白金通信2016年7月号
一昔前は不治の病としておそれられていた梅毒や結核なんて、きれい好きの日本人には縁のない話と思いきや、近年梅毒感染症が急増しているとか。昨年は日本全国で年2000人を超え、特に20代の若い女性では2.5倍と急増!次の日本の担い手として、パパ・ママになる若者にとってはとんでもない危機ではありませんか!
また警視庁渋谷署員19人が結核集団感染した問題で、同署に留置した男性を解剖した大学病院の医師ら7人も結核に感染したことが報道されました。
いずれも適切に治療すれば完治する病気ですが、感染時の対策を怠ると、あっという間に蔓延していく恐ろしさがあります。
梅毒とは?
梅毒トレポネーマという病原体が、皮膚や粘膜の小さな傷から侵入し、血液に入って全身に広がる性感染症で、1999年全世界で推定1200万人が新規に感染、その90%以上は途上国での感染であるといわれています。1940年代のペニシリンの普及以降、発症は劇的に減少していますが、特に2000年以降では多くの国々で感染率が増加しており、たびたびHIV(ヒト免疫不全ウイルス)と併発するケースも多いとのことです。男女ともに症状は同じで、感染しても無症状な時期が続き、3週間・3か月後・3年後と症状が変化し、第Ⅰ期~第Ⅳ期までの段階があります。第Ⅰ期は、感染して3週間後に感染したところ(性器・口・肛門・手指など)の皮膚や粘膜に軟骨の硬さ程度で小豆~人差し指の尖端位の大きさのしこりが現れ、中心が硬く盛り上がったり、鼠径部に痛みのないリンパ節の腫れを認めたりします。その後病原体が血液に入り全身に広がっていきます。感染したかどうかは、3週間以降梅毒血清反応で可能となります。
性感染症は増えている?
近年性感染症(STD)は増加傾向にあり低年齢化が目立ちますが、特に日本の妊婦のクラミジア感染率は欧米より高かったと報告されています。
自覚症状の少ないクラミジアの持続感染は不妊症の原因にもなります。パートナー同士「感染しない・感染させない」が大原則ですが、感染に気付かなければあなたが感染源になってしまうかもしれません。STDは予防することが大切です。“Happy Safer Sex”のためにもコンドームを正しく使うことが推奨されます。
永谷ミドリ(校医)