白金通信2012年10月
日本では現在、死亡する人の3人に1人はがんが原因となっています。決してまれな病気ではなく、ごく身近なものなのです。
人間の体はおよそ60兆個の細胞からなり、ひとつひとつの細胞が生まれ変わるとき異常な細胞も必ず出現しています。人には異常な細胞をみつけて排除する機能がありますが、何らかの原因で排除できなかった異常細胞が増殖して悪性腫瘍(がん)になると考えられています。
一般に人が一生のうちにがんにかかる割合は男性53%、女性41%と言われていて老化とともに必然的に増加してくるものです。しかし、近年発がんリスクの多くに生活スタイルが関わっていることが明らかになり、がんの約3分の2は生活改善で予防できるとも言われています。
若い人ほどがん予防が有効
1個のがん細胞が1㎝のがん組織に成長するのに十数年かかると言われますが、1㎝が2㎝になるのには、1~2年で大きくなります。若い人たちはがん検診と言われてもピンとこないかもしれませんが、若い人ほど生活改善によるがん予防効果が大きいのです。そしてタバコと肺がん、肝炎ウィルス・アルコールと肝臓がん、ピロリ菌と胃がん、ヒトパピローマウィルスと子宮頸がん、タバコ・アルコールと食道がんなど因果関係のはっきりしているものは十分予防が可能であり、万が一がんが見つかっても早期であれば完治できる可能性が高いのです。とくに女性では二十代でも子宮頸がんや乳がんが見つかることがあり、早期の定期的がん検診をお勧めします。
校医 永田茂之