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2021年度 卒業式・修了式 式辞・祝辞

村田 玲音 Leo Murata
学長(経済学部教授)
学長(経済学部教授)村田 玲音


卒業生の皆様、ご卒業 おめでとうございます。

また、保証人の皆様、お子様のご卒業おめでとうございます。
心より、お祝いを申し上げます。

2020年春から世界的に拡がった新型コロナウイルス感染症は、今でも収まる気配がありません。いつ収まるか、もう少し状況が良くなってきたら何ができるだろうかと、世界中で暗中模索しているうちに、二年がたってしまいました。

今年卒業される皆さんは、大学生活の後半の二年間を、コロナの中で過ごさなくてはなりませんでした。大学生活の後半に留学その他、色々なことを予定していた人も多いことでしょう。サークル活動や就職活動も大きな影響を受けたことと思います。思い描いていたキャンパスライフが変更を余儀なくされ、大学が十全の対応をとれなかったことに対して、とても申しわけなく思います。

その一方で、皆さんは、まだコロナが出てこなかった時代の大学と、コロナで急速に変貌を余儀なくされた時代の大学と、二つを同時に体験するという貴重な経験をした学年でもあります。二つの違ったことを体験すると、一つのものの中にずっといるより、視野の広い見方ができると言われています。若いときの留学体験が貴重なのは、日本と外国を一人の目で確かめることができ、それによって日本を外から客観的に見ることができる、これがその人のその後の生き方に非常に重要な意味をもつのです。

皆さんは、二十歳前後の感受性の強い時期に、大学生活をこの大変な時代の中で過ごすという経験をしました。従って皆さんは、学問、教育、大学、さらには人と人の繋がり、社会の強さや弱さ、そういったものに対して幅の広い見方ができるようになって社会に出ていく、私は皆さんを送り出すにあたって、そんな期待を持っています。

コロナが二年目に入り、コロナの下での生活が長引くにつれて、《コロナによる不自由な生活の影響》が人々の心の中にジワジワと拡がってきているように思います。これは本来の《病気に対する恐怖》よりも、もっと深刻なのかもしれません。
コロナに対して世界中の人々が助け合わなくてはならないこの時期に、ロシアがウクライナに攻め込む事件が起き、ウクライナの人々はもちろん、世界中の人々がコロナへの恐怖に加えて、戦争の不安や命の心配をしなくてはならなくなっています。

私たちは感染を防ぎつつ、どうやったら人々の心や社会生活を元通りにしていけるのか、そちらの方に関心を向けなくてはなりません。

皆さんが大学生活を終えて社会に入っていくのは、こうした大変な時代なのです。
それだけに、皆さんに対する社会からの期待や要望は、非常に大きくなっています。
明治学院大学が教育理念として掲げる "Do for Others" はどんなときにも普遍的な意味を持つ大切な考え方だと思います。
「人にしてもらいたいと思うことを、あなたも人にしなさい」
皆さんには、この基盤の上で大学時代に学んだ知識や体験を活かし、若さと行動力でこの激動の時代を少しでも良い方に導き、平和な社会を作っていくために活躍してほしいと願っています。

まだ with-コロナの時期が当分続きそうです。
皆さん、これまで以上に健康に気をつけてください。
そして皆さん方の活躍と今後のご発展をお祈りします。

本日は、ご卒業おめでとうございました。

小暮 修也 Shuya Kogure
学院長
学院長小暮 修也
大学生の皆さん、大学院生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。また、保証人・関係者の皆様、ご子息、ご息女の卒業を心からお祝い申し上げます。

フランス文学者・哲学者で、デカルトやパスカルの研究でも名高く、パリ大学教授であった森有正先生という方がおられます。森有正先生はオルガンの演奏家としても有名で、明治学院に来られてこの礼拝堂でオルガンを弾かれたことが『森有正全集13』で確認されています。もっともその時は、パイプオルガンではなく、記念館二階にあるリードオルガンでした。

この森有正先生の言葉に、「私どもは皆土の器で、どんなにこの世で優れた人もどんなに劣った人も、すべて土の器で神の前に同等である。土の器がどのように用いられるのかは神様がお決めになる。」とあります。

また、「人間が自分は神に作られた土の器である、土から造られ土に返るものであるということが分かる時、実にこの人生というものが、透明になりまた単純になり、しかし限りなく深くなる。」(森有正『土の器に』日本基督教団出版局、33頁、50頁)とも、語っています。

神様はさまざまな形の土の器を作りました。皆さんの形はどのようなものでしょうか。それぞれの形にあった働きがあるはずです。

「私は土の器である、その器にふさわしい任務を果たしていこう」と心に誓う時に、神さまはあなたの器に宝物を用意してくださると聖書のコリントの信徒への手紙Ⅱ 4章7節に記されています。

どうぞ、皆さん、これから「自分の器」を大切にして、また「他人の器」を慈しんで生きてほしいと願っています。旅立ってゆかれるお一人お一人に、神さまの豊かな恵みがありますように。

ご卒業おめでとうございます。

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