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コラム「キャンパスCLINIC」

「心の健康」のバロメーター

白金通信2009年4月号

 新入生の皆様、在校生の皆様、新学期を迎えるに当たって、「心の健康」について一言お話しいたします。
 「心の健康」と言っても漠としたもので分かりにくいですね。「体の健康」ということであれば、皆さん、学校で健康診断を受けて、体重や血圧を測定し、尿の検査やレントゲン検査や、必要に応じて血液の検査を受けますね。病院ですとより詳しい検査を受けることになります。しかし、通常「心の健康」について健康診断を受けることはありません。心の健康は検査できないからです。目に見えないものであるからです。
 それでは、どうやったら心が健康であることが分かるのでしょうか? 実は、心の健康は、「身体」に、「精神」に、「行動」に表れてくるのです。心が不健康になれば、口内炎ができたり、皮膚が荒れることがあります。髪の毛が抜けやすくなることもあります。頭が痛くなったり、お腹が痛くなることもあります。心が不健康になれば、精神的には、不安になったり、やる気がなくなったり、イライラすることもあります。落ち着かなくなる人もいます。心が不健康になれば、行動パターンが変わることもあります。よくみられるのは、アルコールやタバコの量が増えることです。衝動買いが多くなる。あるいは人を避けることもあります。
 このように、心の健康は、身体に、精神に、行動に表れるものなのです。つまり、これらは心の健康のバロメーターと言えます。人によって、こうしたバロメーターは異なりますので、自分の「心の健康バロメーター」をしっかり把握しておくことが大切です。忙しい生活を送っていると、つい、こうしたバロメーターをみないようになってしまいます。週に1回でも、振り返ってみて、バロメーターがどうなっているのかを見て下さい。
 最後に、心の健康を保つ方法を少し考えてみましょう。第一は、自分の限界を知ることです。鍛錬により限界は変わりますが、今の限界をある程度把握することが大切です。第二に、無理を貯めないことです。無理をしなければならないことがあっても(それ自体は大切なことです)、無理を解消することを考えます。第三に、生活にメリハリをつけることです。忙しい時間があっても、ゆっくりと時が流れる時間を持つようにします。空き時間がないようにスケジュールをギチギチに組む方がいますが、空き時間は実は大切です。最後に、自分のための時間と自分がホッとできる場所を確保することを心がけたいものです。どうぞ有意義な1年間を送ってください。

 

 

心理相談担当校医 島悟

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