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コラム「キャンパスCLINIC」

「はまる」こと

白金通信2008年4月号

 皆さんは何かに「はまった」経験はありますか?「はまる」対象はいろいろあるでしょう。テレビゲームに「はまる」、カラオケに「はまる」、冬場ならスノボに「はまる」、夏場ならサーフィンに「はまる」など無限にありますね。これらはある「行動」にはまっているわけです。

 お酒にはまっている人もいるかもしれません。この場合は度が過ぎると「酒に溺れている」といったことになります。酒とくればタバコと続きますが、「タバコにはまる」とは言いませんね。なぜなら、酒は古来「百薬の長」と言われており、上手に飲めば健康によいとされていますが、タバコには効用がないからです。周囲への悪影響も含めて有害だからです。

 ギャンブルもはまりやすい対象です。しかし酒やタバコとギャンブルは違います。酒もタバコも身体がはまってしまいます。ギャンブルでは身体がはまることはないからです。パチンコでは、むしゃくしゃしている時には、大当たりをとれば気分転換になるかもしれません。しかし大負けすると余計にイライラがひどくなるかもしれません。「悔しい、何とかしてこの借りを取り戻そう」なんて思ってさらに大金をつぎ込む人がいます。下手すれば人から借りてさらに金をつぎ込むことになれば、これはもう病気の域に入っているかも知れません。犯罪行為である万引きもはまる対象です。一回成功すると、お金を払って買い物をするのが馬鹿馬鹿しくなるらしく、繰り返してしまいます。より凶悪な犯罪でも同じようにはまってしまいがちです。

 さて、この「はまる」を皆さんに考えて欲しいと思ったのは、「はまる」ほどに物事に熱中しないと、物事が分からないし、極めることなどできないということです。はまって失敗することもあるでしょう。しかし、それも貴重な経験です。抜け出せなくなるのは困りますが、そういう時は専門家に支援してもらってもいいでしょう。「はまる」ことを心配して何事にも距離をとることになると自分が変われないし、得られるものが限られることでしょう。「はまる」対象は物でも、人でも、行動でも同じことです。学生時代に是非、いろんなことにチャレンジして「はまって」ください。そして抜け出せないように感じたら相談に来てください。もちろんタバコやギャンブルなどは駄目ですよ。

 

心理相談担当校医 島悟

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