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2019年度エッセイ

白金通信「カウンセリング」およびポートヘボンお知らせより

  • 「物憂い春を乗り切ろう」
  • 「変化の時期の後に」

  • 「物憂い春を乗り切ろう」

    Q 春は毎年気持ちが落ち込みます。友達はすぐにグループができるのに自分はできず緊張します。
     授業登録などでミスはするし気忙しくて落ち着かず、自己嫌悪。何かアドバイスを下さい。(架空相談)

    A 春は変化の季節
     新しい大学生活。新しいキャンパス。新しい授業。春は出会いと変化の連続です。新しい環境に慣れるのに一苦労ですね。
    そんな中、一人で物事をてきぱきと解決できる判断力、実行力はその人の強みです。
    しかし大学内の各部署や相談機関をうまく利用したり、隣の友達に尋ねたりする、「HELP!」を訴える力も、実は社会で生きていくために必要な能力の一つなのです。
    助けを求めるために話しかける、つまり融和的ベクトルを提供することは、友達作りの基本でもあります。さらには「こういうことは苦手で緊張するよ」と言えたら、もっと友達と心理的距離を近づくことができますね。
     感情が行動を規定する
     心理学の用語に「気分一致効果」や「気分状態依存現象」というものがありますが、ご存知ですか?
    どちらも、特定の感情がある行動を呼び起こしやすいという、感情や思考と行動傾向の繋がりを示すものです。
    気分一致効果とは「何かを記憶しようとする時の気分と、その記憶内容が一致していると、思い出しやすい」というものです。ですから憂鬱な気分の日々を過ごしている人は、気づかないうちに憂鬱な内容の記憶素材(多くは自分に関するネガティブな過去経験)を覚えこみやすいということになります。私たちは知らず知らずのうちにこのような記憶バイアスにひきずられながら行動をしているのです。  
    これと似ていますが気分状態依存現象は、「ある気分の時には、過去の同じ気分の元で記憶された内容の事柄を想起しやすい」という現象を表します。記憶素材の内容に関わらず、というところが違いますが、いずれにせよ、ネガティブな感情をひきずっているとネガティブな記憶を掘り起こしやすいということです。これらはその人の性格によるのではなく、誰にでも共通の、いわば「ヒトの脳の癖」でもあるわけです。 自分の行動を反省することは必要かもしれませんが、ある程度反省したら、その気分から敢えて一旦離れる努力も必要です。後悔にこだわり過ぎて、過去のネガティブな自分の想起というスパイラルに囚われているとしたら、それはちょっともったいないことを日々しているのかもしれません。
    (「白金通信」4月号より転載)

     


    「変化の時期の後に」

      4月の初めは大混雑だったキャンパスも、このごろは少し落ち着いてきたように見えます。とりわけ今年入学した1年生の皆さんにとっては、新しい環境にともかく慣れなければいけなかった4月が過ぎ、例年に比べて長い5月の連休でほっと一息ついたあと、だんだん学生生活が軌道に乗り始めてくる時期でしょうか。あるいは、連休でせっかくできかけたペースが崩れてしまって、もう一度体勢をたてなおしている最中の人もいるかもしれません。
    しかし、なかにはどうも思い描いていた大学生活と様子が違うことが気になってしまったり、まわりに比べて自分だけが置いていかれたり、取り残されているのではないかと思ったりしている人もいるのではないでしょうか。この時期は、ひと段落着いて、まわりや自分のことを考え始めることが出来る分、ともすると焦りや疲労もでてきやすい時期だと思います。

    また、1年生だけでなく、4月は誰にとっても多かれ少なかれ変化の時期だと思います。2、3年生では、校舎が横浜から白金に変わった人も多いでしょうし、なかにはそれに伴って転居した人もいたでしょう。4年生の皆さんは就職、卒業という課題に本格的に取り組みはじめたのではないでしょうか。
    そうした変化のあと、自分の思い描いていたように事が進んでないなと思ったり、うまく乗り切れなかったなと感じている方もいるのではないでしょうか。そんな思いを一人で抱えこみすぎてもあまり良いことはないようです。
     誰かに話すことから始めることでみえてくることもあると思います。変化の時期のあとは、こころやからだの不調が出やすい時期でもあります。不安や気持ちの落ち込み、不眠や食欲不振など気がかりなことがあったら一度、学生相談センターにいらしてみたらいかがでしょうか。
    (ポートヘボン「お知らせ」(2019/5月)より転載)