コラム「キャンパスCLINIC」

生活習慣病と予防

白金通信2003年10月号

たちが暮らす日本は、世界の多くの国や地域に比べて社会環境や経済、文化や歴史において非常に高い水準を維持している国です。
特に経済や社会環境の発展は先の戦争後の奇跡とも言われる高度成長によるものといわれています。
その結果、日本人のライフスタイルや食生活は欧米化、具体的には裕福な食生活、過剰塩分摂取、肉食中心の食事などの傾向となり、併せて運動不足や不規則な生活習慣、喫煙による活性酸素の増加などの要因により肥満傾向の人が増えています。
生活習慣病は(以前は成人病と呼んでいた)動脈硬化・高血圧・悪性腫瘍・糖尿病・肺気腫や骨の退行性変化など壮年期以降発する病気を総称してそう呼んでいます。
いずれも生死に関わる重大な病気であり完治が難しく、生活の制限を余儀なくされることが多々あります。
生活習慣病にはいろいろありますが、中でも肥満が招くものとして高脂血症(血液中のコレステロール・中性脂肪の多い状態)、高血圧症、糖尿病(血液中のブドウ糖が多い状態)へと繋がっています。
それらは動脈硬化(動脈の壁に悪玉コレステロールや死んだ細胞などがへばりついて、血管が細くなったりもろくなったりする状態)へと導きます。
そうなると虚血といって、動脈硬化が起こる場所によって異なりますが、各臓器への血流が不十分になり、その部分が機能しなくなることがあります。
また、血管が完全に詰まると血液がいかなくなった臓器は壊死してしまいます。ついには弱く、脆くなった血管が破裂してしまい体内で大出血を起こすようになります。
心臓や脳などでこれが起こると、とても危険な状況となり死亡することが多くなるのです。
肥満の原因としては、先にも書きましたが、社会的背景としての「労働の機械化」「交通手段の発達」「豊富な食品の供給」などが挙げられ、誤解を恐れず言えば、栄養の過多と運動不足が主たる原因といえます。
肥満解消と成人病予防の解決策としては定期的な身体活動の実践が効果的です。一番安全でかつ効果的な運動としてウォーキングがお勧めです。
以前はランニングがもてはやされ、多くの愛好者が街中を走っていましたが、昨今はスポーツ障害(膝や腰を痛める)や突然死などの心配から、現在ではウォーキングが健康づくりの主役となりました。
日本では中高年の三人に一人がウォーキングを実践しているとの調査結果もあり、日頃からよく歩く人は心臓病にかかりにくいし、かかっても死亡率が低い、あるいは寿命が長いといった疫学的調査もあります。
これまで運動不足だった人がウォーキングを実践するようになると、脚力が強くなる、肥満が解消される、高脂血症が改善される、糖尿病の症状が軽減する、血圧が正常範囲に戻るといった実験的報告もたくさんされています。
アメリカスポーツ医学会は呼吸循環機能(心肺機能=スタミナ能力)を良好に保持するためには1日に20分から60分間、週に3日から5日ウォーキングすることを奨励しています。
日頃忙しい私たちですが1日30分程度は両手を大きく振って、背筋を伸ばし、広い歩幅で歩き、健康づくりを意識したいものです。
最後に、肥満解消法ではないのですが、古くから(江戸時代)から伝わる病気予防の「健康十訓」を紹介します。

  1. 少肉多菜
  2. 少塩多酢
  3. 少糖多果
  4. 少食多咀(そ)
  5. 少衣多浴
  6. 少車多歩
  7. 少煩多眠
  8. 少念多笑
  9. 少言多行
  10. 少欲多施

昔から高コレステロール食はいけないといわれています。車に乗らずに歩く、くよくよせず、よく眠り、よく笑い、楽天的に生きる。現在にも当てはまることです。

健康相談所長 教養教育センター教授  亀ヶ谷 純一