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コラム「キャンパスCLINIC」

飲酒のもたらす健康への影響

白金通信2007年1月号

10月9日、横浜校舎で開催した公開講演会「飲酒のもたらす健康への影響」では、エタノールパッチテスト考案者の樋口進医師(久里浜アルコール症センター副院長)にご講演いただきました。今後皆さんが、アルコールとどう付き合っていくかという上で、とても大切な内容でしたのでご紹介します。

アルコールに強いか弱いかは、成分のひとつであるアセトアルデヒドの分解にかかわる二型アルデヒド脱水素酵素のタイプにより異なります。
これは、遺伝子により以下の三タイプに分かれます。
 ①赤赤型(奈良漬などの少量のアルコールを摂取しただけでも赤くなるタイプ)、
 ②赤型(反応は出るが赤赤ほど激しくないタイプ)、
 ③白型(まったく赤くならないタイプ)です。

①の赤赤型の人はアルコールが体質的に合っていないと言えます。エタノールパッチテストは、自分がどのタイプか九割方わかる検査です。

 若い人程、脳がアルコールに慣れていないため、分解速度が遅くなります。また安全な飲み方が身についていないため、急性アルコール中毒の危険性が高いです。皆さんの友達がひどく酔って、「いくら呼んでも起きない」「激しく吐く」「体温が下がってきて皮膚が冷たい」「脈が速く呼吸数が少ない」「尿や便の失禁」などの症状があらわれたらすぐ救急車を呼んでください。 
 男性は1時間に純アルコール約8グラムを分解できるのに対して、女性は約6グラムと性差があります。また肝臓の大きさは人の背丈に比例します。背の大きな人より小さい人の方が、分解速度は遅いのです。これらのことから、アルコールを飲むときに特に危ないタイプは、「顔が赤くなる人」「女性」「体の小さい人」だと言えます。
 最近、飲酒運転による悲しい死亡事故が多発しています。加害者は、もうアルコールが体から抜けたと思っていたり、自分は酔っていないと思って運転してしまう人がいるようです。ビール中瓶(500ml)2本を飲んだ場合、血中のアルコール濃度がゼロになるには、飲み始めてから数えて男性5時間・女性6時間40分と驚くほどかかるのです。飲んだら運転は絶対しないでください。
 また、妊娠中にお酒を飲むと、胎児性アルコール症候群という障害を持った子供が生まれてくる危険性があります。妊娠を考えている人は、お酒は飲まないことです。
 後悔のない飲み方、すすめ方を心がけましょう。

※アルコールパッチテストは、白金、横浜の健康支援センターにて、簡単に検査ができます。どのタイプに属するのか調べてみませんか。

健康支援センター
白金 03-5421-5183
横浜 045-863-2020

保健師 工藤たみ子

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