日本赤十字社・明治学院大学 共同宣言
 —ボランティア・パートナーシップ・ビヨンド 150—

150年の時を経て、今もなお、創始者のボランティア精神が息づく
日本赤十字社と明治学院大学。私たちは今年、記念すべき年を迎え、
これからの日本を、世界を思い、ともに力を合わせて行動を起こします。

 本年は、赤十字思想誕生150年の最終年に当たる。赤十字の創始者であるアンリー・デュナンは、1859年のソルフェリーノの戦いで、一人のボランティアとして、敵、味方の区別なく苦しんでいる人を救うために立ち上がり、赤十字思想を着想した。その後、多くの国々に呼び掛け、1863年に赤十字国際委員会の前身である五人委員会を創設したことを想起する。現在、世界188か国に赤十字・赤新月社があり、国際赤十字・赤新月社連盟を構成し、1,300万人に上る赤十字ボランティアが活動している。日本赤十字社も、その一員として、“人間のいのちと健康、尊厳を守る”という使命に基づき、国内外で人道的任務に取り組んでいる。

 本年、明治学院は、創立150年を迎える。明治学院大学は、明治学院の創立者であるJ.C.ヘボンが、幕末に宣教医師として来日、無償の施療所を開設し、身分や貧富の分け隔てなく患者の治療に当たり、英語を学ぶ事により近代日本をになう若者を教育するために明治学院の建学に繋がるヘボン塾を開設したことを想起する。明治学院大学は、ヘボンの精神を受け継ぎ、“Do for Others”(他者への貢献)という教育理念を掲げ、キリスト教による人格教育を行い、阪神・淡路大震災、東日本大震災などの災害時の支援のみならず、日常的な活動においても地域社会への貢献を行っている。

 今、世界では、民族や宗教の対立などによる紛争やテロが絶えず、気象変動の影響から自然災害も多発している。HIV・エイズ、新型インフルエンザなどの新興感染症、マラリア、結核などの再興感染症の脅威は増大し、世界人口の5分の1が貧困に苦しみ、約10億人の人々が飢餓の状態にある。
 国内では東日本大震災から2年が経過し、被災地の速やかな復興が望まれるなか、原子力発電所事故の対応は長期化している。首都直下地震、東海・東南海地震など、甚大な被害が想定される大規模・広域災害への十分な備えも求められている。
 さらに、急激に進む少子高齢化と、長引く景気の低迷により、社会的弱者の生活は困窮の度を増している。

 日本赤十字社と明治学院大学は、これら国内外の人道的な課題の解決には、ボランティアの力が不可欠であるとの認識を一にし、広く人々に、特に若者に、ボランティアとして今日の人道的な課題に取り組むよう呼びかける。
 日本赤十字社は、ボランティア活動の情報及びプログラムを明治学院大学に提供することに努める。明治学院大学は、同大学の学生、教職員、卒業生さらには、他大学にもボランティア活動への参加を呼びかける。
 ボランティアとは、助けや慰めを求める人々に自らの知識、技能、時間、資源を提供する崇高な務めであり、支え合う社会を築き、人々の信頼と相互扶助を促進するものである。ここにボランティア・パートナーシップを結び、150年間受け継いできた創始者のボランティア精神を未来につなぎ、広げていくことを目指す。

2013年4月1日

日本赤十字社 社長 近衞忠煇   明治学院大学 学長 鵜殿博喜

  • 近衞忠煇 日本赤十字社 社長

    近衞忠煇 日本赤十字社 社長

    創始者アンリー・デュナンが戦場で赤十字軍の着想を得て、1863年に赤十字が創設されてから150年。明治学院大学との連携によって、だれもが持っている「苦しむ人々に手を差し伸べようとするボランティアのこころ」の結集を広く社会に、特に若者に呼びかけ、国内外の人道的課題に取り組んでいきます。

  • 鵜殿博喜 明治学院大学 学長

    鵜殿博喜 明治学院大学 学長

    宣教医師J.C.ヘボンが明治学院大学の淵源となる《ヘボン塾》を開設してから150年。「ボランティアといえば明学」と言っていただけるような先駆的なボランティア活動に取り組んできました。日本赤十字社と手を携えることで、ボランティアに関する教育と研究、そして実践活動の面で最先端を切り開いていきます。