白金通信2009年12月号
寒い季節の到来です。葉をすっかり落とした大きな樹々、天に向かって逞しく伸びている一枝一枝を見ていると、元気が出てくるような気がします。
さて、「寒くなってくるとトイレが近くなって・・」という方、水分摂取を極端に制限したりしていませんか。冬でも十分な水分をとり、定期的に排尿をすることは膀胱や尿道の細菌を増加させないために大切なことです。
頻尿、さらに、排尿後も残尿感がある・排尿が終わるときにしみるような痛みを感じる・尿がにごり血が混じる・下腹部に違和感があるなど、膀胱炎でつらい思いをした方も少なくないと思います。男性にくらべ尿道の短い女性がかかりやすい病気で、治療が不十分だと何度も繰り返します。
症状があっても我慢し受診しなかったり、処方された薬を最後まで服用しないと、たとえ症状は消えても細菌は残存し、再発をくりかえすことが多いのも特徴です。細菌が膀胱だけにとどまらず尿管を上行し、炎症が腎臓まで波及、高熱が出る腎盂炎に罹ってしまうこともあります。膀胱炎でつらい思いをしないために、それをいかに防ぐか、対策をお伝えします。
まず第一に、原因となる細菌を尿路に入れないよう気をつけることです。膀胱炎の主な原因は便の中にいる大腸菌、排便排尿後に拭く時は、必ず前から後ろに向かって拭く習慣をつけましょう。前後に往復する拭き方は尿道の入口を汚染します。一度拭いた紙で何度も拭くことはしないでください。月経中のナプキンや、シートはこまめに交換し清潔を保ちましょう。
次に、膀胱内で細菌を増やさないようにすることです。そのために気をつけたいことは、水分(アルコールや糖質の入った飲み物は除く)を十分にとることです。最初にのべたように定期的に排尿することで膀胱内、尿道をいつもきれいに保つことができます。少しくらいの細菌は洗い流すことができるし、細菌を増やさずに済みます。排尿を済ませたら、コップ一杯の水やお茶を飲むことをお忘れなく。そして、下半身を冷やさないようにしましょう。冬でも素足の人を見かけますが、足元で冷えきった血液が循環し、膀胱内の尿を冷やし細菌を増殖させる適温となってしまいます。
最後に身体の抵抗力、免疫力を低下さないよう日頃から心がけましょう。ストレスや過労、過激なダイエットなどは免疫力を低下させ、膀胱炎発症の誘因となります。
今夜は、栄養満点、身も心も温まる、お鍋でも食べることにしましょうか。
保健師 佐野幸子