期もありました。ですが、子どもたちと関わるなかで、人間関係を築いたり、自分が困っていることを相手に伝えたり、相手の気持ちを想像したりと、学習以外の時間で培うことができる力があると気づきました。これらはまさに社会を生きる力!学習補助以外の時間の関わりも大切に、ひとりひとりと向き合い困りごとが起きた時に一緒に考えることにこだわっています。

もっと深い視点・新しい疑問が沸き起こる

サティフィケイト・プログラムでは、こうした日々の活動を報告書に記録し、月1回、ボランティアセンターに提出します。活動のことを思い出しながら記すことで、経験だけで終わらない、もっと深い視点や新しい疑問が生まれます。また、ボランティアコーディネーターからフィードバックをもらうことで、別の視点から活動を振り返ることができ、考えたり学ぶ意欲にもつながっています。

もうひとつ、活動の力となっているのが授業での学びです。たとえば、「特別支援教育学総論A・B」では、子どもは潜在的に「認められたい」「褒められたい」と思っており、わざと周りを困らせる子どもはいないということを学びました。試し行動をしているだけということを学べたおかげで、自身が冷静に行動する手助けになっています。また、発達障害は外見ではわからないため、本人や家族の努力不足とされ自己肯定感が低下しやすいということを学び、現場の先生が、結果ではなく取り組もうとした過程を言葉に出してほめるという、支援級にあった関わり方をしていることに気づきました。他にも、「ソーシャルワーク実習1」「障害児医学総論A・B」「児童福祉論A」など、様々な授業の学びが活動と結びついています。あらゆる授業を通じて学んでいるのは、「障害は特別ではない」ということ。ひとりひとりに違いがあることは、障害の有無に関係ありません。そのひとにあった向き合い方をすること、これが私の活動の核となっています。子どもたちが社会を生きる力につながるヒントが授業や報告書のフィードバックから得られることもあります。このように、いまではボランティア活動と学びを行き来しながら、考え動くというのがあたりまえのことになっています。

他の明学生の活動に興味津々!

サティフィケイト・プログラムでは、ボランティア大賞やインテグレーション講座への出席が義務付けられています。モチベーション高く活動に取り組んでいる人がたくさんいることは、とても励みになります。大学生がここまでできるんだ、ということを知り、自分自身の活動に参考にすることもあります。また、純粋に自分とは違う活動をもっと知りたいという刺激にもつながり、登録2年目には自ら登録生向けの交流会の企画も行いました。参加者を集めるのは大変でしたが、他の人の意見や体験を聞くことは楽しい!普段の学生生活では得られないボランティア活動を通じての経験が、学びや疑問に変換される刺激的なプロセスを多くの方に味わっていただきたいです。

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