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コラム「キャンパスCLINIC」

本当に対立関係!?

白金通信2019年4月号

「あの先輩はいつもそんな風に言う」「先生ってみんな口ばかり」「あの大学の学生って、ちょっと常識ない」…。
人は自分の外の集団について、批判的に話すことがあります。
 社会心理学ではこのような物の見方を「内集団バイアス」と呼んでいます。内集団というのは自分が所属する集団で、
他方を外集団と呼びます。自分の集団が良いと思い込む、つまり身内びいきと言えば分かりやすいでしょう。

内集団バイアスの功罪
 自分の集団が良い功績を上げると、それは誇りとなります。そして、自分がその集団に所属する喜び、さらには帰属意
識や団結力なども高めてくれます。ですから、内集団バイアスは必ずしも悪いことではありません。その半面、実際は外
集団のメンバーと優劣を示す証拠がほとんどないにもかかわらず、自分たちの人格や能力、思想などが優れていると捉え
てしまうこともあります。
 類似した目標に向かう集団同士が、視点や方法論が少し異なるだけで、お互いをつぶし合っていることがあります。当
人たちは必死でも、同じ業界で内輪もめしているだけで、エネルギーの浪費にしか見えなかったりします。政治の世界な
どで見かける現象ですが、私たちの社会生活でも決して珍しくありません。実際に学内で相談を受けていると、サークル
内でのもめ事により、精神的不調が生じて苦しむ学生さんとも時々出会います。

実は似た者同士!?
 「和をもって尊しとなす」。これは、聖徳太子が遺した格言です。「十七条憲法」の第一条の冒頭に記載されています。
おそらく多くの方が「自分の主張ばかり訴えて争うのではなく、みんな仲良くするのが一番」という解釈をしがちでしょう。
私は歴史に詳しいわけではありませんが、真の意味はちょっと違うようです。「人はとかく派閥を作り、派閥同士で対立し
て勝つことが目的にすりかわる。派閥にこだわらず公正に話し合うべし」。
 表向きは対立しているように見えているグループをよく比べてみると、案外どちらも同じような目標をもっているかも。
お互いに協力すればどうなるだろうか。少し違う文化が混交することにより、想定以上の良質な化学反応だって起きるかも
しれないですね。大学がそんな場所になるといいなと願っています。

高野知樹(校医)