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2019年度 入学式 式辞

明治学院大学 学長 松原 康雄

 皆さん、ご入学おめでとうございます。また、保証人、ご家族の方々にも心からお祝いを述べさせていただきたいと思います。これから、学部・大学院で充実した学びを遂行し、キャンパスライフも楽しんでいただきたいと思います。

 皆さんが生まれた2001年前後は、日本の出生数は、引き続く少子化傾向のなかで約120万人をわりはじめた時期でした。その後、出生数の減少は継続し、2017年は約94万人と2年連続で100万人をわりこむことになっています。さて、現在の大学進学率は、52%を超えていますが、逆に半数近くは大学という進路は選択をせず、別の道を歩んでいるということになります。この数値にも留意しながら、皆さんは大学での学びを深めていただきたいと思います。

 さて、本年のキャンパスの桜は、入学式には散り始めて(散り終わって)しまいました。しかし、桜は卒業式の頃に咲いていることもあり、入学式でも開花していないこともあり、その咲き方は年によって異なります。桜がいつ咲くかについては、いわば「正解」は無いと言ってよいでしょう。これから、皆さんは多くの新たな知識や考え方を学んでいくことになります。しかし、それらの知識や考え方は、全てが同じ「正解」を指し示すものではなく、多様な見解や結論が示されることが多くあります。いわば正解が無いこと、考え方によって異なることを学ぶ機会が増えるといってよいでしょう。正解が無いことは、不安かもしれません。しかし、我々はそのような不安のなかで安易な正解を求めたが故にもたらされた社会的な弾圧や抑圧という不幸な歴史があることを知っています。

 一つの事象について、これが正解であるという既存の、あるいは一般に流布する見解から一歩離れてみて、それと異なる見解は無いのか、あるとすれば、その見解と既存の見解との差異は何なのか、三番目の、いやもっと多くの見解がないのかを探索し、教員に対する質問や、仲間との討議を経て、自分はどう考えるのかを論理的に構築していくことの先に、新たな考え方があり、皆さんの自由な、しかし堅固な信条や体系的な考え方が形成されるのだと思います。自分自身がたどり着いた結論は、他者と異なる場合があるかもしれません。自分が多数派であるからといって少数派を排除してしまうことは、大学での学びにとって重要な多様性の承認とは真逆の動きとなってしまいます。自分が少数派であっても、確固たる考えを大切にするとともに、その考え方に閉じこもってしまうのではなく、他者との議論を進めていくことが必要だと思います。

 本学が教育理念として掲げる“Do for Others(他者への貢献)”も、そのことによって他者を縛り、一定の枠組みに押し込めてしまうことは意味していません。自分がしてほしいことを知り、他者が何を必要としているかを知り、課題に対して共に取り組んでいこうとする姿勢が必要です。

 個性を生かし、共に生活していこうとする延長線上に本学の教育があります。皆さんの学びや、キャンパスライフでの多様性保障とともに、皆さんが主体的な大学・大学院生活を送られることを願っています。今から「大人の事情」などのような忖度を身につけないでください。仮に「常識」とされるものであっても、意図的に関心を持ち、それを吟味していってください。その作業に本学教職員は寄り添いたいと思います。皆さんの前途には、新たな学びのステージと豊かなキャンパスライフが準備されています。本学での経験を活かして、新たなチャレンジをするための学部・大学院生活が展開されることを願っています。

 本日は入学誠におめでとうございます。