白金通信2020秋号
大学生と新型コロナ(以下コロナ)
この原稿を執筆しているのは7月下旬なので、全国民がwith コロナによってもたらされた非日常的な生活を始めて半年になろうとしています。それでも非常事態宣言解除後は、学校に通う小中高校生や、電車通勤する会社員のマスク姿を見かけます。しかし一部の地方都市を除いて、全国的に大学の学校閉鎖は続いています。4月からオンライン授業が続いている大学生は、コロナによって日常生活を奪われた最大の被害者かもしれません。全国のコロナ患者数は、毎日1500人以上と明らかに第二波の到来です。連日の報道では若年者の割合が高いことが第二波の特徴といわれています。しかし過去に大流行した結核・ペスト・コレラなどの感染症も、若年者が感染拡大の主役でした。巣ごもりする高齢者や制限の多い小中高校生と違って、大学生は健康に自信があって行動の自由もあるので、コロナを含む感染症にかかりやすいのです。もし大学が開かれれば講義室・クラブ活動・放課後の集まり・喫煙室など様々な場で大学生同士のクラスターが起きるでしょう。
濃厚接触者にならないために
ところでコロナは感染者になるより、濃厚接触者の方が大変な場合があることを知っていますか? コロナに感染すると10日間の勧告入院になりますが、大学生の多くは、無症状か症状があっても軽く済んでしまいます。一方濃厚接触者と保健所から認定されると、PCR検査が陰性でも14日自宅隔離され、その間に発病すればそこから10日間の入院になってしまうのです。これを避けるには、以下の定義「患者が発症した日からさかのぼって2日前までに、目安として1m以内にマスクなしで15分以上会話をするなどの接触をした人」を理解することです。コロナ感染は、咳などの自覚症状がでる前から感染力があるので、本人も知らないうちに会話で周りにうつしてしまう可能性があるのです。防ぐための対策は友人と会ったら、お互いが感染者かもしれないので、マスクをして15分以内に面と向かっての話を済ませて、後はLINEでその続きをすることです。面倒だと思っても、これがwith コロナ時代の会話作法なのです。来年こそはコロナへの反攻の年になると思います。それまでは非日常生活を我慢しましょう。
尾形英雄(複十字病院医療安全特任部長兼明治学院大学校医)