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コラム「キャンパスCLINIC」

夏本番~熱中症について

白金通信2012年7月号

夏本番はいいイメージ? 悪いイメージ?
  暑い夏といえば、海・花火・スイカ? 昔なら野球のナイター中継でしょうか。わたしにとってはビアガーデンで飲む大きなジョッキに入ったビールが何よりも夏本番の嬉しいイメージです。
しかし、最近ではテレビで毎日のように報道される「熱中症」が夏本番の代名詞になってしまったようです。

 熱中症とは 
 「
熱中症」はただひとつの症状ではなく、以下の「熱疲労」「熱けいれん」「熱失神」「熱射病(日射病)」の四つの症状を総称して「熱中症」と呼んでいます。

 このなかでもっとも恐いのが、「熱射病(日射病)」です。「熱射病(日射病)」は死亡率が高く、病院で緊急の手当てを要する症状です。体温調節機能そのものが麻痺してしまうため、体温が40℃以上に上昇し、発汗もみられなくなり、また吐き気や頭痛・言動がおかしくなったり、意識を失ったりします(この場合案外、脳梗塞であったりします)。高齢者では脳梗塞と誤診されている場合もあります。だるい・めまい・頭痛・ぼーっとするなどは脳梗塞の症状です。脳梗塞にも障害を受ける血管のサイズによりこうした比較的軽い場合もあります。CTではわからずMRIでわかることが多いようです。

 予防と注意点
 蒸し暑いところで気分が悪くなったら、熱中症を疑い、①涼しいところに行く。②水分・塩分を補う等の応急処置を直ちにおこなう。水分を飲ませる(コップ一杯の水に塩一つまみ、砂糖五つまみを加えると吸収されやすい)。ぬれタオルを首筋や脇の下に当てたり、うちわで扇ぐ、あるいは霧吹きで身体に水分を吹きかけるなどして対応しましょう。
人間の体は体重の60%が水分です。この水分とは実は約1%の食塩水にごく少量のカリウムが含まれたものをいいます。飲む水とは水やウーロン茶などでもかまいませんが、多少なりともこうしたミネラルが含まれたドリンクも併せて飲みましょう。



 

明治学院大学校医・湘南鎌倉総合病院副院長内科統括部長 小林修三

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